ローグギャラクシー
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『ローグギャラクシー』(Rogue Galaxy)は、ソニー・コンピュータエンタテインメントが発売したプレイステーション2専用アクションロールプレイングゲーム。開発元はレベルファイブ。2005年12月8日発売。
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[編集] 概要
『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』の開発で高い評価を得たレベルファイブが、ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズに匹敵する大作RPGを目指して開発した作品。上戸彩・玉木宏ら有名俳優を声優に起用したことでも話題になった。
発売4ヶ月前という異例の早さでテレビコマーシャルが始まった。当初はディレクター・日野晃博の直筆メッセージを使用したティザー広告であった。その後数多くのパターンのCMが放送された。
ロード時間のストレスを一切感じさせないシームレスなゲーム展開が特長の一つで、宇宙を舞台にした壮大な世界観などと合わせて、現時点でのRPGの完成形を目指したとされる。
ファミ通のクロスレビューでプラチナ殿堂入りを果たしたほか、第20回デジタルコンテンツグランプリでは『脳を鍛える大人のDSトレーニング」などのヒット作をおさえて優秀賞を受賞した。
[編集] ユーザからの評価
ゲームファンからは本作に対して厳しい声が多い。批判的意見としては次のようなものがあげられる。
- 『ダーククラウド』や『ダーククロニクル』を経験したユーザーには受け入れられやすいが、『ドラゴンクエストVIII』のクオリティには程遠く、プレイする人を選ぶ作品である。
- 宇宙を舞台としたSF作品ではあるが、地域間の移動に宇宙船を使うといった程度のものであり、SFファンを惹きつける要素が見られない。それにそれぞれの星での冒険が、他のRPGでの陸1つに相当する程度のボリュームしかない。
- 画面の切り替えがなくどこまでも続くフィールドというフレーズはドラゴンクエストVIIIを連想させるが、実際のゲーム内容は1つの惑星に町とダンジョンを繋ぐ道がシームレスに続いているだけという仕様も発売されるまで明かされなかった。
- フィールドからバトルへの移行などはシームレスに作られているが、他の場面ではロード待ちを強いられることがある。惑星間の航行中は無駄に待たなければならない。また戦闘に関してはランダムエンカウントによりモンスターが読み込みで出現し、画面に居たNPCは消える処理が行われるなど、一般のシームレスRPGとは厳密には異なる。(しかし、それでも体感ロードの少なさは卓越しており、これをプレイし『ファイナルファンタジーXII』をプレイするとストレスを感じるか、という意見もある。)
- 後半のあるダンジョンでひたすら単調なマップが続き、人によってはダンジョンクリアに8時間以上かかる点が酷評されている。またゲームの進行において敵が急に強くなることがあるなど、ゲームバランスに問題があり、かなり苦労したプレイヤーが続出している。
- 通常のレベルよりも、武器の強さが難易度を決めるため、武器の強化(合成)が必須である。よって、武器を強化して次のシーンに行かなければ苦労する。それに魅力を感じない人にとっては、サクサク先に進められず時間を無駄にする感じが強い。
- 発売前より日野晃博が大々的に雑誌等で広報を担当したが、週刊ファミ通にて「あまりゲームをしない一般層向けに間口を広げマニア向けではない」と断言しておきながら、発売後の電撃プレイステーション誌インタビューにて「簡単なゲームに慣れてる人向けではない」と矛盾した発言をし、ゲームバランスに対する批判に対してライトユーザー批判で返すといった言動も波紋を呼んだ。
- 小説家の宮部みゆきは破綻しきったシナリオを大長文で批判したことがあり、プロの物書きからもシナリオの甘さを指摘されている。
この作品が批判に晒された原因はゲーム内容以上に誇大広告による所が大きい。公式サイトのユーザーボイスにも寄稿されたように、大衆向けをアピールし過ぎた事、主役の声優に芸能人の起用といった話題作り、ドラクエ、FFに匹敵するソフトであるといった製作者の発言が、実際のゲーム内容との落差から過剰な負の反響を招いてしまったのだ。元々レベルファイブは30万本クラスのゲームを2本発売したのみの若手メーカーであり、数こそ少なくとも徐々にファンを開拓しつつあった。それがドラクエの開発会社となってしまった事で、消費者・自社共に1流メーカーの仲間入りを意識するようになったのである。ドラクエスタッフ抜きで実力で作り上げた本作は、ドラクエをプレイした消費者の目からは印象が悪く、ドラクエから独立しても評価の高いソフトを作り上げたチュンソフトの例もあり、1流ゲームソフトとの比較を招いてしまう事となる。
