地磁気
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地磁気(ちじき)は、地球が持つ磁気及びそれにより地球上に生じる磁場の総称。 ベクトル量であり、大きさと方向を持つ。大きさの単位はnT(ナノテスラ)。 ある地点において水平面と地磁気のベクトルとがなす角を伏角といい、水平面に投影したときの真北とのなす角を偏角と呼ぶ。 現在は北極部にS極、南極部にN極に相当する磁極がある。地球の磁場は自転軸に対して約10.2度(2006年現在)傾いているため、地理上の極と磁極の位置にはずれがある。 偏角が現れるもっとも大きい要因はこのずれである。
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[編集] 発生原因
発生原因は諸説があるが、現在は地球の外核が電気伝導度の高い液体になっていて、それが流動することにより電磁誘導で磁場が発生するという「ダイナモ説」が最有力である。
[編集] 強さ
地磁気の強さは場所によって異なり、磁力は24000~66000nT(0.24~0.66ガウス)。赤道では弱く、高緯度地域では強い。
[編集] 周期
常に一定ではなく、複数の周期で状態が変わる。日あたりの変化を「日変化」、何年~何百年にも及ぶ変化を「永年変化」と呼ぶ。日変化は太陽との関連がある。磁気嵐、オーロラも太陽と関係がある。
地磁気は年々弱くなっており、ここ100年では約6%弱くなった。この割合で進むと、1000年足らずで地磁気は消滅すると言われている。現在、地磁気は発生と消滅を繰り返しているとした説が有力視されている。
地磁気は平均すると100万年に1.5回の割合でN極・S極が逆転しており、古地磁気学による研究が進められている。
[編集] 利用
地磁気の利用は古くから行われており、方位磁針を用いて方位を知るために用いられてきた(この場合得られるのは磁気方位であり、地理上の方位を得るためには磁気偏角で補正しなければならない)。 また、伏角を利用して姿勢計測・制御を行うようなシステムも存在する。 また、地磁気を利用したモーションコントロールセンサーも携帯電話等に実装例がある。