河合塾
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河合塾(かわいじゅく)は、学校法人河合塾が運営する愛知県名古屋市千種区今池2-1-10(千種キャンパス千種校内)を本拠とする大手予備校である。
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[編集] 概要
教育理念「すべては一人ひとりの生徒のために」を掲げ、英文学者の河合逸治によって1933年に「河合英学塾」として開校。1937年に現校名に改称した。1955年には学校法人として改組し、名駅校(現・16号館名古屋校)開校以後、名古屋全域に校舎展開をしていく。1970年には、以後愛知県下で初めての専門学校「トライデント」の前身である「名古屋英会話センター」を開設した。1978年には、学校法人河合塾と学校法人河合塾学園を分離新設し、トライデント外国語専門学校が愛知県下で初めての専門学校となった。
逸治の息子河合斌人が全国展開を開始(河合斌人は2004年に学校法人札幌予備学院理事に就任するも翌2005年肺炎により死去)。代々木ゼミナール・駿台予備学校と並んで「三大予備校」の1つに数えられる(これらを総称してSKYと記す場合がある)。学校設備やテキストの充実に力を入れてきたことから「机の河合」・「テキストの河合」と呼ばれたりもする。またテキストは、独自の編集体制で内製化されている。模擬試験の質が高いことから「模試の河合」と呼ばれることもある。かつては文系に特に強かったことから「文系の河合」と呼ばれることもある。(かつて受験生の間では「生徒の駿台、講師の代ゼミ、机の河合」と呼ばれたりしたこともあったが、今は当てはまらない。)
また、大学入試センター試験や大学入試問題の問題点を経営陣が指摘し、同学校が設立した株式会社全国試験運営センター(NEXA)を設立し、各種試験や模試の運営のための一切を受託する株式会社を設立した。
河合サテライト講座という名前で大手予備校のなかでいちはやく衛星放送事業を始めたことでも有名。衛星打ち上げに際して、打ち上げ自体は代々木ゼミナールが先手をきったものの、衛星打ち上げに失敗、結局河合塾が先に成功し(ただしNTT(分割前)からの借り物なのでアンテナにNTTマークが入っている)、サテライトの商標権を握った。スタジオ収録であるが、その長所を生かしてCGや実験映像やロケ映像をふんだんに用いて、ビジュアルに理解できるのが特徴。全国の河合塾校舎のみならず提携塾・個人塾・高等学校に配信されている。河合サテライト講座の講座数は、代々木ゼミナールや東進衛星予備校に比べれば少ない。
[編集] 河合塾の沿革
- 1933(昭和08年):英文学者「河合逸治」により、「河合英学塾」として開校。
- 1937(昭和12年):「河合塾」に改名。桜山校開校。
- 1955(昭和30年):学校法人に改組。
- 1968(昭和43年):チュートリアルシステム開始。
- 1970(昭和45年):「英才教育研究所」・「名古屋英会話センター」開校。「真貴幼稚園」開園。 美術系大学進学コース新設。
- 1971(昭和46年):夜間部補習科を「グリーンコース」と改称。
- 1972(昭和47年):「全国進学情報センター」設立。全国統一模試(通称:全統模試)開始。
- 1974(昭和49年):「河合出版」設立。 日本初の特定大模試を実施。
- 1977(昭和52年):駒場校開校。以後全国各地に校舎展開。
- 1978(昭和53年):「学校法人河合塾学園」分離新設。トライデント専門学校として新設。
- 1983(昭和58年):コミュニティースクールを開校。
- 1988(昭和63年):河合サテライト講座開講。(日本初)
- 2004(平成16年):学校法人札幌予備学院への経営参画。
- 2006(平成18年):学校法人札幌予備学院を吸収合併。
※チュートリアルとは、各講座の開講前約10分前からチューターによって行われるHRである。
※チューターとは、講師と生徒を仲介する役割をする職員のことである。ただし、高校グリーンコースの場合、チューターはアルバイトの大学生が1講座につき1人~2人担当し、高3になると、それにプラスして、職員のチューターが担当するようになる。また、担当しているコースによって、白衣の色が違う。高校グリーンコースのチューターは白だが、小学・中学コースのチューターは薄い青。
[編集] 授業クラス
[編集] 小学グリーンコース
(以下は、中部地区の小学グリーンコースについて述べている。)
- 中学受験コース
