伊賀の影丸
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『伊賀の影丸』(いがのかげまる)は横山光輝の漫画作品である。
目次 |
[編集] 概要
1961年から1966年まで「週刊少年サンデー」に連載された。主人公の影丸は江戸幕府の隠密で、伊賀流の忍者。彼は服部半蔵の命を受けて日本各地に赴き、徳川家に敵対する勢力と戦う。本編9話、番外編3話がある。1963年11月5日から1964年11月3日まで、TBS系で人形劇が放映された(全52話)。
黒装束に鎖帷子を着るという忍者のイメージを確立した漫画である。忍者は基本的に諜報員であり、戦闘は本来の仕事ではない。しかし、本作においては忍者同士の戦闘・忍術合戦が話の中心となり、それも複数対複数の駒取り合戦のような設定をして子供の読者の心をつかみ成功を収めた。しかし、同時に、忍者は忍法で戦い合う者という、史実的には間違った印象を子供達に与えてしまった。だから、本作での忍者は基本的に人間の姿をしているが、仮面ライダーにおける仮面ライダーやショッカーの改造人間のように特殊な身体をした、超人的な存在として描かれている。
なお、コミックス版では収録順が連載された順番とはかなり異なる。
[編集] 登場人物
基本的に、レギュラーと言えるのはこの2人。
- 影丸
- 本作の主人公。剣術、手裏剣術、その他忍術に高い能力を有する。彼特有の術には、木の葉隠れの術(危機に際して敵を撹乱して逃げたり、眠り薬や痺れ薬を塗った木の葉で敵を行動不能にする)や木の葉火輪の術がある。
- 服部半蔵
- 公儀隠密総元締で、徳川家康に仕えた服部半蔵から数えて5代目。影丸ら隠密に指令を出して徳川家への謀反や不穏な動きを事前に防ぐ。老齢だが、腕は衰えていない。
[編集] 若葉城の巻
若葉城に将軍が御成りになることが決まるが、藩内に事前に潜入していた隠密が討ち取られ、半蔵は若葉城の不穏な動きに気付き、影丸ら隠密を派遣する。若葉藩の甲賀七人衆に苦戦する影丸のため、半蔵は大八と右京を応援に向かわせ、彼等が全滅すると甚作、兵衛、彦三を半蔵は向かわせる。この中で彦三だけが若葉に辿り着く。影丸は彦三に若葉城付近を任せ、邪鬼の秘密を探るべく甲賀の里に向かう。邪鬼の秘密を知った影丸は彦三の死を乗り越え、邪鬼を除く七人衆を倒す。若葉城に吊り天井屋敷が造営されていることを半蔵に報告した影丸は、若葉城主・若葉右近を追い詰め、右近は切腹する。邪鬼は崩壊する吊り天井屋敷と運命を共にしたかに見えたが…。
[編集] ゲスト公議隠密
- 大八
- 影丸への援軍の第1陣。接近戦では一発必中の大きな含み針を口から発射して敵をしとめる術を持つ。この術で一度は邪鬼を倒すが、復活した邪鬼に逆襲され、若葉上天守閣で邪鬼に討ち取られる。
- 右京
- 影丸への援軍の第1陣。忍者としての能力は総合的に優れている。五郎兵衛の蹴りで負傷しつつ、犬丸を河に引きずり込んで倒すも、直後に半助に倒される。
- 甚作
- 影丸への援軍の第2陣。若葉藩に潜入前に真先に半助に倒される。台詞らしい台詞を喋らないまま死んでいった。基本的に水中戦が得意な半助に地上で敗れるあたり、忍者としての能力は低いと思われる。
- 兵衛
- 影丸への援軍の第2陣。若葉藩に向かう際に半助によって倒される。
- 彦三