また製作者自身も、最初こそはプレイヤーの腕不足への批判でゲーム内容を援護していたが、徐々に不評意見を認める発言が公式攻略本『ローグギャラクシーのあるきかた』等で露出するようになり、日本国外向け製品では不評意見の大多数に全面的なシステムリメイク(オリジナルのゲーム内容の否定)が行われ、良いものとなっている。
かくして本作は30万本出荷のソフトとしては妥当な内容なのだが、ドラクエとの比較で必要以上に悪い所だけがクローズアップされるという悪循環に陥ったのである。
[編集] キャラクター
[編集] プレーヤーキャラクター
- ジェスター・ローグ(CV:玉木宏)
- 主人公。砂漠の惑星ロザで育った少年。伝説のハンター「砂漠の爪」に間違われた事から宇宙海賊ドルゲンゴアの一味に加わり宇宙を旅する。グラディウスタワーにて「二つの塔で苦労も2倍だな」という名(迷?)言を遺す。
- キサラ(CV:上戸彩)
- ヒロイン。ドルゲンゴアの娘だが、ストーリーの根幹に関わる出生の秘密が終盤で明かされる。
- スティーブ(CV:梅津秀行)
- サイモン(CV:小野坂昌也)
- 全身を覆い隠す宇宙服を常に身につけた丸っこい男。関西弁を話す謎の人物。
- ゼグラム(CV:山路和弘)
- 「漆黒の狼」と異名を持つ腕利きのハンター。ドルゲンゴアに雇われているが、実は別の目的を持って行動している。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の主人公がモデルか。
- ストーリーを進めるとファイナルファンタジーXに登場するアーロンというキャラクターに酷似した姿にもなる。
- ルルカ(CV:井上喜久子)
- 惑星ジュライカのブルカカ族の女戦士。戦士長の地位についていたが、母と妹を守れなかった過去に苦悩する。
- ジュピス(CV:青山穣)
- 大企業ダイトロンに勤めていた科学者。トカゲのような種族。部下の裏切りに怒り、惑星ゼラードのマザーコンピュータを乗っ取って反乱を起こすが、後にジェスター達の仲間に加わる。
- ディーゴ(CV:石塚運昇)
- 犬のような顔を持つ種族の元軍人。軍隊でエースとして名を馳せたが、ある事件がもとで負傷した右手を銃に改造し、親友ゲイルとも袂を分かつ。「ファイナルファンタジーVII」のバレットと設定が酷似。
[編集] その他
- 砂漠の爪(CV:山寺宏一)
- 伝説のハンターと呼ばれる謎の人物。ジェスターを宇宙の旅へ導き、その後も一行の前に度々現れる。
- ラウル(CV:佐々木敏)
- ジェスターの育ての親で、心優しい神父。
- ドルゲンゴア(CV:飯塚昭三)
- キャプテン・ドルゲンゴア。有名な宇宙海賊。かなりの巨漢。伝説の惑星エデンに眠ると言われる巨万の富を求めて旅する。キサラの育ての親。余談だが、ドルゲンゴアの声優は、「バロムワン」という特撮に登場したドルゲというキャラクターの声優と、奇しくも同じである。
- モンシャ(CV:西脇保)
- ドルゲンゴア一味の副キャプテンを名乗る猫。人間の言葉を話し、態度が大きいがドルゲンゴアには媚びている。
[編集] システム
[編集] バトル
アクションRPGタイプのバトルで、操作キャラの他に仲間2人が同時にオートで行動する。リアルタイム性が高いが、一定の行動回数を満たすとしばらく待たなければならなかったり、装備を変更するためにメニューを開く手間がかかるなど、テンポが悪くなる部分があるのが難点。
ダンジョンの地形がバトルにもそのまま利用され、地形が邪魔になって思うように行動できない弊害が生じる。またエンカウントした地点からある程度離れると逃走するかどうか選択できるが、離れた敵を攻撃しようとすると逃走の選択肢が出てバトルが一時停止してしまう欠陥がある。
[編集] 武器合成
2種類の武器を合成すると新しい武器が生まれる。合成によって強力な武器を作らないとバトルを円滑に進めることは難しい。しかし武器は一定期間使わないと合成の材料にすることができないため、あえて弱い武器を使い続ける必要も出てくるというジレンマがある。
[編集] ファクトリー
工場において工作機やパイプ等を組み立ててオリジナルの生産ラインを建て、材料をセットして新たなアイテムを製造する。「ダーククラウド」「ダーククロニクル」のジオラマをベースとしたもの。ラインの長さや電源コードの配置などを考慮する必要があり、かなり人を選ぶシステムである。
[編集] インセクトロン
フィールド上で採取したインセクター(昆虫)を育て、5体1組でマス目の上で戦わせるミニゲーム。ストーリーそっちのけでどっぷりやり込む人も出ている。しかしインセクターの捕獲・育成・配合のためのコツはゲーム中ではほとんど明かされず、攻略サイトや攻略本が必須になる。