リン・カイフン
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リン・カイフン(鈴海皇)は、SFアニメ作品『超時空要塞マクロス』に登場する、架空の人物。声:鈴置洋孝。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 超時空要塞マクロス
南アタリア島(のちにマクロス艦内市街地)で中華料理店「娘々」を営む、鈴少江(リン・シャオチン)と鈴慧中(リン・フェイチュン)夫妻のひとり息子。リン・ミンメイとはいとこの関係にあたり、幼少期から兄弟のように育った。両親が南アタリア島に移住すると決めた際、反戦主義者のカイフンは統合戦争のきっかけとなったマクロスの足元に住むことに反対し、勘当にちかい勢いで家を飛び出し、世界中を放浪する青年となった。2009年11月、横浜でミンメイと再会。マクロス艦内でアイドルになった彼女の目付け役として同行することを引き受ける。
カイフンの容姿は早瀬未沙の初恋の人ライバー少尉によく似ているが、性格の方はまったく異なっていた。戦時下の艦内でマスコミを利用してまで非暴力を訴え、一条輝や早瀬未沙ら軍人への敵意を隠そうとしなかった。負傷した際、ハンカチを差し出した早瀬未沙の好意を、軍人だからという理由で冷たく拒否している。
その後、二枚目とカンフーの腕を見込まれ、ミンメイ主演映画『小白竜(シャオパイロン)』の共演者に抜擢される。アクションシーン中、特撮で手から放った光線(念力波?)がゼントラーディ軍に「超能力者」と誤解され、意外にも戦争終結へのキーパーソンのひとりとなる。ミンメイのサポート役にまわるが、彼女のスターとしての輝きにいつしか愛情を覚え、親族の垣根をこえプロポーズを果たす。
第一次星間大戦終決後は、ミンメイの専属マネージャーとして共に地球各地を巡業していたが、結婚に踏み切れない彼女の態度や人気の凋落に焦り、次第に空回りが目立つようになる。カムジン・クラウジェラに捕まった際には交渉を持ちかけるが無駄に終わり、ミンメイから「どこまでもあなたは口先だけ」となじられてしまう。
彼は反戦を信念とし、ミンメイを大スターにと願う理想主義者であり、扇動者的資質やプロ意識を持っていた。しかし、地球やマクロスが置かれた状況を省みず、強引に主張を押しつけすぎる点で、他者の心を本当に動かせる人物ではなかった。「いつか君の本当の歌を聞きたい」と言い残しミンメイの元を去るが、彼女が歌への情熱に迷った原因の一つは、やはりカイフンにあったといえる。再び放浪の旅に出るなど、最後まで「わが道を行く」人物であった。なお、ミンメイがメガロード-01に乗艦して旅立った際にも、カイフンはメガロードに乗艦する事はなかった。
[編集] 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
劇場版ではリン・ミンメイの実兄であり、やり手のマネージャー兼音楽プロデューサーとしてミンメイの芸能活動を取り仕切っている。恋愛対象ではなく大切な妹として大スターへの飛躍を願っているが、やはり徹底したプロ意識ゆえ、ミンメイを疲れさせているようである。一条輝とVT-1で宇宙へ飛び出したミンメイを早瀬未沙と共に追いかけたり、ミンメイの危機にキスの相手役を買ってでるなど、出番は少ないもののテレビ版よりも行動的で、まともな人物像に修正されている(その分、毒が消えて地味になったが)。
なお、富田祐弘作の小説版や脚本原本では役回りが多く、得意の演説を打ったり、マネージャーとして一条輝にミンメイとの関係清算を求める場面などもある。しかし、制作にあたり、監督の河森正治は2時間内でストーリーをまとめるため、カイフンやカムジン・クラヴシェラら個性の強い脇役の出番を大幅に減らしたと明かしている。