- 影丸への援軍の第2陣の中で唯一若葉藩への潜入に成功する。影丸と協力して邪鬼、半助と渡り合う。非常に動きが俊敏で、背中に目が付いているかの如く、後ろからの攻撃さえ尽く避けることが出来る。影丸との協力で半助を倒す。独特の剣法で邪鬼を倒す。更に復活した邪鬼に対し、多数の蝙蝠を使って邪鬼を再度しとめて足止めをする。しかし、岩場に追い詰められた際には、独特の剣法も通用せず(刀を地面に突き立て、接近した相手に突き刺す。岩場では刀が刺さらないため、使えなかった)、邪鬼に倒される。
[編集] 甲賀七人衆
- 阿魔野邪鬼
- 甲賀七人衆の筆頭で、忍術全般に優れるが、特筆すべきは不死身の身体である。止めを刺されても3時間もあれば完全に再生する、という恐るべき生命力を有している(ただ、作品中に手足や首を切り落とされる描写は無いため、身体の一部を切り落とした際にこれがくっ付くのか、それとも新たに生えてくるのかは不明である)。不死身の身体を利用して、敵の特徴・弱点・術を把握しするために敗れることを厭わず、一度死んだ後で復活し、改めて勝負を挑むことが多い。大八、彦三を倒している。
- 十兵衛
- カメレオンの如く、身体の色を周囲に同化させることが出来る。裸になって初めてこの能力を使っていることから、衣服まで周囲とどうかさせるものではないと考えられる。影丸に手傷を負わせるが、影丸に血を吹き付けられて同化能力を発揮できなくなり、影丸に倒される。
- くも丸
- トリモチ状の物質を口から吐き出し、これを相手の目に吹き付けて視力を奪ったり、蜘蛛の巣を形成したりする。影丸と室内で戦うが、木の葉によって蜘蛛の巣に木の葉を吹き付けられて無化され、倒される。
- 犬丸
- その名の通り4足歩行で走り、足は速い。鼻が非常に利く。陸上戦において全般的に優れる。若葉藩に来て間もない影丸に手裏剣で深手を負わせる。山犬を呼んで操ることも出来る。水中での戦いは苦手にしており、右京に水中に引きずり込まれて敗れる。
- 半太夫
- 催眠術を得意とする。自分とそっくりの姿に化けた影丸に鏡の間に誘い込まれ、鏡に映った姿を、自分の真似をする影丸だと思って催眠術を自分にかけてしまい、自ら喉をかき切ってしまい、絶命する。
- 五郎兵衛
- 非常に硬い身体をしており、刀で切りつけられても傷1つ付かない。飛び蹴りで右京に重傷を負わせる。水の中に潜った影丸に不意を突かれて足に縄を付けられ、影丸によって溺死させられる。
- 半助
- 潜水時間が非常に長く、水中戦で強さを発揮する。水中で攻撃をする時は黒い水を一帯に撒き散らし、それに紛れて敵の背中にクナイを突き立てることで敵をしとめる。この戦法で右京、兵衛を倒し、影丸を苦しめた。ただ、熱さには弱い。潜水時間の限界を影丸に知られ、呼吸をしに水面から飛び上がったところを影丸、彦三の手裏剣を受けた。
[編集] 由比正雪の巻
慶安事件で由比正雪は自害し、門弟も一網打尽となった筈だった。しかし、正雪は生きており、直ちに松平信綱は半蔵に討伐隊を差し向けさせるも、全滅する。影丸等6人が第2波として送られた。正雪は陰流の忍者に守られており、彼等と伊賀忍者の死闘が繰り広げられる。また、前作に引き続き、邪鬼が登場し、影丸に雪辱戦を挑むべく正雪と共闘する。最終的には公儀隠密は影丸を除き全滅し、正雪側の陰流忍者も全滅し、影丸は本物の正雪を追い詰めてこれを破りし、従者である金井半兵衛の介錯により正雪は自害する。
シリーズ中最長で、主要登場人物は最も多い。
[編集] ゲスト公儀隠密
- むささび
- 1つのマントの4隅を両手両足に結び付けて長距離のジャンプが出来る。討伐隊第2波の中で先行したが、弥九郎と相打ちになる。
- 獅子丸
- 獣のような声を出して、鳥や獣を操る事ができる忍者。星占いも得意としており、星を見て正雪の行き先を推測した。霧雨鏡月によって倒されるが、死の際に放った「血しぶき」を鏡月に浴びせ、鏡月を死地に追い込んだ。
