私有貨車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
私有貨車(しゆうかしゃ)とは、かつては国鉄、現在はJR貨物に一般企業が所有して車籍のみを編入した貨車のことを指す。
[編集] 概要
原則として、特定の荷主(例・石油元売会社)が特定の積荷(例・ガソリン)を特定の区間(例・臨海部の製油所→需要地の蓄積所)で運送するために所有するもので、積荷の特性に合わせた形状・機能を持つものがほとんどである。そのため、車種としては汎用の有蓋車、無蓋車、コンテナ車といったものは原則として存在せず、タンク車、ホッパ車、大物車といったものがほとんどである。また、コンテナ車に積載するための私有コンテナも存在する。台数としては、石油類を輸送するためのタンク車が最も多い。
車種も貨車に限らず、私有客車、私有電車、私有気動車も存在した。例えば、1986年まで存在した郵便車(合造車を除く)は郵政省の所有であったし、日本銀行所有の現金輸送用荷物車(マニ30形客車)も2004年まで運用されていた。
車両は当然企業ごとに異なっており、車籍編入する際に形式毎に整理されるが、大物車のように一形式が1両のみとなるものや、タキ1900形のように石油類タンク車では一形式が1000両以上になってしまうものもある。また、車号は形式と同じ数字から始めるが、増備するにつれて車号があふれる場合も頻繁にある。