権利能力
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権利能力(けんりのうりょく)とは、私法上の権利・義務の帰属主体となり得る資格をいう。ドイツ語の「Rechtsfähigkeit」の訳語である(「権利能力がある」は「rechtsfähig」)。すぐれて近代的な概念であり、身分によって享有しうる権利義務に差異のある中世的な世界観を打破した点に、この概念の意味がある。
同義語として法人格(ほうじんかく, Rechtspersönlichkeit)という用語がある。
[編集] 自然人の権利能力
自然人は、生まれながら(出生時)に権利能力が認められる(民法3条1項)。自然人が主体となり得る権利義務の範囲には、原則として制限はない。
しかし、外国人(日本国の国籍を有しない者をいう。)の権利能力には、「法令又は条約に禁止ある場合」があり得る(民法3条2項)。その例として、土地に関する権利の享有(外国人土地法1条)、国家賠償(国家賠償法6条)などが採用する相互主義に基づく制限や、知的財産権の享有に関する制限(特許法25条など)がある。
[編集] 法人の権利能力
法律により権利能力(法人格)が認められ、権利義務の主体となることのできる団体(社団・財団)のことを法人という。法人の権利能力には、以下のような制限がある。
- 性質による制限
- 婚姻関係の当事者となるなど、性質上自然人のみが主体となる行為についての権利能力はない。
- 法令による制限
- 権利能力の範囲は、法令によって制限され得る。
- 目的による制限
- 従前は、法人の目的の範囲を超える行為(ウルトラ・ヴィーレスを参照)についての権利能力はないとされていたが、最近は行為能力の制限又は代表者の代表権の制限にとどまると解する見解が有力である。「目的の範囲」は営利法人の場合については広く緩やかに、非営利法人の場合については文言解釈を重視し厳格に判断するというのが、通説である。