バーチャルペット
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バーチャルペットとは、コンピュータプログラムによって制作された愛玩用のソフトウェアないしそれを含むハードウェアである。
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[編集] 概要
一般に言う所のペットでは、主に愛玩用に飼育されている動物を指し、広義には愛玩するために製作された物品などを含む。バーチャルペットでは、コンピュータの画面上に表示された映像に働き掛け、愛玩の用に足す物である。これに近い分野では、ロボットの一種にペットロボットが挙げられ、単純な物では玩具の一種として扱われている。
画面上の動物・生命のような振る舞いを見せる物としては、人工生命のような物もあるが、こちらは生存のための捕食・繁殖・死といった概念を抽象化して一つの単位とし、主に「生命とは何か?」という哲学的命題に端を発する問いに対する一つの回答様式となっている。しかし人工生命は、生命や生態系のモデル化が主目的であるため、これを愛玩するためには設計されておらず、一般的に研究対象の人工生命を愛玩する人はいない。
[編集] 愛玩対象として
人の関心を惹くための愛玩物としてのバーチャルペットは、主に玩具として発展してきた傾向がある。そのためコンピュータゲームの一種として認識される傾向もある。
[編集] 携帯ゲーム形
その最も顕著な例がたまごっちであろう。この携帯型の装置は、中に「たまごっち」と呼ばれる架空の存在が入っているという設定で、ユーザーは餌を与えたり糞を掃除したり、あるいは遊んだりする事で、その中の卵が様々に成長する…といった内容だった。
これらは当初こそ知名度が今一つだったものの、流行するや瞬く間に類似製品や関連する製品が市場に出るようになり、携帯ゲーム形のデジモンやポケットピカチュウのような、簡単なコンピュータ(マイコン)と液晶画面を備えた機器が、電子ゲームの延長として登場している。
[編集] コンピュータのソフトウェア
その一方、パーソナルコンピュータや家庭用ゲーム機のようなコンピュータ製品向けに、ソフトウェアとして様々な製品が出ている。8bitパソコンの時代には既に、パソコンを動かせっぱなしでその動作を観察(または見物)し、ユーザーの気が向いたら、何らかの働き掛けをするようなソフトウェアが幾つか登場しいた。
『リトルコンピュータピープル』(1985年・英語記事)などがそれだが、同ソフトウェアでは「パソコンの中のおっさん」を眺めるというシュールな設定で、日本ではPC-8800シリーズ向けに「おっさん」を「うら若い女性」に変更した物も1987年に、またファミリーコンピュータ(名称を『アップルタウン物語』に変更)へ移植され発売されており、現代の育成シミュレーションゲームの源流にあるともみなされている。
ただ育成シミュレーションゲームでは、対象となるゲーム内のキャラクターに積極的に働き掛け、その結果によりゲームを進行させる訳だが、バーチャルペットの場合は特に目的があるわけではなく、「それ(ソフトウェア内のキャラクター)」は勝手に動き回り、その様子を眺めたり、あるいはプログラム内に用意された方法で、何らかの働き掛けを行い、その反応を楽しむものである。
今日では、家庭用ゲーム機でも潤沢な計算能力を持つことから、携帯ゲーム機や携帯電話向けのソフトウェアでも、様々な動物らしい反応を見せるソフトウェアが登場しており、それらは各々のコンピュータの演算能力と電力を餌に、メモリ空間内で相当数が「飼育」されているとみられている。
[編集] 飼育系
通常、ペットを飼う事を指して飼育というが、過去のコンピュータ・ソフトウェアには「飼育系」と形容できそうな製品群も見られる。これらは、様々な条件下にある存在にプレイヤーが働き掛け、その結果がプログラムの進行に影響するものの、結果は特に問われないため、プレイヤーは好きなようにその対象を弄りまわして楽しむという物である。
例えばシムアースやシムアントでは、一定の繁栄など一応の目標が定められてはいるものの、それらを無視して好き勝手に干渉しても、それが元でゲームの進行に不都合とはならない。このようなゲームでは、本来のゲーム進行とは異なる方向でゲーム内の世界や各々のキャラクターに干渉する事を楽しむユーザーも見られる。ダンジョンキーパーでは、2作目に「マイペット・ダンジョン」というモードがあり、プレイヤーは限られた資源(リソース)という条件はあるものの、自分の好みで好き勝手にキャラクターに干渉して楽しむ事ができる。
これらは欧米にてGod game (英)(神の視点ゲーム)とも呼ばれ、ゲーム内を勝手に動き回っているキャラクターの属する世界そのものに働き掛け、その反応を楽しむゲームである。日本では単にリアルタイムストラテジーの一種に分類されるゲームだが、これらが度々に欧米で開発・発売されている所を見ると、当地ではそれなりに人気のあるジャンルといえよう。これらはある意味では、ハムスターのような小動物を飼育する感覚に近いのかもしれない。
[編集] その意義と問題点
バーチャルペットでは、ユーザーはその対象を好きに弄りまわす事ができる。たとえばそれが、弄り方が悪くて「好ましくない状態になってしまった」場合には、一旦ソフトウェアを終了し、新規に始めなおしたり、またはセーブした所から続きができる。この中では、現実で不可逆であるために取り返しのつかなくなる「死」ですらも、簡単に状態を復元して続きを楽しむ事ができる。また一般の動物のペットとは異なり、臭いや汚損といった問題も発生させない。音も必要であれば好きな時にけす事が出来、バーチャルペットそのものに飽きたら、プログラムを停めてしまうだけで事足りる。
しかし日本では1980年代後半の頃より、コンピュータゲームに対する不信感の中に「リセットすれば何でもやり直しできるのは、現実と違って甚だご都合主義的である」という批判も見られ、これらバーチャルペットが「好ましくない状態」に成ってしまったからと言って、簡単にリセットで片付けていいものか?ということも言えよう。
いずれにせよこの問題は仮想現実全般が抱えている問題であるが、近年の生命倫理希薄化を危惧する向きにとっては、十分に不信感を煽る存在であろう事が予想される。現在の所は「たかがコンピュータプログラム」ではあるが、近年のコンピュータの表現能力向上は、例えばバーチャルペットの扱いが乱暴なユーザーを見た第三者が不快感を被らないか?とした場合に、様々な問題を生む事も予想される。(→動物虐待・残酷ゲームあるいは環境犯罪誘因説)
その一方で、不気味の谷現象のような、リアリティ追及の面でのネックも想定される。バーチャルペットは、現代社会の集合住宅ではペットを飼えない上での代替物という側面もみられるが、中途半端にリアルであるために不気味な感じになってしまっては、それを愛好できない人も出てしまうと思われる。この部分も、今後の課題となるだろう。
[編集] 関連項目
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