無伴奏ヴァイオリンソナタ (バルトーク)
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バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117は1944年に作曲された無伴奏ヴァイオリンのための曲である。
目次 |
[編集] 作曲の経緯
この曲はヴァイオリニストのユーディ・メニューインの委嘱によって書かれ、彼に献呈されている。2人の交友は1943年の秋、バルトークのヴァイオリン・ソナタ第1番を演奏会で採り上げることにしたメニューインが、作曲者直々のアドバイスをもらうべくバルトークの許を訪れたことから始まった。11月に行われたコンサートに足を運んだバルトークは、自作とJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番を演奏したメニューインの演奏を、友人宛の書簡で激賞している。
その後、メニューインから「無伴奏ヴァイオリンのための作品を」との依頼を受けたバルトークは、彼の健康を考えて1943年の末から翌年の3月まで転地していたノースカロライナ州ナッシュビルにいる間に、「数週間で」(バルトーク談)バッハのソナタを思わせるようなこの作品を書き上げた。
楽譜はバルトークから「出版に際しては、楽譜の校訂はあなたにお任せする」と全権を委任されていたメニューインの校訂により、1947年にブージー&ホークス社から出版されている。
[編集] 特徴
後述する第1楽章の楽譜上の指示以外にも、楽章の配置や構成などがJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番によく似ている(調も同じである)ことから、この曲はバッハへのオマージュ的な要素も感じさせる。そのためバッハのソナタとパルティータ全6曲を「旧約聖書」、バルトークのこの作品を「新約聖書」と呼ぶ向きもある。
また、かなりの難曲として知られている(メニューイン自身「初めて楽譜を見せてもらった時は冷や汗が流れた」と回想している)が、現在のバージョンでも、第4楽章などには初稿ではあまりにも難かしい部分について、メニューインのリクエストでバルトークが書き換えた部分も少なくない。なお出版譜では、その書き換えられた部分については、バルトークが初稿で書いていたバージョンの楽譜も添えられている。
[編集] 作曲年
1944年。バルトークはほとんどの作品で総譜の最後に完成日を記しているが、それによれば完成は1944年3月14日である。
[編集] 楽章構成
全体は緩-急ー緩-急の4楽章で構成される。
- Tempo di ciaconna
- Fuga:Risoluto, non troppo vivo
- Melodia,
- Melodia:Adagio
[編集] 初演
1944年11月26日にニューヨークでメニューイン自身の独奏で行われた。初演に列席したバルトークは同年12月17日付の友人宛ての手紙に「これ以上期待するものは何もないほど素晴らしい演奏だった」「20分を超える独奏曲は長すぎるかと危惧していたが問題なかった。少なくとも私にとっては」と書いている。
[編集] 作品の内容
- 第2楽章
- フーガ。荒々しい楽想が特徴。
- 第3楽章
- 作曲者が「メロディア」と題した瞑想的な楽章。
- 第4楽章
- 無窮動的な旋律が中心となるロンド形式。舞曲風のリズミックな主題と静かな主題が交錯する。