- 高校受験ジュニアコース
[編集] 中学受験コース
中学受験コースは、国・私立中学の受験を目的としたカリキュラムである。設置学年は小3〜小6まであり、以下のクラスが設置されている。(2006年度現在)
- 小3:グリーンコースジュニア
- 小4:選抜教室、ハイジャンプ教室、レギュラー予習教室
- 小5:選抜A教室、選抜B教室、ハイジャンプ教室、県外難関選抜教室、スーパー予習教室、レギュラー予習教室、完成教室、算数類題教室
- 小6:特別選抜教室、選抜A教室、選抜B教室、ハイジャンプ教室、県外難関選抜教室、選抜スーパー予習教室、スーパー予習教室、選抜レギュラー予習教室、レギュラー予習教室、完成教室、算数類題教室
- 入塾には各クラスへの入塾認定が必要であり、認定方法として、入塾前に行われるクラス認定テスト、一定時期に行われる通称統一テストなどがある。
[編集] 高校受験ジュニアコース
高校受験ジュニアコースは、将来の(主に愛知県内の)難関高校の合格を目標とした、公立中学進学予定者を対象としたカリキュラムである。設置学年は小5・小6であり、各学年にトップ高ジュニア教室が設置されている。
[編集] 中学グリーンコース
授業クラスは高校受験コースと私立中学コースに分けられている。なお、クラス認定方法は小学グリーンコースと同様。
高校受験コースは公立・私立を問わず、高校進学を目指すコースである。 土曜・日曜に3教科セットでミドル・ハイ・トップのクラスがあり、平日には単科の平日ミドル・平日ハイレベルのクラスが設置されている。
私立中学コースは私立中学在籍生を対象としたコースである。 単科ゼミの形式を取り、各科目ごとにスプレンディッド・アドバンストA・アドバンストSというクラス分けがされている。 スプレンディッドは私立標準コースであり講義の範囲は高校受験コースに近いが、アドバンストAないしSは私立速習コースであり、範囲が高校受験コースよりも先に進んでおり、場合によっては高校レベルの範囲を扱う場合もある。
[編集] 高校グリーンコース
授業クラスは、無選抜である講座と選抜講座である講座に分けられる。選抜講座は、入塾前に行われるクラス認定テストによって決定される(クラス認定テストは塾生になってからも受験可能)。現在は、OneWex(千種・名駅限定)、トップレベル、ハイレベル、スタンダード(ここまで選抜)、ステップアップ(無選抜)に分けられる。また、志望校大学別に中部地区では、名古屋大学、東京大学、京都大学、南山大学の大学別講座が設置されている。
- コース制講座
- One Wex(英数67.5以上、国60.0以上を同時に満たす)(コース名は全国統一ではなく、地区によってばらつきがあるので、これ以外の同一認定基準の講座もある。河合塾によると「地区の特性を配慮して」とのこと)。
- 単科講座
- T(65.0以上)、H(55.0以上)、S(45.0以上)、U(無選抜)
[編集] 大学受験科
授業クラスは、入塾後すぐと夏に行われるサクセス・クリニックによって決定される。
かつてはABCDの4段階の編成であったが、少子化による受験生の減少により2005年度までSαβの3段階の編成であった。2006年度から二段階編成になった。 (2006年度版)
- 英語
- 授業クラスは難関大志望のための高度なクラスのみTがつけられる。
-
- 英語長文読解T、英語長文読解
- 英文解釈T、英文解釈
- 英文法・語法T、英文法・語法
- 英語表現T、英語表現
- かつての英作文等の講座に相当する。
-
- その他Masterコースとして演習ゼミや特定大対策講座やセンター英語、また共通でListening Comprehensionを選択。
- 数学
- 数学はかつてはαでスペードやハートやクローバー等で難易度をわけていたが、06年度から医進数学や東大数学等に振り分けて細かくテキストを分類した。また、基本的にTで二段階に分類。
- 国語
-
- 現代文
- 現代文においても二段階選抜に切り替わり、Tで分類されることになった。
- トップレベル現代文論述(東大、京大用)
- 国公立大現代文(国公立大対策用)
- 私大現代文(私大対策用)
- 早大現代文(早大対策用)
- 古文
-
- トップレベル古文論述(東大、京大用)
- 国公立大古文(国公立大対策用)
- 私大古文(私大対策用)
- センター古文、○○大古文等その他あり
- 漢文
-
- トップレベル漢文論述(東大用)
- 漢文演習(基礎・センター~早稲田・上智対策まで)
- センター漢文等
- 地歴・公民
-
- 日本史
-
- 総合日本史(講義)講義のみで進められる。
