旅行代理店
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旅行代理店(りょこうだいりてん)とは、交通・宿泊・その他の旅行商品を仲介(あるいは自社で企画・催行)して販売する会社のこと。旅行会社(りょこうがいしゃ)とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 登録制度
旅行代理店には国土交通大臣登録が必要な第1種、都道府県知事の登録が必要な2種、3種及び旅行業者代理業者がある。
区分としては第1種は国内・海外のパッケージツアー及び手配の取扱が可能で、2種においては国内のみのパッケージツアー及び手配の取扱が可能、3種に関しては手配のみの取扱が可能。
旅行業者代理業者は1種若しくは2種、3種の旅行業登録のある旅行業者に委託された業務の範囲内のみ取扱が可能。
法的には、各営業所に1名以上の「総合旅行業務取扱管理者、国内旅行取扱業務管理者」の資格を持つ者の選任が必要。(概ね10名以上の営業所の場合は2名以上の選任が必要)
[編集] 起こり
大衆の旅行の起源として近世の社寺参詣をあげられることと関連して、旅行代理店のルーツの一つとして、御師や先達などが挙げられる。
彼らは、社寺に所属する下級の神職や僧侶などで、各社寺の布教のために村々に講(信者団体)を組織し、信者を獲得していった。定期的に村を訪れ、社寺のお札を配ったり、教えを説教したりした。そして、村人が社寺に参拝する際には、彼らは案内人として社寺まで先導し、社寺に到着すれば宿泊先の斡旋や提供、旧所名跡の案内解説を行い、社寺参拝の取次ぎを行なった。この際の参拝者のもたらす収益は大きなもので、信者名簿は顧客リストとして重要視され、高額で取引されるようになり、また借金のかたともされた。
これらの制度は、明治に入り政府により廃止されたものの、近代の大衆旅行の基本的な形が既に出来上がっていた。
[編集] 業務
- 交通機関の乗車券、乗船券、航空券(総称して船車券と呼ばれる)の予約・手配・販売。大手旅行会社では「みどりの窓口」(マルス端末)や私鉄などの端末を持っている営業所も多い。
- ホテルなどの契約宿泊施設の宿泊券の予約・手配・販売
- 交通機関や宿泊施設、観光施設などを組み合わせたパッケージツアー(旅行商品)の企画、設計、販売、催行
- 地方自治体、公共機関などが企画したツアー商品の代行販売
- 外貨の両替、トラベラーズチェックの販売(一部)
- 旅行券の発売。
- 旅行雑誌の出版。
近年はインターネットの普及により、旅行会社を通さずに交通機関や宿泊施設への直接予約や船車券・宿泊券の販売が多くなったため、パッケージツアーの開発や販売に力を入れている業者が多い。
古くからの旅行代理店は旅行雑誌を手がけることは少ないが、リクルートの様に旅行雑誌を中心とした旅行代理店も存在する。この場合、会社組織は出版社であるが、特定部署の業務は旅行代理店業務である。但し、従来の旅行代理店との繋がりもあり、雑誌社のツアーなどには従来の旅行代理店が行う物、つまり代行手続きも含まれている。
[編集] 代理店を利用するメリット
一般的によく知られている物に以下の物がある。
- 格安航空運賃
- パッケージツアーでは団体扱いとなるため、個人旅行より割安運賃となる。
- 海外でガイド
- ツアーガイドが付くなど初めての海外でも旅行が容易になる。
- 宿泊施設の手配の一本化
- 探す手間が省けるなどのメリットがある。
[編集] 近年の旅行代理店が抱える問題
[編集] チケット入手問題
海外にて行われるスポーツイベントに合わせツアーを組むことが多い。しかし、観戦チケットを他の業者に依頼するためツアーを組んだがスポーツイベントのチケットが入手できないという問題が発生している。
特にFIFAワールドカップなど多くのチケットが必要な場合に発生している。
[編集] 海外渡航情報
近年、海外で日本人が巻き込まれる事件事故が多発しているため、顧客への情報発信が求められている。また、国も海外渡航安全情報等の情報発信を行っている。
[編集] 業者間により見所の違い
主な代理店は自社の契約した宿泊施設を中心とした旅行案内を行っている。このため、宿泊施設とは直接契約の無い鉄道などの交通機関と比べると見所が大きく異なることも多い。これは、宿泊施設を中心とした観光案内を行った方が契約宿泊施設への入り込み客も多くなり、宿泊時に斡旋を行えば斡旋料が自社の利益にもなる為である。従って、契約マージンが高額である施設を中心に掲載されていることが多い。反面、交通機関の場合、見所はこれらに左右されることが少ない。一部の交通機関ではアンケートや経済研究所などの協力を得て見所を選定しているところもあるため、これらとは見所がかけ離れる場合も多々ある。
[編集] 現地を訪れないルポライター
