日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
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特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(にほんファイナンシャル・プランナーズきょうかい)とは、ファイナンシャルプラニングの理念の確立と啓発・普及のため、その担い手となるファイナンシャル・プランナーの育成・組織化を図り、日本国経済ならびに国民生活の向上に寄与することを目的とした非営利組織である。1987年11月に任意団体として設立され、2001年(平成13年)7月に特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受けた公益法人となっている。
本部は、東京都港区虎ノ門1-1-20虎ノ門実業会館6F。理事長は加藤寛。
日本FP協会(にほんエフピーきょうかい)と略すことがある(以降、本稿では日本FP協会と略す)。英文名称は、Japan Association for Financial Plannnersであり、英文略称はJAFP(ジェイエイエフピー)である。
日本版金融ビッグバンの進展とそれに伴う金融知識の必要性、日本人の資格取得意欲に支えられ、2004年7月1日現在の個人会員数は140,201名と大規模な組織に急激に拡大した。また、各国のFP団体に比べても、非常に潤沢な財政規模を誇っている。
現在、パーソナル・ファイナンシャル・プランニング(PFP)のISO規格化策定で、社団法人金融財政事情研究会とともに日本における中心的な役割を担っている。
目次 |
[編集] 沿革
- 1987年11月
- 任意団体として日本FP協会設立
- 1988年9月
- アメリカIAFP(現・FPA)と、ニューヨークで初の公式会議を開催、相互協力で合意
- 1990年1月
- FP資格審査試験制度を確立
- 1992年4月
- アメリカCFPボードと業務提携合意書に正式調印、日本へのCFP資格制度導入が決定
- 1993年5月
- 日本初のCFP資格審査試験を実施(東京、大阪の2会場で807人が受験)
- 1993年5月
- 日本初のCFP認定証授与式を開催(東京、大阪の2会場で201人のCFP認定者誕生)
- 1994年12月
- 第1回FPフェアを東京で開催。CFP全国大会も同時開催
- 1995年11月
- 新理事長に牧野昇が選出、就任
- 1996年3月
- アメリカIAFPと業務協力合意書に調印
- 1996年6月
- 会員紙「JAFP INFORMATION」(日本FP協会通信、隔月刊)を創刊
- 1998年4月
- 1999年2月
- アメリカICFP(現・FPA)との提携による協会機関誌「FPジャーナル」を創刊(隔月刊)
- 1999年8月
- FP広報センターを開設
- 1999年11月
- AFP資格初の全国統一会場試験を全国49都市で実施(15,652人が受験)
- 2000年3月
- 2001年7月
- 特定非営利法人(NPO法人)の認証を受け、日本FP協会が公益法人化
- FPサポートセンター設立
- 2001年10月
- 「FPジャーナル」を月刊化
- 2002年4月
- 厚生労働省が国家検定としてファイナンシャル・プランニング技能検定を、国家資格としてファイナンシャル・プランニング技能士を追加
- 2002年6月
- 日本FP協会が金融財政事情研究会とともにファイナンシャル・プランニング技能検定指定試験機関の指定を受ける
- 第1回NPO法人日本FP協会社員総会開催(以降、毎年6月に定時社員総会開催)
- 2003年10月
- CFP資格認定会員数10,000人を突破
- 2004年6月
- 役員任期満了に伴い、牧野昇が名誉理事長に就任
- 2004年7月
- 加藤寛が理事長に就任
[編集] 歴代理事長
[編集] 認定資格
[編集] AFP資格
AFP資格(エイエフピーしかく)とは、日本FP協会認定の普通FP資格であり、民間資格である。
AFPとはAffiliated Financial Planner(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)の略称であり、日本FP協会の登録商標である。
AFP資格審査試験は、2003年(平成15年)2月より厚生労働省指定の国家検定である2級ファイナンシャル・プランニング技能検定試験を兼ねている。AFP資格を取得するには、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定試験に合格しかつ、AFP認定研修の修了していること(AFP認定研修受講は、試験実施の前後を問わない)、そして日本FP協会に資格認定会員として入会申請すること(日本FP協会が定める倫理規程厳守等の誓約書署名を含む)が要件となっている。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定試験は、毎年3回実施されており、四肢択一マークシート方式の学科試験(60問120分間)と、記述式の実技試験(40問90分間)の2試験が1日間に行われる。学科試験と実技試験の双方に合格して、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定試験合格となる。
[編集] CFP資格
CFP資格(シーエフピーしかく)とは、米国CFP BOARD(シーエフピー ボード、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER BOARD OF STANDARDS, INC、CFP資格認定委員会)が実施する資格審査試験により認定されるファイナンシャル・プランナー資格であり、民間資格である。 日本国内では、CFP BOARDの認証を受け契約を締結している日本FP協会が試験を実施し、認定している。