- 総合日本史(講義・論述)講義後、期日までに課題論述を提出。添削後返却。上位国立向け
- 実戦日本史テスト テストゼミ形式での授業(ハイレベルクラスでは追加問題使用)。
- その他、センター日本史など
- 世界史
-
- 総合世界史(講義)
- 総合世界史(講義・論述)
- 実戦世界史テスト
- その他、センター世界史など
- 地理
-
- 総合地理(講義)
- センター地理
- 政治・経済
-
- 総合政治・経済
- 実戦政治・経済テスト
- センター政治・経済など
- 倫理
-
- センター倫理など
- 現代社会
-
- センター現代社会など
- 理科
-
- 物理T、物理
- 化学T、化学
- 生物T、生物
- 地学
- 小論文
[編集] COSMO(コスモ)コース
COSMOコースは、東京の新宿校(別館)と名古屋の千種校(別館)に設置されている高等学校卒業程度認定試験から大学受験を目指す人のために設置されているコース。以前は高校中退者が多くを占めていたが、最近は中学から直接入ってくる者や社会人もいる。授業は高卒認定にあわせているものと受験を意識しているものがあり、大学で行われる「ゼミ」の様なパーソナルゼミを設置している。 サクセスクリニックを受けることにより大学受験科の授業の聴講も可能。(別途費用はかからない。)
[編集] 河合サテライト講座
河合サテライト講座は概要にも記したとおり、河合塾が衛星を使って提携予備校・塾、高等学校などに授業を配信するものである。河合サテライト講座は、代ゼミと違い、スタジオ収録のため、CGなどを多用しているのが特徴といえる。また講師も全統模試の作成者やテキスト作成者など実力派が揃う。 河合塾が利用している衛星は「JCSAT 3号」で、28chを利用している。1講座90*20回で、基本的な講義時間といえよう。現在配信されているのは24講座で、1講座54000円となっている。
[編集] 河合塾マナビス
2006年度から開始した新しい河合塾のかたち。映像授業を用いるが、サテライト講座とは別に収録する。河合塾のサイトを見る限りサテライト講座同様CGも用いる。講座のラインナップは地方の河合塾校舎のグリーンコース並みであり、サテライト講座とは充実の度合いがかなり違う。大学別対策講座も充実。
[編集] 著名講師
全国的にある程度の実績を持つ著名講師(例:サテライト講座を持っている・有名参考書などの執筆活動をしている・各地に幅広く出講している等)
※講師配列はあいうえお順
[編集] 英語
- 芦川進一、伊集院麗、伊藤剛、遠藤淳子、荻原武夫、奥脇健一、加藤明春、清川舞、栗山伸一郎、古藤晃、里中哲彦、沢辺克介、しぎょういつみ、島田浩史、島原一之、瀬下譲、近嵐靖子、高木雅浩、玉置全人、土屋孝夫、豊島克己、二本柳啓文、早川勝巳、林一哉、日紫喜明、太庸吉、古本勝則、宮脇照樹、山口均、山田光、米山達郎、渡辺勝彦、渡辺淳志、他多数
[編集] 数学
[編集] 国語
- 現代文・小論文
- 石原開、石動賢三、梅澤眞由起、亀井和子、茅嶋洋一、軽部九二男、菅孝行、菊川智子、岸正樹、白旗潤也、鈴木慎一郎、高橋義人、竹国友康、武下奈二子、林修、原田伸雄、晴山亨、兵頭正敏、牧野剛、三石稔憲、森永茂、山西博之、他多数
- 古文
- 池田修二、井上摩梨、今西常雄、川崎宏司、河内さやか、黒須宣行、長澤和彦、中西光雄、隼坂しのぶ、藤原周平、松岡トオル、村山孝志、山崎瑛二、他多数
- 漢文
- 植松義治、小林徹行、高橋健一、寺田るりこ、吉野大作、三森一彦
[編集] 理科
- 物理
- 化学
- 生田泰朗、大西正浩、岡野雅史、小川裕司、高木賀正、高橋茂幸、照井俊、古川哲嗣、松原隆志
- 生物
- 飯田高明、入江ひな子、大島えみし、汐津美文
- 地学
- 岡口雅子
[編集] 地歴・公民
- 日本史
- 世界史
- 地理
- 伊藤彰紀、楠静子、坂本勉、佐藤裕治、瀬川聡、中野泰男、福田博雪
- 公民
- 川本和彦、金城透、栂明宏、平川唯史、宮崎尚夫
[編集] 業務
傘下に全国進学情報センターを持ち、模擬試験などで各地の予備校とネットワークを結んでいる。なお、河合塾グループである(学)文理学院・河合塾文理は2006年度から河合塾仙台校と名称を改めたが、法人の独立性は保たれており、基本的にはこれまでの河合塾文理とほとんど変わりない。他方、(学)河合塾が2005年度から(学)札幌予備学院の経営に参画したため、札幌予備学院は河合塾札幌校と改称された。さらに、2006年度には札幌予備学院が河合塾に吸収される形で法人合併が行われ、札幌校は完全に河合塾直営の地方校舎となった。