- 左近丸
- 盲目の少年忍者。忍者服は着ておらず、若武者のような服装をしている。縄術を得意としており、縄で敵の手足の自由を奪い、縄に軸の先端が刃物となった独楽を伝わせ、敵の身体に複数個めり込ませて倒す「蜘蛛糸渡り」という忍法を使う。目が見えないが、それによって幻心入道の幻術を逃れ、彼を倒す。如月文兵衛を倒すも、直後に五十鈴大作と相打ちになる。
- 岩石入道
- 少し派手な帽子を被った忍者。自己の抜殻を作り出すことができ、それに敵の注意を引き付けて敵を倒す「空蝉の術」が得意で、これで鉄扇を倒すが、如月文兵衛の「雷神」で負傷する。傷を癒した後に木枯らし竜五郎を倒すも、自身も大火傷を負って力尽きる。
- 源心
- 甲賀忍者
- 影丸と上記の5人の他に、今回の作戦に動員された。30人ほど派遣されたが、東海道を西進中、藤太や五十鈴大作に半数を倒され、残りも陰流の忍者によって全滅させられる。
[編集] 正雪側の忍者(陰流の忍者たち)
- 由比正雪
- 慶安事件の首謀者。正史では幕吏に追い詰められて自害するが、本作では生き延びて再起を図る。正体は陰流の総帥で自身も忍者だった。最終的には影丸と「布隠れ」で戦うも敗れ、自刃する。
- 阿魔野邪鬼
- 影丸への復讐の為にこの戦いに参戦する。正雪の部下というわけではなく、第三勢力的な立場で行動する。正雪からはその実力を評価され「部下に欲しい」とまで言わせているが、陰流の忍者達からは警戒されている。影丸を倒すべく執拗に付け狙うが、源信を失った影丸の怒りの前に敗れる。この際に影丸に勝てないことを悟る。
- 幻心入道
- 藤太と共に正雪を護衛して東海道を西進していた。焚き火を媒介とした幻術「幻心術」の使い手で、この術で正雪討伐隊第1波を全滅させるが、左近丸に倒される。
- 弥九郎
- 任意の敵の影を指定して、影への攻撃がその影の主に直接及ぶようにする術である「影縫い」を得意とする。晒し首となっていた正雪の首が偽者であることに気づいた幕府の密偵をこの術で倒す。むささびをも同様に倒すが、むささびが死ぬ間際に放った猛毒の含み張りを受け、しばらくして絶命する。
- 鉄扇
- 左手が無く、深網笠を被っている。多数の鉄の扇を素早く操って敵を斬り裂く。岩石入道に挑むも敗れる。
- 霧雨鏡月
- 如月文兵衛、太郎坊と共に三島で正雪の護衛に就いた忍者。雨や水を鏡のように利用して、敵に幻を見せる術を使う。獅子丸を倒すが彼の「血しぶき」を顔面に浴びたことで多数の獣に襲われ、重傷を負う。民家に逃げ込んだが左近丸と源心に発見され、幻術を使って逃げようとしたが盲目の左近丸には通じず斬り倒された。
- 如月文兵衛
- 左手は義手で、義手を外すと刀が生えている。火薬を使った忍法「雷神」を得意とし、岩石入道に重傷を負わせる。左近丸を火術で追い詰めるも、左近丸は火から逃げ延びる蛇について行き、逃げおおせる。左近丸は着物に痺れ薬を紛れさせて文兵衛に多い被せ、弱ったところを左近丸に斬られて絶命する。
- 五十鈴大作
- 木枯らし竜五郎
- 幻術を得意とする隻眼の忍者。遠方に炎を見せて敵の注意を散漫にしつつ意識を朦朧とさせ、手裏剣の嵐を浴びせる「木枯らし」を使う。手傷を負わされつつも、これで影丸をしとめたかに見えたが、逃げられる。重傷を負ったところを岩石入道に御堂に追い詰められ、不動明王を映し出す幻術を使うが見破られ、討ち取られる。
- 藤太
- 夜叉王
- 岩見幻斎
- 太郎坊
- 僧侶の扮装をした忍者。鎖つきの鉄球を武器とする。三島で正雪の配下に加わるが、影丸の術で気絶させられる。以後は表には出ず、影から正雪の護衛を勤めた。影丸に追い詰められた正雪から戦う許可を得るが、力及ばず敗れ去った。
