湖月わたる
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湖月わたる(こづき わたる)は、元宝塚歌劇団星組男役トップスター(トップ期間:2003年~2006年)。埼玉県入間市出身。
本名・三澤 陽子(みさわ・ようこ)、6月28日生まれ、出身校:入間市立向原中学校,公称身長174センチ、血液型B型、愛称わたる(くん)。
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[編集] 略歴
- 家族は両親と兄ふたり。
- 幼少よりリトミックなどを習っていた。小学生のとき、「ジャワの踊り子」で宝塚歌劇と出会う。
- 長身を生かせる、と宝塚歌劇を志望。1987年宝塚音楽学校に合格、卒業後の89年、星組公演『春の踊り/ディガディガドゥ』で初舞台を踏み、翌90年に星組に配属。
- 長身を活かしたダイナミックなダンスと、男役の申し子的な容姿でスター候補生とみなされ、早期より注目されていた。また、当時は星組男役層が分厚く、多くの優れた上級生に指導を受けられたことも後の宝塚生活に好影響を及ぼす。
- 1992年ニューヨーク特別公演メンバーに選ばれる。
- 1994年、藤沢周平原作『若き日の唄は忘れじ』の文四郎役で、新人公演初主演。同年には自身2度目の海外公演・ロンドン公演に出演。
- 1996年、バウホール公演『ドリアングレイの肖像』で準主役をつとめる。また同年、星組版『エリザベート』に青年革命家エルマー役で出演。
- 1997年には『夜明けの天使たち』で日本青年館公演初主演。直後に3度目の海外公演、香港公演に出演。
そのまま宙組の立ち上げ要員に選ばれ、3番手として異動となる。 - 1998年、宙組版『エリザベート』にルキー二役で2度目の出演。
- 1999年には、香港を舞台とした『テンペスト(バウ)』でファーディナンド役で主演。
- 2000年、姿月あさと退団に伴い、宙組2番手へ昇格するも、直後に劇団内構造改革の一環として発足した「新専科」に異動となる。
同年12月シアタードラマシティ公演『月夜歌聲(ツキヨノウタゴエ)』に主演。朝海ひかる(現雪組トップスター)との共演で好評を博す。 - 2001年には、雪組大劇場公演『猛き黄金の国/パッサージュ−硝子の空の記憶−』、星組東京公演『ベルサイユのばら2001―オスカルとアンドレ編―』(アンドレ・グランディエ役)、雪組東京公演『猛き…』、月組東京公演『大海賊/ジャズマニア』、宙組大劇場公演『カステルミラージュ/ダンシングスピリット』、と立て続けに出演しいずれも好演。
- 2002年日生劇場で行われた特別公演『風と共に去りぬ~雪組・花組~』にアシュレ役で出演。この時点で新専科としては唯一人の全5組出演を達成する。
同年6~7月には、初の外部主演となる『フォーチュンクッキー』(製作:TSミュージカルファンデーション)に出演。等身大の女の子を演じ話題を呼ぶ。続いて月組『長い春の果てに/With a song in my heart』では、大劇場→東京→愛知・中日劇場と3か所連続出演。 - 2003年、全国ツアー『蝶・恋(ディエ・リエン)/サザンクロス・レビュー3』で、星組主演男役就任。相手役に檀れいをむかえる。大劇場お披露目公演『王家に捧ぐ歌』は芸術祭演劇部門優秀賞を受賞。
- 2005年、檀れいの退団に伴い、相手役に白羽ゆりを迎える。 2005年全国ツアー『ベルサイユのばら/ソウル・オブ・シバ!!』が新トップコンビのお披露目公演となった。また、『ベルサイユのばら/ソウル・オブ・シバ!!』は、史上初となる韓国公演でも上演。
自身にとっては4度目。トップとしては初の海外公演となり、見事大成功を収める。 - 2006年『ベルサイユのばら−フェルゼンとマリー・アントワネット編−』に出演。包容力のあるフェルゼンを演じ、公演を成功へと導く。
- 6月、大阪梅田芸術劇場にて『コパカバーナ』出演。
- 2006年11月12日(『愛するには短すぎる』『ネオ・ダンディズム』東京公演千秋楽)付にて退団。
- 退団後は当初、「高卒認定試験取得→大学進学を希望」としていたが、東京公演千秋楽で「舞台活動継続も考えている。いずれにしても、高卒認定が終わってからじっくり考えたい」と女優転進に含みを残した。
[編集] 宝塚時代のスター像
長身かつ長い手足を存分に生かしたダイナミックなダンスに定評があった。出演作の稽古に加え、ダンスレッスンに積極的に参加することで、一度も休演することの無い強靭な体力を保ち続けた。
歌唱はお世辞にも上手とはいえなかったが、努力を惜しまぬ真摯な姿勢で稽古に臨み続け、向上させた。また、歌う姿は情感を感じさせ、歌自体にも芝居心が随所にみられた。
また日舞花柳流の名取(名取名:花柳湖月)でもあり、日本物にも強かった。
明るくあたたかな人柄、大らかで優しい素顔は、舞台上での包容力の発揮に繋がった。近年クールビューティーな男役が増える中で、人間味あふれ男くさい熱い血潮を感じることのできた湖月は貴重な存在と言えた。
一方では美脚の持ち主で、芝居やショーなどで「だるま」(レオタード)を着て披露していた。
[編集] 主な主演舞台作品
[編集] 新人公演主演
(計4回)
[編集] バウホール/青年館公演(主演)
- 『夜明けの天使たち』(1998年)
- 『TEMPEST』(1999年)
[編集] シアタードラマシティ公演(主演)
- 『月夜歌聲』(2000年)
- 『永遠の祈り-革命に消えたルイ17世-』(2003年)
[編集] 星組トップ時代
- 『蝶・恋(ディエ・リエン)/サザンクロス・レビューⅢ』(2003年)(全国ツアー)
- 『王家に捧ぐ歌』(2003年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『永遠の祈り-革命に消えたルイ17世-』(2003年)(シアタードラマシティ)
- 『1914/愛/タカラヅカ絢爛-灼熱のカリビアンナイト-』(2004年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『花舞う長安-玄宗と楊貴妃-/ロマンチカ宝塚'04-ドルチェ・ヴィータ!-』(2004年)(博多座、宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『王家に捧ぐ歌』(2005年)(中日劇場)
- 『長崎しぐれ坂/ソウル・オブ・シバ!!-夢のシューズを履いた舞神-』(2005年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『ベルサイユのばら/ソウル・オブ・シバ!!-夢のシューズを履いた舞神-』(2005年)(全国ツアー、韓国)
- 『ベルサイユのばら-フェルゼンとマリー・アントワネット編-』(2006年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『湖月わたるダンシング・リサイタルAcross』(2006年)(サンシャイン劇場、シアタードラマシティ)
- 『コパカバーナ』(2006年)(梅田芸術劇場)
- 『愛するには短すぎる/ネオ・ダンディズム』(2006年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)