文化財
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文化財(ぶんかざい)は、人類の文化、歴史、学術などの見地から価値をもち、保存を要する有形・無形の遺産全般を指す用語である。一般には、国または地方公共団体の指定文化財を指すことが多いが、未指定の文化財のなかにも貴重なものは多数ある。
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[編集] 日本の文化財保護法に定める文化財
日本の文化財保護法では、「文化財」として以下のものが指定、選定、登録の対象となっている。
[編集] 有形文化財
建造物、美術工芸品(絵画、彫刻、工芸品、書籍典籍、古文書、考古資料、歴史資料)
- 重要文化財:有形文化財のうち特に重要なもの
- 国宝:重要文化財のうち、特に価値の高いもの
- 登録有形文化財:国または地方公共団体の指定を受けていない有形文化財(おもに近代のもの)のうち、保存と活用が特に必要なもの
[編集] 無形文化財
演劇、音楽、工芸技術など
- 重要無形文化財:無形文化財のうち特に重要なもの(このうち、個人が持つ技能、技術が指定された場合、その個人を人間国宝と俗称する)
- 選択無形文化財:文化財保護法第77条第1項の規定により文化庁長官によって選択されたもの。条文の名称は「重要無形文化財以外の無形文化財の記録の作成等」。
[編集] 民俗文化財
衣食住、生業、信仰、年中行事などに関する風俗習慣、民俗芸能、民俗技術など
- 重要有形民俗文化財:有形の民俗文化財のうち特に重要なもの
- 重要無形民俗文化財:無形の民俗文化財のうち特に重要なもの
- 登録有形民俗文化財:国または地方公共団体の指定を受けていない有形民俗文化財(おもに近代のもの)のうち、保存と活用が特に必要なもの。最初の登録物件は、「若狭めのう玉磨用具」「勝沼のぶどう栽培用具及び葡萄酒醸造用具」「雲州そろばんの製作用具」の3件で、2006年3月15日に官報告示された。
- 選択無形民俗文化財:「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として文化庁長官が選択したもの。(文化財保護法の条文の名称は「重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等」)
[編集] 記念物
- 史跡:貝塚、古墳、遺跡など
- 特別史跡:史跡のうち特に重要なもの
- 名勝:庭園、渓谷、山岳、洞窟、泉など
- 特別名勝:名勝のうち特に重要なもの
- 天然記念物:動物、植物、鉱物など
- 特別天然記念物:天然記念物のうち特に重要なもの
- 登録記念物:国または地方公共団体の指定を受けていない記念物(おもに近代のもの)のうち、保存と活用が特に必要なもの。最初の登録物件は「函館公園」(北海道函館市)、「再度(ふたたび)公園及び再度山永久植生保存地」(神戸市)、「相楽園」(神戸市)の3件で、2006年1月26日に官報告示された。
[編集] 文化的景観
地域の人々の生活・生業および風土によって形成された、棚田、里山などの景観、日本の原風景。文化庁では、文化的景観の保存・活用事業を実施しており、国の「文化的景観の保存・整備に関する検討委員会」が第三次調査で180の重要地域を選定した。
- 重要文化的景観:景観地区などとして都道府県または市町村が保存措置を講じているものの中から国が選定。重要文化的景観選定の第1号は滋賀県近江八幡市の「近江八幡の水郷」で、2006年1月26日に官報告示された。
[編集] 伝統的建造物群
周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的町並み、集落など
- 重要伝統的建造物群保存地区:伝統的町並み、集落などとして市町村が条例等により決定したものの中から国が選定
[編集] 文化財の保存技術
文化財の保存に必要な制作、修理の技術など
- 選定保存技術:上記技術のうちから国が選定
[編集] 埋蔵文化財
上記の他の文化財とは異なり土地に埋蔵されている「状態」にある文化財
[編集] 文化財学科がある大学
[編集] 関連項目
- 文化庁
- 文化財保護法
- 国宝
- 重要文化財
- 登録有形文化財
- 重要美術品
- 重要無形文化財
- 人間国宝
- 史跡
- 名勝
- 天然記念物
- 重要伝統的建造物群保存地区
- 埋蔵文化財
- 古文書
- 日本文化財科学会
- 世界遺産
- 都道府県指定文化財一覧