ムルマンスク
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ムルマンスク(Мурманск)はロシア最北西部の都市。ムルマンスク州の州都。バレンツ海に面するコラ半島北岸の港湾都市。人口は州内約560,100人、市郊外約566,000人、地方約83,000人、市中心約399,000人(2004年)。北極圏内最大の都市であり、ノルウェーやフィンランドとの国境にも近い。
ムルマンスクは北緯68度58分0秒東経33度05分0秒、モスクワの北1,967kmに位置している。市の主産業は漁業と海運業である。
暖流である北大西洋海流の影響で海は1年中凍結することがなく、世界最北の不凍港である。そのためソビエト連邦時代からの軍港であり、現在も海軍の基地を有している。また緯度の割には温暖で、平均気温は最も寒い1月でも氷点下8-13度ほどである。しかし夏は冷涼で、7月の平均気温は摂氏8-14度ほどである。ケッペンの気候区分ではDf(亜寒帯湿潤気候)に属するが、夏の気温が低いため、ET(ツンドラ気候)に近い気候であると言える。
高等教育機関として、ムルマンスク国立工科大学、ムルマンスク国立教育大学、ムルマンスク経済法科大学、ムルマンスク文科大学、ムルマンスク極地地理大学、ムルマンスク海洋単科大学などがある。
[編集] 歴史
1870年代に都市の建設が計画された。1912年に地理学者フョードル・リトケが初めてこの地を調査した。
1915年、コラ半島に鉄道が開通したことに伴い、1916年10月4日、正式に町が開かれた。もとはロマノフ・ナ・ムルマネと呼ばれていたが、1917年の十月革命の後にムルマンスクと改称された。
第一次世界大戦後、1918年から1920年まで反革命白軍、ならびに共産主義革命に干渉したイギリスやアメリカが占領。
第二次世界大戦で、アメリカ合衆国をはじめ連合国側の補給物資の陸揚港として重要な役割を果たしたが、1941年にドイツ軍に空爆され、町は激しく破壊された。しかし、市民の果敢な抵抗に遭ってドイツ軍は退却。その事件を記念して、後にソヴィエト連邦政府より「英雄都市(Мурманск - Город Герой)」の称号が町に与えられた。
冷戦期にはソヴィエト連邦の潜水艦の基地であった。ソヴィエト連邦の崩壊後、ロシア連邦の北方艦隊、原子力潜水艦の基地として重要な都市である。