社会主義の歴史
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社会主義の歴史(しゃかいしゅぎのれきし)について、論述する。
社会主義の歴史は、空想的社会主義と呼ばれる、ロバート・オーウェンらの思想に源流を求められる。
しかし彼らは、社会現象の原因を社会科学の手法で解釈しようとせず、ユートピア論で説明しようとした。
アメリカに土地を購入し、理想郷の建設を目指したものの、実ることがなかったのは、社会主義が損にはなっても得にはならない資本家に資金援助を求めたからだとも言われる。
空想的社会主義の失敗に対し、カール・マルクスは、自説を科学的社会主義と呼んだ。
唯物史観に則り、いったん階級社会に移行した無階級社会は、いずれ無階級社会に回帰するだろうと説いた。そうして、労働者階級が団結することにより、無階級社会は実現できると道筋までつけた。
しかし、19世紀末に、資本主義社会の未来について、見解が分かれるようになる。
1つは、職業革命家の党が帝国主義を打倒することにより、社会主義社会が実現すると説いたレーニンの潮流であり、もう1つは、資本主義には自浄作用があり、資本主義が発達すればするほど、階級対立は緩和すると説いた、ベルンシュタインの修正主義の潮流である。
社会主義ソ連が世界恐慌の影響を全く受けなかったことにより、レーニン主義はにわかに資本主義国家群の知識人から注目されるところとなった。
しかし、戦後の世界で、社会主義革命が成功したのは、例外なしに開発途上国か植民地・従属国であったこと、先進資本主義国家では、資本主義の自浄作用が発揮され、社会的富の公平分配が進み、ベルンシュタインが思い描いた福祉国家が成立したことから、ヨーロッパでは社会民主主義が社会主義の主流になり、日本では労働者階級の社会主義離れが進んだ。
まして、統制社会のたがを緩めた途端、ソ連型社会主義が一斉に崩壊した現実に直面し、社会主義はマルクス以来の困難に直面していると言っても過言ではない。