ニザム
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ニザムは、インドに存在したハイデラバード藩王国の支配者の称号(君主号)。
ニザムという称号は、ハイデラバード藩王国の創始者ミール・カマルディンが、ムガル帝国の皇帝から「ニザーム・アル・ムルク」(王国の秩序)という称号を賜ったことに由来している。ニザム家は、非常に裕福な一門としても知られており、例えば、ハイデラバード・ニザム家9代目、ミール・マフブーブ・アリ・カーン(アサフ・ジャー6世。1869-1911年在位)は、同じ衣装を二度と身に着けなかったと伝えられている。彼の宮殿の一区画は、全て彼の洋服箪笥でぎっしりと満たされ、その高さは2階にまで達したそうである。
妃達は、宝石をちりばめた王冠、黄金の装飾品や真珠そして高価な宝石で飾り付けられた金糸のドレスで身を飾っていた。さらに彼女達の細い首は、着けられるだけの真珠や宝石の首飾りで飾りたてられ、宝石の帯のついた靴、豪華な銀の足飾り、真珠や宝石のブレスレットという豪華そのものの装いだった。
膨大な量のダイヤモンド、サファイヤ、エメラルド、ルビーが宮殿の地下貯蔵庫に満ち溢れていたとか、ライムの実ほどもある280カラットのジャコブダイヤモンドが文鎮に使われていたとか、またある時には、金塊を運んでいた12台のトラックが、あまりの金塊の重さのために宮殿庭園の泥濘で立ち往生したなどの伝説も残っている。