また、大手3校の中では他校に先駆けて1980年代から既に現役生重視路線が見られ、現役高校生向けの「グリーンコース」や、愛知県内での中学受験(特に、東海・南山・灘・麻布・開成)にも力を入れている。
- 予備校以外の事業
- 河合塾本体を運営する(学)河合塾以外に、トライデント外国語専門学校などの専門学校経営を担う(学)河合塾学園がある。さらに、河合塾現役館を運営する(株)河合塾進学研究社ほかの関連会社も多数存在する。このように、専門学校や社会人向けの資格講座(河合塾ライセンススクール)・文化研究など予備校以外の教育・文化事業(河合文化教育研究所)に早くから進出した。
- 特に専門学校事業は、主に関西で派手な宣伝を繰り広げ知名度の高かったコンピュータ日本学院専門学校(旧コンピュータ日本学院)(愛称または略称でCONG(コング)と呼ばれている)の経営を2003年に学校法人日本情報学園より承継した点が特筆される。
- 大学入試問題の欠点を指摘する発言を経営者が行ってきた同学校は、問題の代理作成の受託業務を開始し、社会から大きな反響があった。大学受験生の人口減にあわせ、事業を多角化している。
- その一例として、ドルトンスクール、河合出版、全国試験運営センター(上記の試験の代理作成・運営をしている株式会社)等、他多数。
- Fランク大学・BFランク大学
- 「Fランク大学」(あまりに不合格者数が少ない、または皆無なため、偏差値をつけることができない大学・学部)という言葉をつくったことでも有名。「『Fランク』の“F”は“フリーパス”ではないか」というFランクに該当するとされた大学側の苦情が殺到したため、現在は「BF(ボーダーフリー)」という言葉に改められ、同社の発行する進路資料で用いている。河合塾の基準によれば偏差値35.0未満がこれに該当する。
[編集] 校舎
- 北海道地区
- 札幌校(本館・大通館)
- 東北地区(文理学院が運営、河合塾非直営)
- 仙台校(中央校舎・駅前校舎・泉教室)
- 東日本地区
- 駒場校(最難関国立大学専門校)、麹町校(医進専門校;2005年開校)、新宿校(2005年開校・主にCOSMOコースの別館あり)、池袋校、横浜校、立川校、町田校、大宮校、松戸校、津田沼校 (千駄ヶ谷校は新宿校開校(2005年)に伴い閉鎖)
- 東日本地区現役館
- 南浦和現役館、藤沢現役館、自由が丘現役館、あざみ野現役館、金沢文庫現役館、吉祥寺現役館、千葉現役館、川越現役館、厚木現役館
- 中部地区
- 千種キャンパス(千種校)、名駅キャンパス(名古屋校16号館、名駅校18号館、医進・東大・京大館(名駅校18号館内設置))、豊橋校、岐阜校、河合塾浜松
- 中部地区現役館・現役生教室
- 四日市現役館、津現役館、刈谷現役館、岡崎現役館、豊田現役館、大垣現役館、コミュニティスクール 犬山教室、コミュニティスクール 一宮教室、
- 中部地区個別指導教室
- 星ヶ丘教室、原教室、多治見教室
- 近畿地区
- 大阪校、大阪校医進館、大阪上本町校、京都校、天王寺校
- 近畿地区現役生教室
- 草津教室、茨木教室、寝屋川教室、豊中教室、堺東教室、岸和田教室、甲子園教室、三田教室、西大寺教室、八木教室、西宮北口教室
- 中国地区
- 広島校、福山校、現役生教室(呉教室、五日市教室、倉敷教室)
- 九州地区
- 福岡校、北九州校、現役生教室(久留米教室、折尾教室)
この他、仙台市・静岡市・長野市に事務所がある。以前は岡山市にもあったが、福山校開校により閉鎖された。
仙台市の事務所は河合塾仙台校の中に設置されているが、仙台校の運営は河合塾の提携予備校である文理学院で、河合塾の資本は入っていないため、現在でも事務所が置かれている。河合塾仙台事務所は、河合塾東北地区営業部となり、事実上閉鎖となった。
静岡事務所は、中部地区営業部(名古屋)・長野事務所は東日本地区営業部(大宮)へ2006年4月より統合され、河合塾の事務所は閉鎖された。
[編集] 河合塾グループ校舎
- 河合塾文理、神戸コロンビア学院
[編集] 河合塾関連グループ
- 学校法人 河合塾
- 学校法人 河合塾学園
- 学校法人 文理学院(河合塾文理)
- 財団法人 河合記念奨学財団
- 株式会社 河合出版
- 株式会社 学協
- 株式会社 カワイサービスコーポレーション(KSC)
- 株式会社 カワイフードサービス(KFS)
- 株式会社 河合塾グリーンアカデミー
- 株式会社 テスト研究センター
- 株式会社 河合塾進学研究社
- ゴートゥ-スクール・ドット・コム株式会社(52school.com)
- 株式会社 全国試験運営センター