プリマス (自動車)
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プリマス(Plymouth、プリムスとも)はかつてダイムラー・クライスラーが北米で展開していた自動車ブランドである。クライスラー内のエントリーカー部門を担う存在として1928年から2001年まで展開されていた。
[編集] 概要
安価な大衆車ブランドとして成功したゼネラルモーターズのシボレーに倣い、クライスラーは同様のエントリーカー部門を担うブランドとして1928年にプリマスを誕生させた。その目論見は当り、プリマスはユーザーの好評を得るに至り、ブランドとしては後発であったにも拘らずシボレー、フォードとともに安価な自動車の代名詞として認識されるようになるほど定着することに成功していた。
プリマスのリリースする車種は安価であるがパフォーマンスに優れており、長い間常にブランド販売上位に食い込んでいた。しかしクライスラーの経営方針の転換により1960年代に姉妹ブランドであるダッジがプリマスより安価な自動車を展開することとなり、独自性のある車種を持ち合わせていなかったことから差別化ができずにプリマスは一時期販売低迷に陥ることとなる。
しかし1970年代前半にはバリアントとダスターのヒットにより持ち直し、販売台数上位に返り咲いた。だがそれも束の間であり、1970年代後半にはオイルショックなどを起因としたクライスラーの深刻な経営不振により戦略の見直しが行われ、プリマスはそのあおりを食ってフルラインナップブランドから転落する。その後はプリマスのオリジナルモデルは少なくなり、コストダウンの関係から当時提携関係にあった三菱自動車などの他メーカー、ブランドのOEMが主流となっていき、一時期の勢いは完全に失われることとなった。これによりクライスラー内で新モデルが開発された際にもダッジやクライスラーに優先的に展開され、プリマスは冷遇されることとなる。
その後1998年にイーグルが終了した際、プリマスにイーグルで販売していた小型で安価な自動車のラインナップの流れを統合する案が生まれ、復権のチャンスを得る。その際に新たなフラッグシップモデルとして往年のホットロッドを彷彿させるモデル「プロウラー」、ネオンをベースとしたオールドニュースタイルのPTクルーザーを開発、主力として推す計画となる。
しかしPTクルーザーは紆余曲折の末クライスラーブランドから発売されることなり、また「プロウラー」を投入し大きな話題を集めるも劣勢を覆すには至らず、クライスラーのブランド戦略見直しにより一世を風靡していたプリマスは既存ラインナップの更新を行わないという寂しい形で2001年に終了した。
[編集] モデル
- プリマス・GTX(1967-1971年)
- プリマス・アクレイム(1989-1995年)
- プリマス・グランドボイジャー(1987-2000年)
- プリマス・コルト(1983-1991年)
- チャンプの後継車種で先代同様三菱・ミラージュのOEM。
- プリマス・サッポロ(1978-1983年)
- プリマス・サンダンス(1987-1994年)
- プリマス・スーパーバード(1970年)
- プリマス・ダスター(1970-1994年)
- プリマス・チャンプ(1979-1982年)
- 三菱・ミラージュのOEM。
- プリマス・ツーリスモ(1983-1987年)
- プリマス・ネオン(1995-2001年)
- ダッジ・ネオンのバッジエンジニアリング。
- プリマス・バリアント(1960-1976年)
- プリマス・ビップ(1966-1969年)
- プリマス・プロウラー(1997-2000年)
- プリマス・ボイジャー(1974-2000年)
- プリマス・ホライズン(1978-1990年)
- プリマス・レーザー(1989-1995年)
- プリマス・ロードランナー(1968-1980年)