ルネ・トム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルネ・トム(René F. Thom, 1923年9月2日 - 2002年10月25日)はフランスの数学者。専門はトポロジー。
名門リセ・サン・ルイ (Lycée Saint-Louis) を卒業後、高等師範学校で数学を学ぶ。 1951年にはアンリ・カルタンの指導の下で博士号を取得。博士号取得後はプリンストン高等研究所、グルノーブル大学、ストラスブール大学で教えた。 1958年には数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した。その後IHESの教授になり退官までIHESで研究を続けた。
そのセンセーショナルな名前からかカタストロフィー理論の創始者として有名だが、 代数的および微分トポロジーの第一人者である。コボルディズム理論を創始した1人であり、トムの横断性定理、特性類、特異点理論、葉層構造論、力学系、ホモロジー、ホモトピーの研究の基礎を築き上げた偉大な数学者である。 後年は数学よりも生物学や哲学に興味を移し(カタストロフィー理論はその成果の一つ)数学の研究から離れていった。
「トポロジーは死んだ」という過激な発言を飛ばしたことや、同僚のアレクサンドル・グロタンディークと不仲だったことも知られている。 現代を代表する映画監督ジャン・リュック・ゴダールがトムの映画を撮ったこともある。