フランク・ザッパ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

フランク・ヴィンセント・ザッパ（Frank Vincent Zappa, 1940年 12月21日 - 1993年 12月4日）は、アメリカ合衆国の男性音楽家（ロック、ジャズ・フュージョン、現代音楽）。ピエール・ブーレーズに認められた現代音楽作家でありつつ、ロックギタリストとしても評価が高く、エイドリアン・ブリュー、テリー・ボジオ、ローウェル・ジョージ、ジョージ・デューク、スティーヴ・ヴァイ他を輩出したバンドのリーダーでもある。多作で知られ、一生涯で60枚以上のオリジナルアルバムを遺した。

[編集] 生い立ちと初期の経歴

ザッパはメリーランド州ボルティモアで生まれた。彼の祖先はシチリア島、イタリア、ギリシャ、アラブ、フランス、アイルランド、そしてドイツと様々な土地の混合であった。1951年 1月に一家はフランクの喘息療養のためカリフォルニア州のサンフランシスコから100マイル南のモンタレーに転居した。一家はその後ポーモーナ、エルカホンと転居を重ね、1950年代初めにサンディエゴに移り住んだ。1955年には再びランカスターに転居した。15歳の時までにフランクは六つの異なる高校に通い、その経験は後に彼が感じた疎外感の源となった。

フランクの父親はシチリア島出身の科学者および数学者で、エドワーズ空軍基地の近くにある連邦政府化学戦研究施設に勤務した。一家はエドワーズ空軍基地の近くに暮らしたため、事故に備えて家庭には防毒マスクが常備されていた。このことは若いフランクに深遠な影響を与えた。後の彼の作品には細菌や細菌戦、「秘密」軍需産業への言及が見られた。

[編集] エピソード

『フランク・ザッパ自伝（Real Frank Zappa Book）』によると、彼は長らく自分の名前は「フランシス」だと思い込んでおり、どうしても好きになれない名前なので愛称の「フランク」を名乗っていたという。海外ツアーに向けてパスポートを取得するために出生証明書を取り寄せてみたところ、そこに記されていた名前は実際に「フランク」であったので、そのことを知る前にリリースした初期のアルバムに「フランシス・ヴィンセント・ザッパ」の名を使ってしまったことをかなり後年まで悔やんでいたらしい。現在でも、「アルバムジャケットにそう書かれているから」という理由で彼の名を「フランシス」であると誤って主張する者は多い。

1971年、モントルーでライブを行っていた際、観客の一人が銃を乱射して火災事故を起こしたことがあり、レマン湖の対岸でそれを目撃していたディープ・パープルの代表曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」にこのエピソードが引用されている。

日本で封印作品を連発したバンド頭脳警察の名前の由来は「フー・アー・ザ・ブレイン・ポリス？」（『フリーク・アウト！』収録）を直訳したものと思われるがザッパ本人は知らなかった（らしい）。