一般廃棄物
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一般廃棄物とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条第2項(以下、「法」という)において、産業廃棄物以外の廃棄物をいう、とされている。
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[編集] 種類
法律上は、「一般廃棄物」と「特別管理一般廃棄物」のみである。「事業系一般廃棄物」という言葉は、便宜上よく使われるが、法律に定義された言葉ではなく、処理方法や規制などに関しての法律上の取り扱いは家庭ゴミと何ら変わらない。ただし東京23区などの一部の市町村では、地方自治体の条例で「事業系一般廃棄物」を定義し、独自のマニフェスト制度を設けたり、リサイクルに関する報告を義務付けたりするなど、家庭ゴミとは分けて特別の取り扱いをしていることもある。
[編集] 処理
一般廃棄物の収集・運搬および処分は、市町村が行うのが原則である。(法6条、6条の2)
ただし、市町村で行うことが困難な場合に限り、市町村長は一定の要件を満たした業者の申請により、一般廃棄物処理業の許可を与えることができる。(法7条5項および10項)
また、上記の許可がなくても、事業者が自身の排出する廃棄物を自ら処理することと、「専ら再生利用の目的となる一般廃棄物」(「専ら物」と呼ばれる。具体的には空き缶、空き瓶、古紙、古布の4品目)のみの収集・運搬は可能である。(法7条)
[編集] 問題点
*意外と高い環境負荷
家庭ゴミが主体の一般廃棄物は、身近な物が多いためか、産業廃棄物と比較してそれほど環境負荷が高くないように、世間ではイメージされている。また市町村が処理の主体となっている一般廃棄物は、処理業者が主体となっている産業廃棄物と比較して、とりあえず不法投棄などの不適正処理をされる可能性は低いということは言える。
しかし、分別さえしっかりやればある程度単一の物質がまとまって出るためにリサイクルしやすい(実際、何らかの形で利用されていることが多い)産業廃棄物とは違い、一般廃棄物は家庭ゴミという性質上、分別をきちんとしたとしても雑多な物質が混ざっており、リサイクルが困難なことが多い。また、同じ理由でレベルの高い技術での処理も難しく、市町村の処理技術は高いとは言えない状況のため、結局は、燃やすか、埋め立てるか、くらいしか方法がない。ひどい自治体になると、住民に細かい分別をさんざんさせておきながら、後でまぜこぜにして一緒に処理していたりすることもある。
*特権化する一般廃棄物処理業の許可
一般廃棄物は市町村での処理が原則であり、処理業者への許可はあくまでそれができない場合の例外的な措置に限られる。多くの場合はこの趣旨に沿って限定的な許可がなされ、業者もその趣旨に沿って業務を行っているが、反面競争相手となる許可業者が少ないということは、業者がその気になれば、とにかく許可さえあれば独占的に業務が行えるということでもある。
そこで、あまり世間の監視の行き届かない市町村では、裏で自治体の首長や幹部職員と結びつき、あるいは圧力をかけ、一般廃棄物処理業の許可を得て、独占業務で甘い汁を吸おうと目論む闇社会の関係者もいるようである。2001年に栃木県鹿沼市で起きた市職員の拉致殺害事件も、このような背景の下、過去の闇社会とのしがらみを断ち切ろうとした正義感溢れる職員が犠牲になったといわれている。
*実は結構「ノーガード」の家庭ゴミ
医療行為に伴う注射器などの「感染性廃棄物」は医療機関から排出される場合は「バイオハザード」マークを付け特別管理を義務づけているが、「感染性」の危険という点では何ら変わらないにもかかわらず、家庭から排出される廃棄物の場合はどのような病原体が付着しても規制が無く、矛盾点が指摘されている。
*「事業系一般廃棄物」の取扱における、不可避の違法行為
廃棄物の処理及び清掃に関する法律内「問題点」の同タイトルを参照