パトリオットミサイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
MIM-104 パトリオット(MIM-104 Patriot)は、レイセオン社がMIM-14ナイキミサイルの後継としてアメリカ軍向けに開発した広域防空用の地対空ミサイルシステムである。ちなみに「パトリオット」とは『愛国者』の意。
目次 |
[編集] 概要
移動式のシステムであり、ミサイル発射機搭載トレーラー、レーダー車、射撃管制車、電源車、アンテナ車という様に、車両の形態で展開して運用される。湾岸戦争時にイラク軍が発射したスカッド・ミサイルを撃墜した事により、有名になった。アメリカ軍のほかにもアメリカの同盟国の幾つかに配備されている。
ナイキミサイルに比して射程の延伸、対ECM性(ECCM)やジャミング機構の向上、低高度目標撃墜能力の付与といった機能向上がなされている。また、システムとしてのパトリオットはナイキよりも省力化が図られており、交戦中に人員が配置されるのは射撃管制車のみとなっており、レーダーや発射機は無人となり射撃管制車からの遠隔操作によって制御される。
初期型であるMIM-104Aがアメリカ軍に引き渡されたのは1984年からであるが、逐次近代化改修がされている。それらはPAC-1(MIM-104B)、PAC-2(MIM-104C/D/E)、PAC-3という3つの世代に大きく分けられることが多い。「PAC」は "Patriot Advanced Capability" の略である。
[編集] PAC-1
パトリオットPAC-1(MIM-104B)、は初期型であるMIM-104AのECCM(敵の電子妨害に対抗する装置)やソフトウェア等を改修したものである。
[編集] PAC-2
湾岸戦争時に使われたパトリオットはPAC-2(MIM-104C)であり、イスラエルやサウジアラビアへ発射されたスカッドミサイルを迎撃したが、現在アメリカ軍から発表されている限りサウジアラビアにおいては70%、イスラエルにおいては40%の迎撃率としている。これはPAC-2が弾道ミサイルに対する能力を主に置かれたものではなくあくまで副次的なものであり、ミサイルが目標の近くに近づくと自爆してその破片で敵を破壊する近接信管(VT信管)というものであったため目標の弾道ミサイルを確実に無力化するには性能不足であった。
日本では航空自衛隊の高射部隊に地対空誘導弾ペトリオットとしてPAC-2が配備されており、対北朝鮮弾道ミサイル迎撃の要としてPAC-3の配備も決定している。
[編集] PAC-3
現在、弾道ミサイル防衛(BMD)対応のPAC-3が開発を完了し、日本では日本版BMDの一つとして平成18年度中に航空自衛隊の第1高射群(埼玉県)に配備し、その後も各地に順次配備する予定である。
在日米軍では沖縄県の嘉手納飛行場と嘉手納弾薬庫地区への配備が決定しており、PAC-2及びPAC-3を装備するテキサス州フォート・ブリス陸軍基地の米陸軍第1-1防空砲兵大隊(4個砲兵中隊)が移駐する。発射機は1個中隊6基編成で計24基が配備される予定。
PAC-3はPAC-2までに比べ小型化され、今まで1発入っていたミサイルケースに4発装備(1発射機に付き最大16発)出来る様になった。しかし小型化した為、PAC-2に比べ射程距離が3分の1程度(15km程度)になっている。他の主な変更点として、弾道ミサイル迎撃用により破壊力を高める為、弾頭を近接信管から弾頭が直接当たり、その運動エネルギーで破壊するという「Hit-to-kill」方式に変えられ、また翼による姿勢制御だけではなく、サイドスラスターを装備し機動性を高めている。PAC-3は2003年のイラク戦争ではイラクからクウェートに発射されたミサイルを迎撃しているが、友軍機も誤射している。
[編集] 備考
同兵器では落下してくる弾道ミサイルには対応させやすいものの、低空を飛行してくる巡航ミサイルや、大量かつ連続的に発射されるようなロケット弾には対応させ難い。これらには近距離ではCIWSのファランクスのような機関砲が対応する。
尚、米国では戦術高エネルギーレーザー(THEL)の配備を検討しており、将来的には再突入段階(ターミナルフェイズ)においてのパトリオットミサイルによる中長距離防衛、レーザーによる中近距離防衛、CIWSによる近距離防衛という三段重ねの防衛構想も見られる。
[編集] 登場作品
- 『ガメラ3 邪神覚醒』:ガメラがイリスとの空中戦の最中に、航空自衛隊がガメラに向けてペトリオットを放ち、ガメラを撃墜するという部分があるが、これは海外での訓練で特別に撮影許可されたものである。
- 『ゴジラvsビオランテ』:改良型の「ペトリオット改」が登場。
- 『超空の大和』:北朝鮮のノドンやスカッドCや中華人民共和国の東風15(?)を撃墜している。ただし、ロシアのSLBMはふせげなかった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
この「パトリオットミサイル」は、武器・兵器に関連した書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。 |
カテゴリ: 武器・兵器関連のスタブ | アメリカの地対空ミサイル | 湾岸戦争