恐竜土偶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
恐竜土偶(きょうりゅうどぐう)とは、一般にメキシコのアカンバロで発見された土偶で、オーパーツと見なす人もいる。
現在アカンバロで発掘された土偶は37,000点以上に及ぶ(ただし、その全てが恐竜土偶というわけではない)。これらの年代をC14法(ベータ線計数法)で測定したところ、紀元前1000年から4000年という結果が出たとされる。一方、熱ルミネッセンス法で測定したところ紀元前2500年±250年という結果が出たとされる。
ただし、これらの測定結果は、それぞれの測定法で行われるべき適切な手順を踏んでいない(もしくは踏んでいることが確認できない)上、測定結果もばらつきが多くて信頼性に欠けるという指摘もある。また、これらの年代測定は制作された年代を測定するものではなく、あくまで材料の年代を測定するものであるため、古い地層や土器などの土を利用して制作した場合は制作年代よりも古い測定結果が出る。加えて、土中の塩分が土偶に付着していないことや、発掘現場を調査した考古学者がはっきりと埋め戻しの跡を確認していることなどからも長い間土に埋まっていたとは考えにくい。
また、アカンバロから発掘された恐竜土偶は、多数存在する土偶の中からたまたま恐竜に似ていたものを選び出して問題にしているだけではないかとの指摘もある。常識的に考えて恐竜は6500万年前に絶滅しており人類と共存した時期はない。そのため恐竜を模した土偶がどのようにして作られたのかが議論の対象となっており、紀元前に恐竜の化石や爬虫類を観察して創造されたという説、更には人類と恐竜が共存した時代があったという説などを唱える人もいる。
しかし土偶の造形の中には、製作した当時の間違った恐竜観に基づいたものや、半人半獣の象人間、ワニ人間や翼を持つ竜など、どう見ても空想の産物としか考えられないものも多数存在している。 またアカンバロの遺跡を調査をした、考古学者のチャールズ・ディ・ペソによって、まだ未発掘だと言われている場所にあった明白な埋め戻しの跡が発見されている事実なども合わせると、このアカンバロの恐竜土偶はまず捏造と考えて問題ない。
これと似たような恐竜と人間の共存を示すとされるオーパーツにペルーのカブレラストーンがあるが、これはBBCの取材で作り方や制作した人物が発覚したため、捏造であることが明らかになっている。