ファミコン冒険ゲームブック
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ファミコン冒険ゲームブック(-ぼうけん-)は、双葉社より発行された、ファミリーコンピュータ用ゲームを題材としたゲームブックのシリーズ。1986年から1991年にかけて80冊近くが発行された。
[編集] 概要
日本でゲームブックが流行した1980年代後半は、同時に『スーパーマリオブラザーズ』に始まるファミコンの爆発的ブームとも重なっていた。これに便乗する形で各社からファミコンを題材としたゲームブックが多数出版されたが、その中でも筆頭と言えるのが双葉社の本シリーズである。
内容は様々で、原作のゲーム内容をほぼそのままなぞったもの、原作を生かしつつ大幅にアレンジを加えたもの、タイトルとキャラクターだけを借りてきた全くの別物、等々バリエーションに富む。
殆どの作品ではサイコロを使わないごく簡易なシステムを採用している。小学校中学年~高学年を主なターゲットにしているのか、文章は全体的に平易で、一冊の価格も他社製ゲームブックより安く設定してある。500項目以下の小規模~中規模のものが多数を占めるが、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』のように上下巻に及ぶ大規模なものもある。
作品の質は全体的に低めで、原作のネームバリューだけで売っているような粗悪なものも散見されるが、中には原作の世界を更に広げるような良質なアレンジがなされたものもあり、玉石混淆と言って良い。
なんと言っても子供に親しみのあるファミコンが題材であり、これを足がかりにゲームブックの世界に足を踏み入れる者もいたりと、日本におけるゲームブックブームの一翼を担っていたと言えよう。しかし同時に、良質な作品の少なさから粗製濫造と言われ、ゲームブックの衰退にも繋がったと指摘されることも多々ある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ラインナップ
- ゼルダの伝説 蜃気楼城の戦い(1986年 樋口明雄 / スタジオ・ハード)
- 原作『ゼルダの伝説』の後日談にあたる。リンクとゼルダ姫が主人公だが、呪いによって昼はリンク、夜はゼルダ姫しか行動できず、その間もう片方は水晶玉に閉じこめられてしまう。原作では見ることのできない、戦うゼルダ姫の気丈な姿が印象的である。シリーズ初期の名作。
- プロ野球ファミリースタジアム ナムコスターズの挑戦(1988年 井上尚美 / 立花統治 / レッカ社)
- 弱小球団「ナムコスターズ」解散の危機に、新オーナーが現れ救済を申し出るが、それにはメジャーリーグのオールスターとの試合に勝つのが条件だった、というストーリー。『プロ野球ファミリースタジアム』のゲームブック化であるが、原作の選手起用の楽しさを上手にアレンジした、限られた予算で他球団の強力助っ人を選択・獲得するというアイデアが見事。
- 桃太郎シリーズ全6作
- (桃太郎伝説・桃太郎電鉄・桃太郎電光石火・桃太郎伝説スペシャル・桃太郎活劇・桃太郎伝説Ⅱ)
- ハドソンの『桃太郎伝説』・『桃太郎電鉄』シリーズをゲームブック化したものである。原作の世界観と同じく全編ギャグやダジャレが満載でエンターテイメント性が強いシリーズである。特に完全にゲームブックオリジナルの桃太郎伝説スペシャル(桃太郎と西洋のおとぎ話がつながった作品)・桃太郎電光石火(007のパロディ)の2作品はシリーズの最高傑作であり、双葉社ゲームブックシリーズの白眉とも言える。
- スーパーマリオブラザーズ マリオを救え!
- スーパーマリオブラザーズ Vol.2 大魔王ネオクッパの挑戦 (1989年 池田美佐 / スタジオ・ハード)
- マリオとルイージはクッパとの対決の際に500年後の未来へと飛ばされる。その時代ではキノコ王国は既になくファンガスと呼ばれている。目を覚ましたマリオが居たのは病院のベッドの上で、ルイージの姿はどこにもなかった。マリオは看護してくれたナース(後にアンドロイドだと発覚)の協力を得て、パワードスーツなど未来の武装を駆使して、サイボーグ化によってパワーアップしてファンガスの支配者となったカメ一族と戦う。サイバーパンクな世界設定や、偽者のルイージの存在が疑心暗鬼を誘うなど、原作とはかけ離れた雰囲気を持つ秀作。
- スーパーマリオブラザーズ Vol.3 マリオ軍団出撃
- スーパーマリオワールド 恐竜ランド編 (1991年 橋爪啓 / スタジオ・ハード)
- シモン・ベルモンドがドラキュラを倒して数百年後、シモンの子孫で同じ名を受け継ぐ映画俳優シモン・ベルモンドは、主の滅びた悪魔城でドラキュラ映画の撮影をしていた。映画のヒロインは恋人のルーシーである。しかしドラキュラを復活させてしまい、恋人を取り戻すべく悪魔城へと挑む。ヒロインを助け出すのが目的ではあるが、ヒロインともども吸血鬼化してドラキュラは魔界へ帰り、地上支配を任されて悪魔城の城主となるENDも存在する。吸血鬼についけ解説したミニコラム「ドラキュラミニミニ百科」が巻末に掲載されている。
- 魍魎戦記MADARA 聖なる反逆者 (1990年 高木成一、犬飼わたる / 編:レッカ社)
- ゲームや原作コミックより低い年齢層に向けた構成になっている。
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