雑誌、パンフレット等では専用のライターが存在する。大手を除き、この多くは実際には現地を訪れることは極めて少ない。写真等は現地の旅館、旅館組合、観光協会などに無償で依頼する。また記事も現地調査することなく記載するため写真等の説明文に誤記を生じることが多々ある。最も多い誤記は、実際の現地の写真とは全く異なる場所の写真が掲載される事がある。現地を訪れていれば校正の段階で判る誤記である。また、現地を訪れていないため、方角が判らず、朝日の写真で有るにもかかわらず夕日と紹介するなどの致命的な誤記をあたかも現地に行って見てきたかのように紹介することもある。この多くは雑誌の印刷の都合上、高画質の写真が必要であるため、ポジと呼ばれる大判の高画質のフィルムを要求する。また、記事も複数の雑誌が同時期に書くため提供する側も数枚のポジを準備する必要がある。本来、撮影には写真の専門家が撮影しなければならず、天候にも左右されるなど1枚1万円から数万円の費用が掛かるが、借用と称し借りた場合でも返却を行わないことが殆どであるなどの問題が生じている。
[編集] 宿泊施設との契約
斡旋料は宿泊料金の10%から40%程度である。同じ旅行代理店によっても斡旋料が異なるのは、その斡旋方法に違いが有るためでもある。低額の斡旋料の場合は単純に施設紹介だけであるが、高額の斡旋料の場合、人気コースの部屋数を確保するため年間を通じ、部屋単位で旅行代理店が借り上げるためである。この為、一律の紹介、斡旋を行っていたのでは、利益の低下が起こるため、自己の確保した宿泊施設を埋める事が優先して行われている。 優先的に客を入れるには高額な契約と、部屋数を確保する必要があるため、民宿など部屋数の少ない施設などでは登録しても高額斡旋料の施設が埋まらないと次に斡旋が回ってこないなどの旅館側の不満から一部に契約離れが進んでいる。
[編集] 少子化による修学旅行件数の減少
少子化は旅行代理店にとってドル箱である修学旅行件数の減少を招いている。1学年当たりの人数が減ったことで近隣の学校同士が合同で修学旅行を行い、旅費・人件費などを抑えるケースが出てきたためである。経費の低減・マージンの増加などが旅行代理店としても見込め、1件あたりの利益を維持できるメリットもあるが、結果としては修学旅行件数の低下につながっている。
[編集] 学校による自主コース設定
一部の学校では馴染みの旅館などができ、修学旅行、夏季合宿等の宿泊を前年度から直接宿泊施設に依頼するケースも出始めている。大抵の場合、天候に左右されやすい体験学習が出来るなどの一般的に言われている旅行代理店などが設定しにくい内容を設定している。 特に、体験学習を重視する傾向にあり、旅行代理店を介していたのでは要求する体験学習が実施する側に伝わりにくいなどの問題から直接、交渉に当たるためである。 また、宿泊施設は旅行代理店の契約施設が斡旋されるが、宿泊施設側が旅行代理店と契約を解約すると同じ宿泊施設が毎年利用できるとは限らない。この為、いくつかの問題が生じることがある。例えば、同じ市内に於いても街中と郊外の旅館では環境が大きく異なる。一例を挙げれば市内では光害により、星空が見えにくいが、一歩外れると旅館から銀河を見ることが出来るなど、夜間に於ける体験も重要視されているが旅館と代理店の契約が解除された場合、翌年の旅行では別の施設が斡旋されることとなり期待を削がれることがある。また、近年では複数の民宿に分散することにより地域の民話、風習などを聞くなどの体験学習をも重視している。特に後者の場合、民宿であるため旅行代理店との契約が無い施設が多く、学校側が自主的に宿泊施設を探すことが多い。この場合、大抵は学校側が宿泊施設などを設定し、バスなどの旅客業者がコース設定をすることが多い。
[編集] 一人旅、グループ旅行による自主コース設定
旅行代理店が手配する個人旅行とは異なり、手配を必要としない旅行が増えている。自家用車とインターネットの普及により、個人でも容易にコースを設定できるようになっている。実際の旅行者の約半数程度はインターネットを利用してコースを自主設定したものと言われている。特に文化庁などが私の旅百選などコースを公募し公表するなど一人旅、グループ旅行がし易いようにコース設定を支援している。また自治体によりコースを紹介している所や、個人の趣味でコース紹介をしている所もあり、宿泊施設もインターネットを利用し直接交渉するケースも増えている。特に旅行代理店の設定された物は万人受けをさせるため、旅行代理店の指示により料理内容が固定されている。この為、同じ料理に飽きた者が自主的に宿泊施設と交渉するのである。
[編集] 特定ツアーからの除外
地域によっては地方自治体が後援した組織や旅館組合が設定したツアーから一部の旅行代理店が除外されることもある。この場合、ツアーの一部費用を自治体や旅館組合の補助金により賄われるが、旅行代理店の中には利益を追求する余り、設定された宿泊施設中、自己と契約している宿泊施設しか斡旋せず、依頼は全宿泊施設に対し斡旋を依頼しているにもかかわらず、斡旋された宿泊施設は契約施設のみでほぼ満杯状態にされるが、未契約の施設に対しては全く斡旋されないことが発生する。この為、ツアーを企画した自治体、及びその関連組織、旅館組合などから補助金の無駄使いが指摘され、翌年以降ツアーの企画が無くなるか参加を除外される訳である。
[編集] 主な旅行代理店
- ジェイティービー(JTB)
- 近畿日本ツーリスト
- 日本旅行
- エイチ・アイ・エス(HIS)
- 楽天トラベル(旧 旅の窓口)
- 名鉄観光サービス
- トップツアー(旧 東急観光)
- 阪急交通社
- 読売旅行
- 農協観光(N‐tour)
- ビッグホリデー
- ホワイトベアーファミリー
- びゅうプラザ
- ジェイアール東海ツアーズ