登坂車線
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登坂車線(とうはんしゃせん、とはんしゃせん)は、上り勾配の道路において速度の著しく低下する車両(例えば重量の大きな車両や特殊車両など)を他のから分離して通行させることを目的とする車線をいう。一般に走行車線の左側路肩を拡幅する形で設けられている。
道路交通法上は、登坂車線は本線車道ではないので、高速自動車国道の本線車道(暫定2車線を除く。以下同)における最高速度・最低速度の規制は適用されない。登坂車線での自動車の法定最高速度は一般道路と同じく60km/hであり、また本線車道の最低速度(法定50km/h未満)の規制も適用されないので、本線車道の最低速度未満の速度となる場合には、登坂車線を通行でき、かつ通行しなければならない。
道路構造令(昭和45年10月29日政令320号)第21条において、普通道路の縦断勾配が5%(100mの水平移動に対して5mの高さを昇る勾配)を超える車道、または高速道路(またはそれに準じた道路)の縦断勾配が3%を超える車道については、必要に応じ登坂車線を設けることとする、とされており、一般に新設される道路に於いてはこの基準が適用されている。しかし、過去に建設された道路についてはこれらの基準が適用されることは少なく、道路改良が行われる際に登坂車線が付加されるというケースが多い。また、新設道路であっても、当面は交通量が少ないことが予想される場合や、小型道路として建設される場合には登坂車線が設けられないこともある。
なお、類似のものに「ゆずりゾーン(ゆずり車線の場合もあり)」というものがあるが、これは登坂車線と同様の目的で登り坂以外に設けられるものであり、道路構造令などに於いて基準的なものは存在しない。また、走行車線を走行している車両を登坂車線やゆずりゾーンを使って追越そうとする行為は「追い越しの際は(一部の例外を除き)左から追い越してはならない」と定めた道路交通法第28条違反であり、取り締まりの対象となる。しかし帰省シーズン等の本線車道の渋滞時、登坂車線を用いて本線車道の車両の追い越しを図る不届き車両が後を絶たないのが現状である。
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