世界水泳選手権
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世界水泳選手権(せかいすいえいせんしゅけん)は、国際水泳連盟が主催する水泳の国際大会である。
水泳界において、夏季オリンピックに次ぐ重要な大会とされる。2~5年の間で不定期に行われてきたが、ここ最近は夏季オリンピックの前年と翌年にそれぞれ、2年に1度の間隔で開催されている。
本大会は世界最高スイマーが一堂に集う大会であり、特に競泳競技では世界記録がここで更新されることが多い。また、五輪の前年にあたる大会では、五輪に向けた調整の場としても大変重要な大会になる。正式種目として五輪にはない、自由形以外の50m競技も行われる。
なお、短水路の世界選手権は世界短水路選手権を参照。
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[編集] 行われる競技一覧
- 競泳
- オープンウォータースイミング(5、10、25キロメートル)
- シンクロナイズドスイミング(女子のみ)
- ソロ(オリンピックでは行われない)
- デュエット
- チーム
- フリールーティンコンビネーション
- 飛込競技
- 水球
[編集] 歴史
第1回世界水泳選手権は1973年ユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)の首都ベオグラードで、47カ国から686人が参加して開催された。ちなみに2003年バルセロナ大会では、157カ国から総勢2015人が出場している。世界の水泳界においては、オリンピックの存在感が大変大きかったこともあって、比較的その歴史は浅い。
競泳では、第1回大会から長くアメリカと東ドイツの実力が圧倒的で、まさに水泳界の2大大国であった。しかしながら、第3回大会頃から徐々に旧ソビエト連邦の実力も目立つようになり、米、東独の2強にソ連が次ぐ、という構図が見られた。1990年台に入って、大きく躍進した新勢力はオーストラリアであった。1998年パース大会で、長らくアメリカに次ぐ水泳大国だったドイツやロシアなどをおさえ、メダル獲得数で第2位に躍り出た。この大会以降、1位アメリカ、そしてオーストラリアがこれに続き、ドイツ、ロシアなどが2強を追う構図となっている。非欧米諸国の中では、中国、日本など東アジア勢が有力であったが、2005年モントリオール大会では、アフリカから南アフリカ・ジンバブエがそれぞれ健闘した。
日本競泳陣の活躍は、第1回ベオグラード、第2回カリ大会で平泳ぎの田口信教が2大会連続でメダルを獲得するなどしたが、その後は日本勢の不振に伴ってメダルをしばらく得られないでいた。再び日本チームがメダルを得たのは、1991年パース大会で、その後日本勢は徐々に復調を見せた。2005年モントリオール大会で日本チームは、金メダルこそ獲得できなかったものの、平泳ぎの北島康介や自由形長距離の柴田亜衣などを中心として過去最高の9つのメダルを得、獲得数で初めて米豪に次ぐ第3位となった。
一方シンクロナイズトスイミングも、競泳と同じく第1回ベオグラード大会からずっと実施されてきているが、第1回大会以降、長く金メダルをアメリカとカナダで争いあう時代が続いた。そしてほぼ例外なく、3番手には日本勢がつけた。しかし1998年バース大会で、本大会で、全くメダル争いに加わっていなかったロシアが、いきなり3種目で金メダルを独占し、2番手には、長く万年銅メダルに甘んじできた日本勢が台頭してきた。そして3位以下にかつてのシンクロ2強の米・加両国と、フランス(特にソロでフランス人選手は活躍を見せた)が続いた。そしてさらに2005年大会では、日本チームを長く支えてきた武田美保・立花美哉の引退などもあって、今度はスペインがロシアに次ぐNo.2日本に迫る活躍を見せて、現在日本・スペインの実力はほぼ拮抗している。なお、2003年大会から、新たに「フリールーティーンコンビネーション」という種目が実施された。
これまでの開催地と日本人メダリスト
- 銅メダル 田口信教 男子100メートル平泳ぎ
- 銅メダル 田口信教 男子200メートル平泳ぎ
- 銅メダル 青木まゆみ 女子100メートルバタフライ
- 銅メダル 蓮見純子 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銅メダル 藤原昌子・藤原育子 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 日本 藤原姉妹・蓮見・畦崎 (この4名のみで参加)シンクロナイズドスイミングチーム
- 銀メダル 田口信教 男子100メートル平泳ぎ
- 銅メダル 畦崎康子 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銅メダル 藤原昌子・藤原育子 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 日本 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銅メダル 畦崎康子 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銀メダル 藤原昌子・藤原育子 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銀メダル 日本 藤原昌子・育子・成江・畦崎・岡村・岡田・小川 etc シンクロナイズドスイミングチーム
- 銅メダル 元好三和子 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銅メダル 藤原成江・阿部育子 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 日本 阿部・藤原(成)・(一)・木村・石井・笹尾・出石・元好 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銅メダル 小谷実可子・伊東恵 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 日本 青石・後藤・平田・伊東・小谷・田中・大金・高山 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銅メダル 千葉すず 女子400メートル自由形
