バリツ
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バリツ(baritsu)は、シャーロック・ホームズシリーズに登場する東洋武術。
1894年の『最後の事件』でシャーロック・ホームズは宿敵・ジェームズ・モリアーティ教授と揉合いになった末、スイスのライヘンバッハの滝に2人とも落ちてしまったということになっていた。アーサー・コナン・ドイルはファンの要望に応えて続篇を書くことになり、ホームズは死んでいなかったことにする必要がでてきた。そこで、ホームズには「バリツ」という日本式の格闘技 (the Japanese system of wrestling) の心得があって、それでモリアーティ教授を投げ飛ばしたのだ、と『空家の冒険』の中でホームズはワトソンに説明している。
バリツとは、柔道のことであるというのが通説となっている。ちなみに、この頃は柔道と柔術を明確に区別する習慣がなく、講道館出身者でさえ「柔術家」を自称していた。
[編集] 東京バリツ支部
1950年には、江戸川乱歩、吉田健一などを発起人として、ベーカー・ストリート・イレギュラーズの東京バリツ支部が結成された。発会式では、牧野伸顕(吉田健一の祖父、吉田茂の岳父)の「バリツの起源」に関する論文が朗読された。牧野論文によれば、ホームズは「僕は日本式レスリングを含むブジツ(武術)の心得がある」と言ったのであって、ワトスンはbujitsuをbaritsuと間違えたのだという。
[編集] バーティツ
1899年9月に日本に滞在していたE. W. バートン-ライト(E.W.Barton-Wright)というイギリス人が日本人たにゆきお(漢字表記不明)とともに、1900年イギリスで日本の柔術の技法を取り入れた護身術を "bartitsu" (バーティツ)と名付けてロンドンで教えており、雑誌ピアスンズ・マガジンに記事を掲載していた。その雑誌にはドイルも小説を掲載していたので、ドイルがその記事を読んでいた可能性は高く、"baritsu" とは "bartitsu" の誤記であるとする説が有力である。また、ドイルに日本語の知識があったとは到底思えないが、「バーティツ」より「バリツ」のほうが日本語らしく響く。 この説はなかなかいい線を行っているが、難点がある。それはバーティツの成立が1900年であって、1891年の「ライヘンバッハの死闘」には間に合わないことである。
カテゴリ: シャーロック・ホームズ | 柔術 | 架空の能力・格闘技・武術