[編集] 闇一族の巻
山城の国で起こった一揆は謎の忍者集団によって引き起こされたものだった。忍者集団の正体は、かつて北条氏に仕えた闇一族。その暗躍を阻止するため、半蔵は影丸と村雨五兄弟に山城の国に向かうよう命令する。影丸たちは毒物の扱いに長け、奇怪な術を使う闇一族に苦戦するが、ついに闇一族の本拠を潰し、首領にも重傷を負わせる。そして影丸は闇一族を操る黒幕の正体を知るのだが…。
[編集] 村雨五兄弟
[編集] 闇一族
[編集] 七つの影法師の巻
藤巻三太夫と音羽の源蔵が殺されたが、それは公儀隠密に影の一族・影法師から挑戦だった。影法師は半蔵に、公儀隠密と7対7で勝負をさせるよう挑んできたのだ。半蔵は影丸ら7人を選抜し、影法師との戦いが繰り広げられる。影丸は6人の仲間を失いつつも影法師を全員倒す。
[編集] 公儀隠密
- 幻夜斎
- 影法師に挑戦に応じる旨を伝えに行く。夜霧丸に公儀隠密7人の名前を書いた巻物を渡した際、巻物の紐に着いている毒針で夜霧丸を倒す。野火との戦いの際、水中に潜んでいた魔風に槍で疲れ、絶命。しかし、死の間際に忍法・血染め蜘蛛で返り血を野火に浴びせたことで、幻夜斎に変装した野火は天鬼に討ち取られたのだった。
- 式部
- 仲間と共に紫右近を追い詰めるが、忍法・天しぶきで逃げられる。毒を川に流し、川の水で顔を洗った右近の視力を奪い、止めを刺す。しかし、その際に右近に毒針を打ち込まれ、動けなくなったところを助太刀に来た幽鬼によって仕留められる。
- 片目
- 左目を眼帯で覆った熟年の忍者。一息付こうと地面に寝転がったところを、近くに潜んでいた幽鬼に羽交い絞めにされ、討ち取られる。
- 雷天
- 鉄鎧を着込んでいる。片足は義足で刀を仕込んでいるため、刀の付いた足で積極的に飛び蹴りをしかける。これにより雪風に重傷を負わせるが、雪風の幻術の前に体の自由を奪われ、止めを刺される。
- 天鬼
- 幻夜斎に変装した野火の正体を幻夜斎の血染め蜘蛛で見破り、これを倒す。近くに潜んでいた魔風に戦いを挑むが、火術で思わぬ反撃を受けたため忍法・布分身を無効化される。負けじと魔風を追い詰めるも、刀を折られ、更に片腕を骨折する。一時撤退する為に火中に飛び込んだので顔に火傷を負い、一時行方不明になる。復活後は服装も変わり、顔中に包帯を巻くようになった。幽鬼によって重傷を負った影丸を密かに半蔵の屋敷に密かに運び込み、幽鬼と戦う。顔に撒いた包帯を一面にぶちまける忍法・布砦によって幽鬼を倒すが、幽鬼の毒によって絶命する。仲間には魔風との戦いで死んだと思われていたようであり、影丸を半蔵屋敷に運んだ時も半蔵に気付かれないようにしていた。
- 夢麿
- 催眠術を得意とする。催眠術で具体的に特定の行動をさせるよう操り、「自らの喉をかき斬れ」と命令して絶命させることもできる。死神と催眠術合戦を繰り広げ、これを破る。雷天によって重傷を負った雪風に止めを刺す。重傷を負った影丸の代わりに魔風に決戦を挑むが、火術に翻弄され、火の中で敵の姿を視認したのに安心して催眠術をかけようとするが、それは鏡に映った自身の姿であり、自分に催眠術をかけてしまい、絶命。
[編集] 影法師
- 夜霧丸
- 互いの名を書いた巻物を受け取りに来た影法師。巻物に仕込まれた毒針で倒された為、実力は不明。
- 野火
- 死神
- 紫右近
- 雪風
- 幽鬼
- 魔風
- 火薬の扱いに長けている。影法師の中では最後まで生き残り影丸に一騎打ちを挑むが、自身の術の弱点を突かれて倒された。