公営住宅
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公営住宅(こうえいじゅうたく)とは地方公共団体が建設し、低所得者向けに賃貸する住宅(多くは集合住宅)のこと。公営住宅法(昭和26年法律193号)によって定められている。
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[編集] 初期公営住宅の例
- 横浜市営中村町共同住宅(1921年)?
- 東京市営古石場住宅(1923年)
- 大阪市営下寺町アパート(1930年) 軍艦アパートの愛称で知られた
- 東京府営西巣鴨共同住宅(1931年)・三河島共同住宅(1932年)
- 鉄筋ブロック、鉄筋コンクリート造による初期の集合住宅である。大阪市営アパートの一部を除き、いずれも現存しない。
- 東京市営真砂町住宅(1923年)
- 良質な住宅建設を目指したもので、木造一戸建ての住宅。独身者向けには鉄筋コンクリート造による集合住宅(清和寮)が造られた。
第二次世界大戦後、戦災を受けた東京では外地からの引揚者も加わり住宅難が深刻になった。木造長屋建ての都営住宅が大量に供給された。
- 東京都営高輪アパート(1948年)
- 第二次世界大戦後最初の鉄筋コンクリート造都営住宅。現存しない。
[編集] 公営住宅の問題
- 高齢者の住民が多くなりがちで、コミュニティの維持が困難な場合も見られる。
- 所得が基準を超えた場合は転出するのが本来であるが、家賃が安いのでそのまま居住している住民も多く、本来公営住宅を必要とする人に供給されにくくなっている。
- 高度成長期に建設された住宅が多く、老朽化が進み、建て替えの必要に迫られる住宅が増えているが、移転先の家賃の増額に反発しトラブルとなるケースが増えている。
- 近年は高齢者に加えて母子家庭の割合が非常に多い。本来、母子家庭は入居時に優先されるべきであるが、募集すると申し込み世帯が全て母子家庭というケースもある。
- 地域によっては外国人の割合が多い場合もある。この場合、生活習慣の違いなどから日本人入居者とトラブルになるケースも多い。
- 入居申し込みや審査の段階で議員などによる口利きがあるのではないかという向きもある。このため、募集期間を設け最低限の書類審査のみを行い、申し込みが重なった場合は抽選とするなど、第三者の思惑が入らないようにしている自治体も多く見られる。
- 公営住宅は本来の目的から離れ、実質的に「福祉住宅」となっているという意見もある。
[編集] 旧公団住宅との違い
独立行政法人都市再生機構が供給する賃貸住宅(UR賃貸住宅、旧公団住宅)は公的機関が供給していたため、低所得者向けの公営住宅と誤解されることがある。
しかし、UR賃貸住宅・旧公団住宅は中堅所得者に良質な住宅を供給することを目的に建設され、家賃は高めに設定されていて、定められた以上の所得が無いと入居できない。日本住宅公団が初期に建設した賃貸住宅の住民はインテリ層が多かった。(彼らは、団地族と呼ばれた。)近年のものはアネックスルーム(離れ)やフリールームを持つ高級な物件が多い。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 公営住宅法(法庫.com)
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