ダイアクリティカルマーク
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ダイアクリティカルマーク (diacritical mark) は、ラテン文字等の文字で、同じ字形の文字であるが、発音が区別されるべき場合に文字に付される記号のこと。分音符/符号/記号、区分符号/記号、補助符号/記号、区別的発音符/符号/記号、読み分け符号/記号等と訳される場合もある。(ただし、分音記号は、トレマだけを指すことがある。)日本語の文字であえて似たものを探せば、濁点、半濁点であろう。
ダイアクリティカルマークが付いた文字の、付かない文字からの独立性の度合いは様々である。国語によって、印刷によっては付けなくてもいいもの、必ず付けなくてはならないもの、付けられない場合は代替の手段をとることが決まっているもの、方言(地域、国等)によって付け方が異なるもの等がある。名称も、独立した名称のあるものとそうでないものがある。また、辞書の順序では、ダイアクリティカルマークがない場合と同じ場所に並べられるものと、独立した位置が決まっているものがある。いずれにしても、現代のパーソナルコンピュータでは、独立した文字コードを持つことになる。(別の方法として、親字の後に特殊なコードを置くことによって表記する方法がある。UnicodeでCombining Diacritical Marksと呼ばれる一連のコードで、U+0300からU+036Fまで、数値文字参照では̀からͯまでである。)
[編集] 種類
- ウムラウト
- ä, ö, ü 等
- ドイツ語 (Umlautzeichen)、スウェーデン語等で使用
- トレマ
- ë, ü 等
- フランス語 (Tréma)、ギリシャ語 (Διαίρεσις)、スペイン語 (Crema, diéresis) 等で使用
- アクセント
- グレイヴ:è, アキュート:é, サーカムフレックス:ê 等
- フランス語(accent: 独特の符号体系がある)、イタリア語、国際音声記号等で使用
- セディーユ
- ç, ş 等
- フランス語 (Cédille)、トルコ語等で使用
- コンマビロー(下付コンマ)
- ș, ț 等
- ルーマニア語で使用
- マクロン
- ē 等
- 長音記号。ラトビア語、マオリ語等で使用
- ブレーヴェ
- ĕ, ğ 等
- 短音記号。トルコ語、ルーマニア語等で使用
- ティルデ
- ã, ñ 等
- スペイン語 (Tilde)、ポルトガル語等で使用
- オゴネク
- ą, ę, į, ǫ, ų
- ポーランド語 (Ogonek)、リトアニア語、ナヴァホ語等で使用
- リング
- å, ů 等
- スウェーデン語、チェコ語等で使用
- ハーチェク
- ě, ř 等
- チェコ語、フィンランド語等で使用
- ドット
- ė, ż 等
- ポーランド語、リトアニア語等で使用
- ダブルアキュート
- ő, ű
- ハンガリー語等で使用
- ストローク
- ł, ø 等
- ポーランド語等で使用
- ホーン
- ơ, ư
- ベトナム語で使用