ペナルティーキック (サッカー)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サッカーにおけるペナルティーキック (penalty kick) は、サッカーの試合における特定の反則行為に対し、反則を行った選手の属するチーム側に与えられる罰則である。
目次 |
[編集] ルール上の規定
サッカーのルールとなるLaws of the Game(日本サッカー協会では「サッカー競技規則」)では第14条ペナルティーキック(The Penalty Kick)に於いて規定がなされている。
一方のチームの選手が直接フリーキックに相当する10項目の反則のひとつを、自分のペナルティーエリアの中でボールがインプレー中に犯したとき、相手チームに対してペナルティーキックが与えられる。直接フリーキックとなる反則についてはファウルの項目を参照されたい。
ペナルティーキックは直接得点することが出来る。また、ルールブックの「試合の勝者を決定する方法」においては、試合が引き分けに終わったあと、勝者となるチームを決めることが競技会規則によって要求されている際に勝者を決定する方法の一つとして、ペナルティーマークからのキックを定めている。これはいわゆるPK戦に相当する。
[編集] ボールとプレーヤーの位置
[編集] ボール
ペナルティーマークに設置する。
[編集] ペナルティーキックを行うプレーヤー
ペナルティーキックを与えられたチームの中からキックを蹴る選手(キッカー)を特定する。
[編集] 守備側のゴールキーパー
キッカーがボールを蹴るまでの間はゴールライン上で2つのゴールポストの間に足を置き、キッカーと正対する。
[編集] それ以外のプレーヤー
- フィールドの中にいなければならない。
- フィールドの中でもペナルティーエリアおよびペナルティーアークの外に位置し、なおかつペナルティーマークより(当該ゴールを向いて)後方にいなければならない。
[編集] 主審
プレーヤーが所定の位置にいることを確認するまでペナルティーキックを行う合図をしてはならない。
[編集] 進め方
- キッカーは前にボールを蹴らなければならない。
- 一度ボールに触れたキッカーは、他のプレーヤーがボールに触れるまで再びボールに触れてはならない。
- ボールが蹴られた瞬間にインプレーとなる。
[編集] その他の規定
主審がペナルティーキックを行う合図をして、ボールがインプレーになる前に、次の状況の一つが起きた場合:
ペナルティーキックを行う競技者の競技規則の違反:
- 主審はそのままキックを行わせる
- ボールがゴールに入った場合は、キックを再び行う。
- ボールがゴールに入らなかった場合、主審はプレーを停止し、守備側チームの間接フリーキックで試合を再開する。
ゴールキーパーの競技規則の違反:
- 主審はそのままキックを行わせる。
- ボールがゴールに入った場合、得点を与える。
- ボールがゴールに入らなかった場合は、キックを再び行う。
キックを行う競技者の味方競技者がペナルティーエリアに入る、ペナルティーマークより前方に動く、あるいはペナルティーマークの9.15m(10yds)以内に入る:
- 主審はそのままキックを行わせる。
- ボールがゴールに入った場合は、キックを再び行う。
- ボールがゴールに入らなかった場合、主審はプレーを停止し、守備側チームの間接フリーキックで試合を再開する。
- ボールがゴールキーパー、クロスバー、ゴールポストからはね返って、その競技者に触れた場合、主審はプレーを停止し、守備側チームの間接フリーキックで試合を再開する。
ゴールキーパーの味方競技者がペナルティーエリアに入る、ペナルティーマークより前方に動く、あるいはペナルティーマークの9.15m(10yds)以内に入る:
- 主審はそのままキックを行わせる。
- ボールがゴールに入った場合、得点を与える。
- ボールがゴールに入らなかった場合は、キックを再び行う。
守備・攻撃両チームの競技者の競技規則の違反:
- キックを再び行う。
(サッカー競技規則 2005/2006より)
[編集] ペナルティーキックの実際
ペナルティーキックはキッカー、ゴールキーパー双方にとってプレッシャーの掛かる場面である。
キッカーは選定は任意であるが、一般的にそのチームの中でキックが一番上手い人、責任が取れる人(つまりキャプテンマークを巻いている人)が好まれる。前者は彼(彼女)が外したら誰も決められないという事で諦めることができるから、後者は心理的プレッシャーが掛かる場面で責任を一身に背負える立場にあるからである。その他には、得点数を稼ぎたいフォワードの選手が行う場合もある。キッカーの選任はフィールド上の選手のみで決定する場合もあるが、事前に監督によって指名されている場合もある。一試合の中で複数回ペナルティーキックの機会が訪れる場合もあるが、その際には「一度ペナルティーキックを外したプレーヤーは、2回目を蹴りに行ってはいけない」という金言がある。
ゴールキーパーにとっては、キッカー以上に負担の大きい場面となる。ペナルティーキックの権利を与えられたチームは、約8割の確率でゴールに成功している。ペナルティーキックに際してゴールキーパーは時間的、精神的余裕がある場合は実際にはモーションを読んだり、軸足の方向でボールが来る方向を読んだり、事前に行ったスカウティングを基に飛ぶ方向を決めたりしているが、最終的にはゴールキーパーの独自の判断の元(つまりは勘)でボールが飛んでくる方向を予想し、その方向に飛ぶという事を行っている。この際に飛ぶ大まかな方向としては、真ん中上(動かない)、真ん中下、右上、右下、左上、左下に6等分するか、単に真ん中と左右の3等分で動く場合もある。後者に於いても実際にその方向にボールが飛んでくる確率は10%程度であり、この数字だけを見ても如何にゴールキーパーにとってペナルティーキックを防ぐのが難しいかが分かる。また、ボールが飛んでくる方向を読んでいたとしても実際にボールを止められるという保障にはならない。そのままゴールキーパーの体をすり抜けてゴールマウスの中にボールが入ってしまう場合も考えられる。
従って、この罰則は、反則を行ったチームにとって実質的に1点を失点するに等しい効果を持つ。サッカーは一般に得点の入りにくい競技であるから、ある1つのプレーがペナルティーキック相当の反則であると判断されるか、それとも反則でない(攻撃側のシミュレーションも含む)と判断されるかが、しばしばその試合の結果そのものを左右することにもなる。