ヒメウミガメ
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ヒメウミガメ属 Lepidochelys | ||||||||||||||||||||
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ヒメウミガメ(姫海亀)はカメ目ウミガメ科アカウミガメ亜科ヒメウミガメ属に分類されるウミガメである。
ヒメウミガメ属に属するのはヒメウミガメ(姫海亀、Lepidochelys olivacea、Olive Ridley)とケンプヒメウミガメ(ケンプ姫海亀、Lepidochelys kempii、Kemp's Ridley)の2種である。
ヒメウミガメの甲羅の長さは大きくても70㎝くらいで、ウミガメの中では小型の種類である。甲羅がオリーブ色をしているため、オリーブヒメウミガメとも呼ばれる。 太平洋、インド洋、大西洋の熱帯海域に分布するが、日本ではたまに漁船などに発見され捕獲されることはあるが産卵に上陸した例はない。雑食性で、主に魚や甲殻類、クラゲなどを捕食する。 国際自然保護連合 (IUCN) のレッドリストでは「絶滅危機」 (EN : Endangered) に指定されている絶滅危惧種で、ワシントン条約付属書Iにも記載されている。
ケンプヒメウミガメは、ウミガメとしては最も小型の種類であり、大西洋~メキシコ湾岸に分布する。 IUCNのレッドリストでは「絶滅寸前」 (CR : Critically Endangered) に指定されている。
[編集] アリバダ
ヒメウミガメ(オリーブヒメウミガメ)とケンプヒメウミガメは、大群で上陸し産卵をする「アリバダ」 (arribada) という現象を起こすことがある。他の種類のウミガメはアリバダは起こさない。 アリバダは、主に雨季に、のべ数千頭~百万頭以上ものヒメウミガメが数日~十日以上の間に一斉に上陸し産卵をする自然現象で日中にまで上陸と産卵が続くことがある。その時には雌ガメが砂浜をおおいつくし、他の雌ガメが産卵した卵を掘り返してしまうこともある。
アリバダが起こるのは、世界でも、メキシコで二ヶ所、コスタリカで二ヶ所、ニカラグアで二ヶ所、パナマとインドで一箇所ずつの計八箇所の海岸だけである。メキシコのランチョ・ヌエボ (Rancho Nuevo) では初期のアリバダ研究が行われた。 また、コスタ・リカの太平洋岸のオスティオナル (Ostional) では大規模なアリバダが起こることで知られるとともに、地域組織によるウミガメの卵の計画的な採集と販売が行われ、その収益をウミガメの保護と海浜の保全活動の予算とする保全プロジェクトが行われている。
アリバダが起こる理由は、一斉産卵で一度に大量の子ガメを孵化させることにより子ガメの生存率を高める戦略だといわれる。子ガメには孵化直後からクロコンドルやカモメ、グンカンドリといった海鳥や大型魚などに捕食される危険がある。そのため生き残り成体となる個体はごくわずかである。
アリバダの語源はスペイン語の"arribar(到着する)"である。
[編集] 日本で見られる施設
- ヒメウミガメ
- 沖縄美ら海水族館(沖縄県国頭郡)
[編集] 外部リンク・参考文献
- Red List Standards & Petitions Subcommittee, Lepidochelys olivacea in IUCN Red List of Threatened Species (2006).
- Marine Turtle Specialist Group, Lepidochelys kempii in IUCN Red List of Threatened Species (2006).