パナウェーブ研究所
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パナウェーブ研究所(-けんきゅうじょ)は、故千乃裕子を教祖及び代表とする千乃正法会という宗教組織の一部門で、新宗教団体の一つである。福井県に本部を置いている。
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上位組織の概要
パナウェーブ研究所の上位組織である千乃正法会は、東京都渋谷区に本部を置いている。主神は「南の島の大王」、ミカエルであり、千乃裕子はミカエルの妃と位置づけられている。ミカエルは、キリスト教における「大天使ミカエル」のことで、新宗教に一般的なキリスト教の要素を取り入れたものであると言える。経典などは持たない。
カルト宗教あるいはオカルト集団の一種と評する者もいるが、当人たちは否定している。
パナウェーブ研究所の概要
パナウェーブ研究所はその一部門として設立され、「スカラー電磁波は人体にとって有害である!」と主張している。また、そのスカラー電磁波から身を守るために有効という白装束(長袖のコート型白衣・白マスク・白頭巾・白長靴)を身にまとっている。また、移動用の車両には、スカラー電磁波を防ぐ効果があるという渦巻き模様の図柄を貼り付けている。
その様子から、2003年の4月から5月にかけて活動がワイドショーなどで大きく取り扱われ、一時的に有名になった。また、研究所の名称に「パナ」を冠するため、Panasonicブランドを持つ松下電器産業との関連性を問われたことがあったが、同社およびその関連会社とは一切無関係である。
思想的には反共主義であり、「共産主義者が『スカラー電磁波』で日本を襲う」とも主張している。一例として、電柱上の電線が巻かれた部分(敷設の際にあまらせてあるもの)を示し、そこでスカラー電磁波を発生させるという攻撃がなされているとし、教祖はその被害を受けているなどと述べている。
また、2003年に有名になる以前にも、日本共産党に対して何らかの文書を送りつけるなどの活動も行っていたとされる。
1999年には、「電磁界等を考えるシンポジウム京都会議」に参加し、スカラー電磁波問題について持論を展開したこともある。
2006年、千乃裕子代表は72歳にして死亡した。
パナウェーブ研究所の大移動
2003年にワイドショーに取り上げられ一躍有名になったのは、「惑星ニビル星が地球に落下してくる天変地異」の危険を訴え、福井県に向けて大移動を行ったためである。白装束の一団が移動するという現象は、テレビ的にもたいへん見栄えのする映像だったということもあり、連日のようにその一団の移動の様子が報じられた。しかし、研究所が主張していたような天変地異は起こらなかった。
2003年の秋には、多摩川に出現しタマちゃんと呼ばれて知られたアゴヒゲアザラシの騒動にも、パナウェーブ研究所の関係者が「タマちゃんのことを想う会」を名乗り、自然に返すという名目のもとに捕獲を強行するという活動を行った。
参考文献
- パナウェーブとタマちゃんを考える会 『パナウェーブ―白装束の謎と論理』 (現時点で唯一と思われる関連書) ISBN 4774706493