多発性硬化症
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多発性硬化症 (たはつせいこうかしょう、multiple sclerosis;MS)とは中枢性脱髄疾患の一つで、脳、脊髄、視神経などに病変が起こり、多彩な神経症状が再発と寛解を繰り返す疾患である。
最近林家こん平が罹患しているとのことで話題となった。
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[編集] 疫学
中枢性脱髄疾患の中では患者が最も多い。北米、北欧、オーストラリア南部では人口10万人当たり30~80人ほど罹患しているが、アジアやアフリカでは人口10万人当たり4人以下で、人種によって罹患率に大きな差があることが特徴である。南米、南欧、オーストラリア北部はその中間である。
若い人のほうが発症しやすい。罹患のピークは30歳頃であり、約80%が50歳までに発症する。男女比は女性のほうが多いといわれる。
[編集] 原因
さまざまな説はあるがいまだ原因は不明である。このうち遺伝、自己免疫、ウイルスなどの感染が可能性が高いと思われている。
- 遺伝
- 感染
- 再発と寛解を繰り返すという病態からウイルス感染が疑われている。しかし、今まで報告されたウイルスは数多くあるものの、どれも特異的な関連ははっきり示されてはいない。
- 自己免疫
- 根拠は不十分であるものの、いくつかの免疫異常を疑わせる所見が見られる。以下にその一例を示す。
[編集] 症状
症状は数多く、特定の症状が決まって起こるということはない。アジアでは視力障害が初発となることが多い。経過中に多く見られるのは運動麻痺、感覚障害、深部反射亢進、視力障害、病的反射などである。欧米では失調症や企図振戦が多いが、アジアではそれほど多くない。
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 深部反射亢進
- 視力障害
- 病的反射
- 括約筋障害
- 視神経萎縮
- 失調症
- 企図振戦
- 眼筋麻痺
- 嚥下困難
[編集] 検査
- 髄液検査:増悪期にリンパ球が増加する。IgGの増加が1/2に見られる。ガンマグロブリンを電気泳動すると、oligoclonal IgG bandが出現する可能性もある。
- MRI:70%以上の症例でMRIに異常が見られる。頭部MRIで特に脳室周囲に病変が発見されることが多い。
- 血液検査:軽度の白血球増加が見られることもある。
[編集] 経過
再発と寛解を繰り返すことが特徴であるが、その経過を取るのは約85%で、約15%では慢性に進行していく。再発の頻度は年1回程度である。生命予後はあまり悪くない。
[編集] 治療
[編集] 関連