ダイヤルQ2
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ダイヤルQ2(ダイヤルキュー)は、NTT東日本・西日本が提供する、電話による情報料代理徴収サービスの商標。 通称 Q2(キューツー)。一般にダイヤルキューツーと呼ばれることが多いが、正しい呼称はダイヤルキューである。
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[編集] 概説
電話による有料情報サービスの情報料金を、電話料金と一緒に回収するもので、分割化前のNTTにより1989年に開始された。Quest、Question、QualityなどのQをもとにこの名称が付けられたとされる。電話番号が"0990"ではじまっていることから後付けでこの名称となった説もあるが、定かではない。NTT回線以外の電話(携帯電話・PHS・IP電話・直収電話)、公衆電話からはかけられない。
情報提供サービス業者のことをIP(Information Provider)と呼び、IPは情報提供サービスの倫理審査をNTTが指定した倫理審査機関によって受けなければならない。契約には電話の契約料・施設負担金・交換機等工事費のほか、運営には月額基本料金・回収代行手数料(月額固定料金)・情報料回収代行手数料(変動料金・情報料の9%)を必要とする。
[編集] サービスの問題点
当初は、ニュースやテレフォン相談のような一般サービスを想定していたが、ほどなくアダルト系の業者が目をつけ、上限一杯の3分300円という料金を設定し、男女間のわいせつな会話やツーショット番組(いわゆるアダルト系コンテンツ)を提供するようになる。
これらの番組にアクセスした利用者は、数十万円から数百万円という高額な情報料が発生し、社会問題にもなったために、1995年11月1日から次のような方策が採られた。なお、当時NTTの電話交換機はデジタル化途上で、未デジタル化地域ではこの方策を採ることができないため、すべてのダイヤルQ2への発信ができなくなった(実際にサービスが提供されている番号でも「現在使われておりません」のアナウンスが流れた)。
- 電話番号の分割。0990-3をアダルトに、0990-5を一般にする。
- アダルト向けダイヤルQ2への発信にはパスワード制を導入して、パスワードを設定しない限り発信できなくした。(それ以前に、ダイヤルQ2への発信自体を停止することもできたが、一般情報内容も利用できなくなるためあまり使われていなかった。)
- 情報料金に1回○円の定額制を導入。従来は3分間○円の従量制しかなかった。
- 提供内容の審査を厳格化。
その結果、アダルト系コンテンツは一部の外国へ移り(国際電話#国際電話を利用したアダルトコンテンツ参照)、パソコンの有料サポートなどのテレフォン相談サービスや募金を目的としたものなどが多くなったが、一般番号でプロバイダなどの利用目的で、実際はアダルトコンテンツの提供など利用目的を偽るケースや、ダイヤルアップ先の電話番号をダイヤルQ2番号に書き換えてしまうソフトウェアを知らないうちにダウンロードさせて、ダイヤルQ2番号に接続させる行為が後を絶たず、1998年頃からは監視が強化され、悪質な場合には情報料を支払わないようにした。
2002年1月23日からは、一般向け番号への発信にも、いたずら防止などのために、パスワード制が導入された。
また、2003年には、他人のダイヤルQ2無断利用について、その通話料の5割を超える部分について支払を請求することは許されないとした最高裁判決があった。
このように、規制が厳しくなったためか、現在では、一般向けの情報サービスでは、募金関係を除いてダイヤルQ2はほとんど見られなくなり、主にアダルト情報の電話番号に変貌している。
[編集] 類似サービス
類似サービスとして、NTTドコモが同社の携帯電話を対象にした「モバイルQ」があった。番号は「0990-204-xxx」または「0990-704-xxx」。1998年にサービスを開始したが、利用者はドコモショップ店頭で利用申し込みをしなければならず、また情報提供者はドコモ中央のエリア(関東・甲信越地方)に限られたうえ、ドコモと直収サービスの契約をしなければならなかったため、広く使われるには至らず、またiモードの普及により役目を終えたとして、2003年にサービスを終了している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 他人のダイヤルQ2無断利用についての最高裁判例
- 上記、判例に関する国民生活センターによる解説