- 銀メダル 司東利恵 女子200メートルバタフライ
- 銅メダル 小谷実可子 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銀メダル 小谷実可子・高山亜樹 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 日本 高山・奥野・円角・石橋・加藤・青石・若林・山村 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銀メダル 奥野史子 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銀メダル 奥野史子・立花美哉 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 日本 奥野・立花・武田・神保・矢嶋・川瀬・藤井・高橋 シンクロナイズドスイミングチーム
- 1998年 パース(オーストラリア)
- 銀メダル 中村真衣 女子100メートル背泳ぎ
- 銅メダル 中村真衣 女子200メートル背泳ぎ
- 銀メダル 青山綾里 女子100メートルバタフライ
- 銅メダル 田島寧子 女子400メートル個人メドレー
- 銅メダル 日本 女子400メートルメドレーリレー
- 銅メダル 立花美哉 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銀メダル 立花美哉・武田美保 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銀メダル 日本 立花・武田・藤井・神保・米田(祐)・磯田・河邊(穂)・中島 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銅メダル 山野井智広 男子50メートル自由形
- 銅メダル 北島康介 男子200メートル平泳ぎ
- 銅メダル 大西順子 女子100メートルバタフライ
- 銅メダル 日本 女子800メートルフリーリレー
- 金メダル 立花美哉・武田美保 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銅メダル 立花美哉 シンクロナイズドスイミングソロ
- 銀メダル 日本 巽・米容・藤丸・鉾田・渡辺・川嶋・鈴木・原田 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銀メダル 立花美哉・武田美保 シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銀メダル 日本 武田美保・巽樹理・米田容子・藤丸真世・鈴木絵美子・渡辺千晶・<原田早穂・川嶋奈緒子>左2名はTRのみ(FR補欠)<立花美哉・北尾佳奈子>左2名はFRのみ(TR補欠)シンクロナイズドスイミングチーム
- 金メダル 日本 巽樹理・米田容子・藤丸真世・原田早穂・川嶋奈緒子・北尾佳奈子・鈴木絵美子・渡辺千晶 シンクロナイズドスイミングフリールーティンコンビネーション
- 金メダル 北島康介 男子100メートル平泳ぎ
- 銀メダル 山本貴司 男子200メートルバタフライ
- 銅メダル 稲田法子 女子50メートル背泳ぎ
- 金メダル 北島康介 男子200メートル平泳ぎ
- 銅メダル 中西悠子 女子200メートルバタフライ
- 銅メダル 日本(森田智己・北島康介・山本貴司・細川大輔) 男子400メートルメドレーリレー
- 銀メダル 日本 シンクロナイズドスイミングフリールーティンコンビネーション
- 銅メダル 鈴木絵美子・原田早穂シンクロナイズドスイミングデュエット
- 銀メダル 日本 シンクロナイズドスイミングチーム
- 銀メダル 柴田亜衣 女子400m自由形
- 銀メダル 北島康介 男子100メートル平泳ぎ
- 銀メダル 松田丈志 男子200mバタフライ
- 銅メダル 今村元気男子200メートル平泳ぎ
- 銅メダル 柴田亜衣 女子800m自由形
- 銅メダル 中西悠子 女子200mバタフライ
- 銅メダル 中村礼子 女子200m背泳ぎ
- 銅メダル 今村元気 男子200m平泳ぎ
- 銅メダル 日本(森田智己・北島康介・高安亮・細川大輔) 男子400メートルメドレーリレー
[編集] 日本でのテレビ中継
- 1999年度まではNHKの衛星放送などで中継されていたが、2001年度の福岡以後はテレビ朝日系列で独占中継している。(地上波ANNと衛星波ビーエス朝日)キャスターに松岡修造、優香、長島三奈(2001年のみ)・赤江珠緒(2005年・ABC東京支社アナウンサー)、実況には森下桂吉・角澤照治・中山貴雄・進藤潤耶(それぞれテレビ朝日アナウンサー)が担当している。
- 2001年、2003年は古舘伊知郎が特別実況を勤めた。担当したレースはイアン・ソープと北島康介のレース。
- 大会テーマソングは2001年・2003年はB'z(「ultra soul」・「GOLD」・「スイマーよ 2001!!」・「IT'S SHOWTIME!!」・「野性のENERGY」)だったが、2005年はSMAP(「BANG! BANG! バカンス!」)が担当。また、2005年大会は「スーパーモーニング」の系列外の局も競泳決勝(土日を除く)のみ放送される。
- マスコットとして、ぱちゃぽ(2001年の福岡大会に使用した後、日本水泳連盟の公認マスコットキャラクターとなった)を毎回使用している。([1] を参照)
[編集] 外部リンク
- 国際水泳連盟(英語)
- 世界水泳モントリオール大会(英語)
- メルボルン大会(英語)
FINA世界選手権 飛込, 競泳, シンクロナイズドスイミング, 水球, オープンウォーター |
長水路 (50 m) |
1973 | 1975 | 1978 | 1982 | 1986 | 1991 | 1994 | 1998 | 2001 | 2003 | 2005 | 2007 | 2009 |
短水路 (25 m) |
1993 | 1995 | 1997 | 1999 | 2000 | 2002 | 2004 | 2006 | 2008 |