一条輝
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一条輝(いちじょう ひかる)は、SFアニメ作品『超時空要塞マクロス』に登場する、架空の人物。本作の主人公であるパイロット。男性。声:長谷有洋(1996年の長谷の死去後、21世紀になって発売された『スーパーロボット大戦α』シリーズや『超時空要塞マクロス』(PS2)などのゲーム作品においては、野島健児が新たに声を担当)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 超時空要塞マクロス
母親を早くに亡くし、アクロバットチームを率いる父親に育てられ、チームのエースだった兄貴分のロイ・フォッカーに操縦の手解きを受ける。演技中の事故で父親も亡くし、以後、天涯孤独の身で各地のアマチュア大会を転戦し、賞金稼ぎで暮らしていく。
2009年2月、ロイ・フォッカーに招待されSDF-1マクロスの進宙式典に赴くが、フォールド事故に巻き込まれ望まぬまま乗艦することになる。その際リン・ミンメイと出会い、彼女を守るため統合軍に入隊し可変戦闘機バルキリーのパイロットとなる。
男所帯で育ったため良くも悪くも遠慮がなく、上官早瀬未沙への反抗や命令違反を繰り返すが、危険を恐れない勇敢さや、部下思いの優しさを持つ。反面、好意をいだくリン・ミンメイの性格が理解できず思い悩むナイーブな面もある。アイドルデビューして遠ざかる彼女と、戦いを通じて理解を深めた早瀬未沙との三角関係に迷うが、フォッカーや戦友である柿崎速雄の死などをへて地球文化を守る使命へと開眼し、人間的な成長をみせる。
始めはロイ・フォッカー少佐旗下スカル大隊の1人(軍曹)であったが後に昇進し、スカル大隊・バーミリオン小隊長(少尉)に就任。ロイ・フォッカー戦死後、彼の機体を受け継ぎバーミリオン小隊をスカル小隊に改称、直後に中尉に昇進し、スカル中隊長として活躍する。スタント出身のため操縦技術は優秀だが、歴戦のエースである上官ロイ・フォッカーと、天才と呼ばれる部下マクシミリアン・ジーナスには及ばない。根っからの飛行機乗りだったため、バトロイド形態を駆使した空戦術になじめなかった点も考慮されるが、名機ロイ・フォッカー・スペシャルを引き継いだ後は、歴戦の勇士と呼ぶに相応しい活躍を見せる。むしろゼントラーディ軍との最終決戦で「リン・ミンメイ作戦」を発案するなど、優れたリーダーシップが戦後の新統合政府内では重んじられた。
終戦後、月面アポロ基地の太陽系パトロール隊、次期可変戦闘機VF-X-4の開発チームのテストパイロットを経て、治安維持パトロール隊隊長に着任。2012年、早瀬未沙と結婚し長女一条未来(みく)をもうける。マクロス級2番艦メガロード-01の航空隊長として新鋭機VF-4を駆り、第1次超長距離移民船団の護衛任務につくが、2016年、銀河系中心部でメガロード-01艦隊ともども、謎の失踪を遂げる(一般には公表されず)。
[編集] 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
SS/PSゲーム『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のオープニングムービー(河森正治監修)では、マクロスがゼントラーディ軍の奇襲をうけた物語冒頭部で、すでに空母プロメテウスに所属する軍人であり、ロイ・フォッカー少佐以下、同階級(少尉)のマクシミリアン・ジーナス、柿崎速雄らとスカル小隊を編成している。プロメテウスが撃沈されたためマクロスへ転属となり、劇場版オープニング(五か月後)へとリンクしていく。
劇中ではアイドルに憧れる一ファンとしてリン・ミンメイと出逢う。彼女の疲れを癒したい気持ちから、軽率な行動に出て周りを犠牲にしてしまう。そこから責任の重さを学び、三角関係ではけじめを付けて早瀬未沙への告白を果たしている。ロイ・フォッカー(戦死)、マクシミリアン・ジーナス(行方不明・実際はメルトランディ側で対ボドルザー戦に参戦)に継いでスカル小隊長(中尉)となり、ゴルグ・ボドルザー打倒の特務を遂行する。機体のパーソナルカラーは赤と黒。
[編集] データ
- 日本国出身。身長175cm体重58kg(劇場版では178cm)。血液型O型。
- 年齢はテレビシリーズ開始時において16歳、17歳の両表記がある。劇場版では18歳。
- 趣味は飛行機のプラモデル製作。軍宿舎の私室にはVF-X-4やXB-70バルキリーの模型が飾られていた。
- 物語中、マクロスのブリッジで通信を担当しているシャミー・ミリオムが早瀬未沙、キム・キャビロフの二人とランジェリーショップに入った際、偶然そこにミンメイに買い物に付き合わされていた輝がいたために、「ミスターランジェリー」という屈辱的なあだ名を付けられた事がある。
- 何度か乗機を撃墜されたことを恥じており、入院時には「墜落王」というあだ名で呼ばれる悪夢に苛まれている。
- 入隊訓練時から小隊長機用のVF-1Jを使用していたのは、人員不足のため飛行経験を見込まれたという説と、ロイ・フォッカーが可愛い後輩のために便宜を図ったという説がある。
- ロボットアニメの主人公としては、戦闘技量で脇役に劣る、乗機を失い乗り換える、ライバルとなる敵がいないなど、前代未聞のキャラクターであった。これは一市民に近い青年の感覚を表現するために、従来のヒーロー像を意図的に外した演出術であった。また特に恋愛に関しては、未沙とのデートの約束がありながらミンメイの誘いを受けて遭いに行ってしまうなど優柔不断な部分が目立つ。
- 彼がミンメイ相手に「おたく」という二人称を何度も使ったことが、後のおたくという言葉の定着に一役買った、という話もある。
- 海外版である"ROBOTECH MACROS SAGA"ではRick Hunterという名前に変えられている。海外版オリジナルである"Robotech II: The Sentinels"にも登場し、Lisa Hayes(早瀬未沙)との結婚のエピソードが描かれている。またWildstorm社のコミック版では、ゼントラーディ人暴徒の鎮圧に際しVF-4に搭乗して戦うシーンもある。
- 続編マクロス7の主人公、熱気バサラは輝の息子ではないかという疑惑があるが、実際は不明。ゲーム『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』では競演するものの、この作品での両者の関係は物語の展開上、完全な赤の他人である。
[編集] 搭乗機
[編集] テレビシリーズ
- ファンレーサー (スタントパイロット当時の愛機)
- ファンライナー (リン・ミンメイがミス・マクロス・コンテストで得た優勝商品。その後、一条輝の私用機になった)
- VF-1D バルキリー (複座練習機、機体番号VT-102)
- VF-1J バルキリー (スカル大隊23番機、バーミリオン小隊長機、コールサイン「バーミリオンリーダー」)
- VF-1S バルキリー (スカル小隊長機、スカル中隊長機、コールサイン「スカルリーダー」)
- VF-1S スーパーバルキリー (同上)
[編集] 劇場版
- VF-1A スーパーバルキリー(スカル小隊2番機、コールサイン「スカル11」)
- VT-1 スーパーオストリッチ (宇宙用複座練習機)
- VF-1S ストライクバルキリー(スカル小隊長機、コールサイン「スカル1」)
[編集] OVA
- VF-4ライトニングIII (メガロード-01航空隊長機)