イーグル (自動車)
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イーグル (EAGLE) は、1987年から1998年まで米国クライスラー社 (現ダイムラー・クライスラー) が北米、カナダで展開した自動車ブランド。「イーグル」は1980年から1988年までAMCが販売した「AMCイーグル」に由来する。クライスラー社内ではジープ/イーグル部門として活動し、販売は以前はAMCディーラーであった販売店を通してジープと共に販売された。
[編集] 概要
クライスラー社が1987年にAMC(アメリカン・モーターズ)を買収した際、AMC乗用車部門を「イーグル」ブランドとして継続。プリムスやダッジなど他のクライスラー社ブランドとは異なり、車体にはクライスラーの『ペンタスター』ロゴはなく、イーグルのブランドバッヂのみがつけられた。
最初の2モデルはAMC時代に資本関係で主要株主となっていたルノーのモデルであり、その後はクライスラー社の姉妹車戦略、つまりバッジエンジニアリングによるブランド戦略により、イーグル・ビジョン以外は、他のブランド同様、クライスラー内の他ブランド、あるいは三菱自動車からのOEMで供給された。
イーグルブランドとしてはイーグル・ビジョンがある程度好評を得たのみで、ジープ/イーグル部門での収益源はジープのモデルによるものだった。旧AMCディーラーはジープが最も稼ぎのいい車と認識して仕事をつづけており、ディーラー自身の販売力・サービス力がジープやAMCイーグルの四駆モデルへ向いていたことも大きく、当初よりイーグルブランドの販売は軽視されていた。その上、一店舗のみのディーラーはクライスラー(ブランド)のディーラー網への取り込みがおこなわれるようになる。80年代中頃、チェロキーから火がついたSUVが手にはいるとあってクライスラー(ブランド)・ディーラーは喜んだが、これが同じクライスラー傘下のダッジ・ディーラーとの差別化がなくなることにつながり、この結果、クライスラー社は多様なブランド展開よりも少数モデルによるマーケティングへと移行することを選択。1996年から段階的にモデルを終了させ、1998年の「イーグル・タロン」を最後にクライスラーは11年間のイーグルブランドでの製造・販売を終了した。
[編集] モデル
- イーグル・プレミア(1988~1992)
- イーグル・メダリオン(1988~1989)
- イーグル・サミット(1989~1996)
- メダリオンの後継モデルとして発売。ダッジ・コルト(三菱・ミラージュ)のOEMモデルで4ドアコンパクトセダン、3ドアハッチバック及び2ドアクーペがラインナップされた。
- イーグル・ビスタ(1989~1992)
- 三菱・ミラージュのOEM。カナダ専売モデル。このモデル以前は三菱・ミラージュとして販売されていた。
- イーグル・タロン(1989~1998)
- 三菱・エクリプスのOEMモデル。AWDコンパクトクーペ。販売不振だったイーグルブランドの数少ない例外で、初代に限れば本家であるエクリプスや同じくOEMモデルであるプリムス・レーザーよりも総販売台数が多かった。これは三菱自動車で販売していたエクリプスが日本車として輸入車扱いで税を掛けられていたのに対して、タロンは自国生産車として扱われ、エクリプスよりも販売価格が若干低かったことに起因する。しかし、現地での扱いは皮肉にも三菱製と完全に同一視されている(三菱・エクリプスのバッヂ違いモデルとの認識が強い)。
- イーグル・2000GTX(1991~1992)
- 三菱・ギャランのOEMモデル。カナダ専売。
- イーグル・ビジョン(1993~1997)
- クライスラーの共通プラットフォーム(LHプラットフォーム)を用いて作成された唯一のイーグルオリジナルモデル。フルサイズ4ドアセダンで他のモデルに比べ豪華志向になっていた。イーグルにおいては販売は好調で、欧州、アジアの一部地域にも輸出され、クライスラー・ビジョンの名で販売された。1998年にイーグルが終了した為にモデルチェンジ時にはクライスラー・300Mとなった。