CFPとはCertified Financial Planner(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)の略称である。CFP、Certified Financial Planner、サーティファイド ファイナンシャル プランナーは米国CFP BOARDの登録商標であり、ライセンス契約の下に日本FP協会が使用を認めている。
CFP資格を取得するには、CFP資格審査試験に合格すること、AFP資格取得後1年間の実務経験(日本FP協会への会員在籍期間)を有すること、日本FP協会が定める倫理規程厳守等の誓約書に署名することが要件となっている。
CFP資格審査試験は、毎年2回実施されている。試験課目は、金融資産運用設計、不動産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング、リスクと保険、タックスプランニング、相続・事業承継設計の6課目あり、1課目2時間の四肢択一マークシート方式試験で2日間にわたって実施される。1課目ずつの受験及び合格を認める課目合格制度を採っており、6課目全てに合格して初めてCFP資格審査試験合格となる。
[編集] 継続教育制度
AFP資格、CFP資格とも継続教育制度を採用している。継続教育制度とは、継続教育と資格更新を義務づける制度である。
日本FP協会が定める継続教育規程に基づき、資格認定後2年以内にAFP資格は2課目以上で15単位以上、CFP資格は2課目以上で30単位以上取得しなければ、資格更新できない。ここでの課目は、CFP資格審査試験の試験課目(金融資産運用設計、不動産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング、リスクと保険、タックスプランニング、相続・事業承継設計)に、FP実務と倫理を加えた、7課目である。また、単位と課目は継続教育規程に基づき設定されるため、受講した継続教育の内容と時間により異なる。ちなみに、継続単位は、日本FP協会の本部または各支部が主催する集団研修受講や、日本FP協会が認定した教育機関での講座受講、FPジャーナル誌上での継続教育テストの受験・合格などで取得できる。
規程単位数を満たして超過しても、次の2年間の更新期間に超過単位分を繰り越すことはできない。さらに、AFP資格保持者がCFP資格保持者になった場合、AFP資格での継続教育要件を満たしたとみなし、CFP資格取得から2年間の新たな更新期間に入る(CFP資格取得前に取得した単位は引き継げず、0単位からスタートとなる)。
規程単位数を満たさない等、資格更新を行わない場合は、CFP資格者はCFP資格放棄となりAFP資格者へ、AFP資格者はAFP資格は喪失し一般会員へ、それぞれ移行する(日本FP協会の会員を辞め退会する場合は、別途届け出が必要)。AFP資格者だった場合は、CFP資格審査試験での課目合格も全て取り消しとなる。ただし、日本FP協会が別途定めている再認定条件を満たすことで、CFP資格者、AFP資格者へ復帰することも可能である。
[編集] 4E
日本FP協会では、AFP資格、CFP資格のライセンス認定基準の根幹に「4E」を据えている。4Eとは、Education(教育)、 Examination(試験)、Experience(経験)、Ethics(倫理)の4項目から成る。
[編集] ファイナンシャル・プランニング技能士との関係
2003年(平成15年)から国家資格としてのファイナンシャル・プランニング技能士制度が創設され、日本FP協会の「4E」の中のExamination(試験)部分が国家検定としても位置付けられることとなった。
ファイナンシャル・プランニング技能士には資格更新が不要であるため、日々変わる金融経済情勢に対応するために継続した教育を受ける必要がある。また、取り扱う情報の内容などから高度な倫理観が求められる。
日本FP協会では、会員であるAFP資格、CFP資格の認定者に、教育要件(認定教育と継続教育)と倫理要件による資格認定・更新を義務付けることにより、その実現を図っている。
また、日本FP協会非会員に対しては、金融財政事情研究会ファイナンシャル・プランニング技能士センターが、「技能士センター認定会員制度」および「継続学習制度」を設け、倫理規定と継続学習プログラムによる認定・更新を提供することにより、相互補完を図っている。
なお、日本FP協会の教育要件とファイナンシャル・プランニング技能士センターの継続学習プログラムの2制度に相互の互換性はない。
[編集] FPジャーナル
FPジャーナル(正式には「日本版FPジャーナル」)とは、日本FP協会の月刊機関誌であり、アメリカFPAの「Journal of Financial Plannning」との提携誌である。
誌面には、日本FP協会からの伝達事項、告知事項のほか、海外のFP業界事情、FP業界の最新情報、教育情報、CFP認定試験情報が掲載されている。隔月でFP誌上講座と継続教育テスト(継続教育制度の対象になる)が掲載されている。
[編集] スタディ・グループ
スタディ・グループ(SG)とは、CFP資格認定者が中核となり、会員が住居または勤務する地域において、日本FP協会会員またはFPに関心のある有志を集め、継続的かつ定期的にFPに関連する分野について勉強会を開催する、日本FP協会が承認したグループである。
FPの人的交流を広げ、業務の幅を広げる、FPの相談能力やコミュニケーション能力を高める、FP起業に結びつくなどの効果が高いとされ、日本FP協会の各地域ブロック、各都道府県支部でSG活動を奨励している。
[編集] FPフェア
FPフェアとは、日本FP協会が主催で年1回開催する、FPビジネスに役立つ最新情報の展示会や、FP知識を学ぶ 講演会などが開かれる、一大イベントである。展示会、講演会は原則、日本FP協会会員と出展企業に参加は限られる。一般は、市民向けセミナーと市民向け講演会に参加可能である。
FPフェア2004は、「めざせ! FP実務のプロフェッショナル ~自律する生活者とのかけ橋へ~」と題して、2004年9月11・12日の2日間にわたり千葉県千葉市の幕張メッセで開催された。
FPフェア2005は、「FP飛躍の法則 ~業界の確立と国際化に向けて~」と題して、2005年5月7・8日の2日間にわたり、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催された。