ダッチワイフ
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ダッチワイフとは、いわゆる大人のおもちゃの一種であり、主に男性の性的遊戯の補助具として使用するものであるが、最近は等身大のフィギュアとして観賞や写真撮影の対象として扱われることも多い。
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[編集] 目的
若い独身者の遊具と見られがちだが、実際には中高年男性の需要が多い。浮気によらず性欲を発散させるため、伴侶と死別した寂しさを紛らわせるため、という理由が主な購入動機になっている。
また交際相手に恵まれない障害者の場合、製造メーカーの中には、障害者福祉のため障害者手帳の提示があれば、価格を割り引いて販売しているところも少なくない。
[編集] 形態
形態は人間の女性に似せて作成される。いわゆる一般的な人形と異なる点は、男を受け入れる穴、もしくはオナホールと呼ばれる性具を装着する構造が設けられている点にある。また、性的遊戯の補助具に特化した、頭部、手足を省略した「トルソ」と呼ばれるタイプもある。
合成樹脂あるいはゴム類似物質製の皮膜で出来ている場合は、空気を充填して使用する。等身大フィギュアとして使用可能な物は、軟質樹脂の外皮の内部に金属または樹脂製の骨格を内蔵し、発泡樹脂を充填しているものが多いが、最近は関節付き骨格を備えシリコーンゴム一体成形にするなど、より人間に近い形態にする努力が製造メーカーによって為されている。このようなシリコーンなどで作られた高級ダッチワイフのことを、従来のダッチワイフと区別しラブドールと呼ぶことが多い。
[編集] 語源
ダッチワイフのダッチ(Dutch)は“オランダ人”や“オランダの”の意味(注意:英語では蔑称を含む)である。 英語では 俗にdutch wife(オランダ風妻)という。当然のことだがオランダ人がこれを特に愛用しているという事実はなく、イギリス人やアメリカ人が商売敵のオランダの抱き枕に対して「オランダ人はもてないからこんなものと性交している」という差別的な意味をこめてつけた名称だといわれている。dutchには「質が悪い」という意味合いもあり、英米の妻と比べると、性交しかできない「質の悪い妻」との揶揄もあるだろう。当のオランダ人にはたいへん不愉快な表現であり、意味上でも適当でないため、今は"sex doll"の方が使われている。
[編集] 南極越冬隊とダッチワイフ
※南極越冬隊員が基地に持ち込むとの俗説が有名だが、実態は明らかにされていない。
俗説によると、社会から孤立した状態の隊員の精神衛生上から必要とされて持ち込まれたものの隊員からの評判は芳しくなく、その後備品から外された経緯を持つ。当時、男性が長期間に渡って性的交渉が不可能な状況では、精神的な障害を起こすとする心理学的な解釈が一般的だった。このため当時は未知への挑戦という意味合いの強い南極越冬で、想定されうる問題が起こらないようにする様々な対策の一貫で、自慰行為に対応した特別な抱き人形が開発された。しかしこれは後に性科学分野での研究が進み、性的欲求不満は人の精神や肉体に致命的な悪影響を与えないと考えられるようになったため、今日ではそのような備品の導入はみられない。
初期の南極点への到達を目指したチームの中に、錯乱して全裸で雪原に飛び出し、そのまま帰ってこなかった隊員がいたことが記録に残されている。ただしこれは禁欲によるものではなく、重度の低体温症による錯乱と見るべきであろう。
[編集] 衛生面
保健衛生面で特に注意するべき点は、使用後の処置である。空気を充填する方式のものは、丁寧に洗浄しできればベランダ等で日干しする。外皮が軟質樹脂で内部が発泡樹脂製のものは、内部に水が入らぬよう軽く洗って水分を拭き取り陰干しの後、表面にベビーパウダーを塗布する。シリコーンゴム製の場合は、丁寧に洗浄し水分を拭い取って陰干しの後、表面にベビーパウダーを塗布する。
[編集] 処分の問題
ダッチワイフについては処分の問題が未解決の問題として残されている。
塩化ビニール製の安価な製品では、インターネットコミュニティ経由のユーザー筋の証言によると、細かく切断して「燃えないゴミ(ビニール類)」の日に棄てれば回収してくれたとする話もあるが、ややメンタルな部分のある用途に用いられる製品でもあるため、種類によってはそのような廃棄方法も気が引けるもののようだ。この辺りの事情に関しては、現在日本国内で普遍的に見られる分別収集の草分けである沼津方式に照らし合わせて考えると、広義のプラスチック(合成樹脂)製品であるため、その扱いは「埋め立てゴミ一般」である。ただ、先に挙げた通りゴミ集積場にはこれら製品の廃物は極めて出し辛いと思われる。
また、ラブドールと呼ばれる等身型フィギュアは、骨格構造が意外と頑丈かつ複雑であり、細かく切断して分別廃棄することは困難である。
- 処分の際、粗大ゴミとして扱われることになるが、どのようなゴミとして排出していいのか区分分けが各自治体においても明文化されていない。
- 電話での問い合わせに際しても、住所・氏名を名乗ることが求められ、これも躊躇の原因になる。匿名での排出方法が必要である。
このような原因から世間体を気にして結局遠距離のゴミ置き場や空き地に不法投棄されたりすることになる。最近のダッチワイフは精巧に作られているので、不法投棄が死体遺棄事件と誤解され、警察が出動したこともあった。
このようなことから、メーカーでは不用ラブドールを無償で引き取り産業廃棄物として処分しているところもある。 また、ラブドールは高価であるため、知人などの引き取りも盛んで、有料の斡旋業者も存在する。
ダッチワイフ使用者が増加したことに伴い、自分の死亡時にお棺の中に一緒に入れることを望む人もいるが、炉で焼く際に有害ガスが発生したり、異常高温になり炉に損傷を与えることがある。また、骨格金属の処分の問題もあるので、火葬場ではお棺に遺体とその衣服以外を一緒に入れることは禁じられている。
生前の使用者がダッチワイフの供養を望むこともあるが、供養するとしたら人形供養の形になる。