デモシーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
デモシーン (Demoscene) ・メガデモは、コンピュータサブカルチャーのひとつで、主に音楽を伴った美しいコンピュータグラフィックスアニメーションをリアルタイムに表示するプログラム(デモ)を作成する文化のことである。デモシーンそのものやコンピュータに関する映像作品の製作もこれに含まれることがある。
通常このような作品はデモグループによって作られる。デモグループは少なくともコーダー、グラフィッカー、作曲者で構成される。また、個人で製作を行う場合もあり、その場合はデモメーカーと呼ばれる。このデモシーンにおいて際立った技術力を持った人がコンピュータ業界(特にコンピュータゲーム業界)で活躍することもある。
目次 |
[編集] 歴史
この文化の歴史は、8ビットCPUが全盛の1970年代末ごろにまでさかのぼる。寒い気候のために家庭内でコンピュータで遊ぶことが多い北欧の若者たちの間で、Apple IIやCommodore 64をはじめとするコンピュータ用のソフトウェア(特にゲームソフト)のクレジット表示を自らの署名に書き換え、友人間で見せ合うクラッキングが1980年代前半まで流行った。この「見せ合い」は後にデモパーティーに発展することになる。その後、クラッキングとは別に自らグラフィックや音楽を作成した上で署名を入れたものが作られるようになる。この頃はグラフィックは2Dであり、単純にスクロールや簡単なラスター画像を表示するものであった。その後、パーソナルコンピュータの性能が上がるにつれ、1990年代に入り、3Dグラフィックスを取り入れた作品が登場するようになる。現在でもデモの主流は3Dグラフィックであるが、かつての2Dグラフィックによる表現方法を好む人も多く、そのような作品は"Oldschool"と呼ばれている。
[編集] デモの種類
- デモ (Demo)
-
- リアルタイムに美しいグラフィックを音楽とともに表示するもの。極めて美しいものはメガデモ (Megademo) と呼ばれる。なお、この言葉があるため、日本ではデモそのものをメガデモと呼ぶことがある。
- イントロ (Intro)
-
- デモにファイルサイズの制限を加えたもの。64kバイト、4kバイト、1kバイト、256バイト、128バイトなど。1kバイト未満では音楽を加えるのは難しいとされる。
- クラックトロ (Cracktro)
-
- 市販されているソフトウェアにコピープロテクトを解除するなどの改造を加えたもの。署名が加わる場合もある。
- ワイルドデモ (Wild Demo)
-
- 主にデモシーンやコンピュータ文化に関する映像作品。
[編集] デモが作られるプラットフォーム
デモはさまざまなプラットフォームを対象にして作られる。
- Amiga
- Apple II
- Atari
- Commodore 64
- Java
- Linux
- Macromedia Flash
- MS-DOS
- MSX
- PDA Palm、PocketPCなど
- Windows
- 携帯電話
- ゲーム機 ゲームボーイアドバンス、プレイステーションなど
[編集] デモパーティー
単にパーティーと呼ばれることがある。前述どおり「見せ合い」からの発展形で、複数のグループ(個人参加もある)が集まり、作品の発表を行う。複数日(通常2~4日間)にわたり夜通し行われ、さまざまな「コンポ(Compo、Competitionの略)」が行われる。会場の参加者により投票が行われ、最優秀作品が決定される。カテゴリーはおおよそ「デモの種類」と同様になるが、さらに分かれるときがある。
[編集] 主なパーティー
- Alternative Party
- Assembly
- Breakpoint
- The Gathering
- Pilgrimage USA
[編集] 主なグループ
- Farbrausch
- Future Crew
- Haujobb
- Kolor
- Komplex
- tAAt
- The Black Lotus
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- SCENE.ORG 各パーティーにおける作品のアーカイブ
- Pouet.net デモシーンのコミュニティサイト
- ORANGE JUICE デモシーンにおけるニュースなど
- Nectarine デモ作品内の音楽をベースとしたインターネットラジオ