日本語におけるフランス語由来の外来語
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日本語におけるフランス語由来の外来語は、芸術、服飾、料理、製菓、哲学の分野に多い。近年、英語由来の外来語に押され消えていく語(例:仏語「アベック」→英語「カップル」)がある一方、雑誌などでは、多くの日本語話者にとって意味の分かる英語ではなく、なじみの薄いフランス語を使用して新鮮なイメージを持たせようとする傾向(例:「とらばーゆ」「ヴァンサンカン」)が見られ、これらが外来語として定着することもある。
以下の外来語の中にはフランス語から英語になってから日本語になったものもあり、英語で通じても元のフランス語では意味が通じなくなったものもある(例:クレヨン、グランプリ、アンコール)。また、フランス語から日本語になった言葉の中には英語ではまったく通じない言葉もある(例:デッサン、ズボン、オブジェ)。
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[編集] 事例
[編集] 芸術
- アバンタイトル (avant-title)
- avantは~の前にの意。なおtitleは英語で、フランス語ではtitre(ティトル)である。
- アトリエ (atelier)
- アール・ヌーヴォー (Art Nouveau)
- アンサンブル (ensemble)
- sembleは「似せる」。互いに似た旋律を弾く事。
- アンティーク (antique)
- エチュード (étude)
- 英語でstudyで、練習曲と訳される
- オブジェ (objet)
- 物あるいは対象の意。(英語:object)
- オマージュ (hommage)
- クレヨン (crayon)
- 原語では鉛筆の意。
- コラージュ (collage)
- シュール (surréalismeの誤った省略)
- デッサン (dessin)
- パ・ド・ドゥ (pas de deux)
- 英語に直訳すると「Not but two」で二人のステップの意
- バレエ (ballet)
[編集] 服飾
- オートクチュール (haute couture)
- ズボン (jupon)
- ペチコートの意
- パンタロン (pantalon)
- ブーケ (bouquet)
- ブルゾン (blouson)
- プレタポルテ (prêt-à-porter)
- すぐ着られる意
- ブロンド (blond(e))
- ルージュ (rouge)=口紅
[編集] 料理・食品
- アラカルト (à la carte)
- オードブル (hors-d'œuvre)
- カフェ (café)
- カフェオレ (café au lait)
- 英語由来のミルクコーヒーをほぼ完全に駆逐したが、イタリア語由来のカフェラテ(ラッテ)にやや押されつつある。
- グラタン (gratin)
- グルメ (gourmet)
- クロワッサン (croissant)
- 三日月形の意。「信じている」という形容詞にもとれる。
- コンソメ (consommé)
- トリュフ (truffe)
- ビュッフェ (buffet)
- 食器棚、軽食堂、立食パーティなどの意
- ブイヨン (bouillon)
- フォアグラ (foie gras)
- ポタージュ (potage)
- ポトフ (pot-au-feu)
- 「3~4人分の鍋料理」の意
- メニュー (menu)
- フランス語の発音はムニュ
- ラタトゥイユ (ratatouille)
- レストラン (restaurant)
- ピーマン (piment)
- 原義は、ピーマンを含めたトウガラシ類一般を指す。
[編集] 製菓
- エクレア (éclair)
- フランス語の発音はエクレール。稲妻、ひらめきの意
- クレープ (crêpe)
- ゴーフル (gaufre)
- ゴーフレット (gaufrette)
- 小さいゴーフルの意
- シュークリーム (choux à la crème)
- フランス語のシュー(choux)と英語のクリーム(cream)を合成した日本語独自の造語。
- スフレ (soufflé)
- タルト (tarte)
- トルテは独語
- パティシエ (patissier)
- パフェ (parfait)
- 英語でperfectの意
- プチフール (petit four)
- 小さな窯の意
- マロン (marron)
- ミルフイユ (millefeuille)
- 千枚の葉の意
[編集] 社会・学問・思想
- アナルコサンディカリスム (anarcho-syndicalisme)
- アバンギャルド (avant-garde)
- アバンゲール (avant-guerre)
- アプレゲール (après-guerre)
- アンガージュマン (engagement)
- エクリチュール (écriture)
- クーデター (coup d'état)
- クレオール (créole)
- サンディカリスト (syndicaliste)
- サンディカリスム (syndicalisme)
- シニフィアン (signifiant)
- シニフィエ (signifié)
- シュールレアリスム (surréalisme)
- ディスクール (discours)
- ヌーヴォー・ロマン (nouveau roman)
- パロール (parole)
- 英語ではspoken
- パンセ (pensée)
- 英語ではthoughtで思想、考えの意
- ブルジョワ (bourgeois)
- プロレタリア (prolétariat)
- プロレタリアートはドイツ語のProletariatからの借用
- ラング (langue)
- 舌、言語の意
- ルサンチマン (ressentiment)
- ルネサンス (Renaissance)
- レアリスム (réalisme)
- 英語からのリアリズム(realism)と同じ
- レゾン・デートル (raison d'être)
- このêtreは名詞(英語のbeに相当)。英語ではReason of beingで、存在理由、存在価値、存在意義などと訳される。
[編集] その他
- アバンチュール (aventure)
- 英語のadventureに相当
- アベック (avec)
- 原義は英語の with に相当。
- アンケート (enquête)
- アンコール (encore)
- また、もう一度の意。日本語での「アンコール」はフランスではEncore!とは言わない。(Bis!と言う。)
- アンツーカー (en-tout-cas)
- エチケット (étiquette)
- ticketと同語源で札、ラベルの意
- オーエス(oh hisse)
- 「それ引け」という意味。綱引きの掛け声「オーエス」は、この言葉から来ているという説がある。
- カムフラージュ (camouflage)
- ギャルソン (garçon)
- 少年の意
- グランプリ (Grand Prix)
- 直訳して「大賞」と呼ばれる事もある。
- コンクール (concours)
- コンシエルジュ (concierge)
- 門番の意
- サボタージュ (sabotage)
- 日本語ではサボるという動詞としても使用される。
- サロン (salon)
- ジャンル (genre)
- シルエット (silhouette)
- 人名。
- デジャヴュ (déjà vu)
- すでに見たの意
- パラシュート (parachute)
- パラソル (parasol)
- バリカン
- 製造会社、Barriquand et Marre より
- ビバーク (bivouac)
- プロムナード (promenade)
- ベージュ (beige)
- ポプリ (pot-pourri)
- モンタージュ (montage)
- ランデブー (rendez-vous)
- ルーレット (roulette)
- ルポルタージュ (reportage)
- レジュメ (résumé)