タンカー
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タンカー (tanker) とは、液体を輸送する船舶及び航空機のこと。船体内に大型のタンク(液槽)を設置していることからタンカーと呼ばれる。
一般的には石油タンカーを"タンカー"と呼ぶことが多いため、液化天然ガス(LNG)を輸送する船はLNGタンカー、化学物質を輸送する船はケミカルタンカーなどと特に区別して呼ばれる。
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[編集] 船舶
[編集] 油槽船
タンカーは通常、石油類を輸送する油槽船を指す。搭載する油種は原油のほか、精製された重油、軽油などを扱う船もある。第二次世界大戦後は、主に中東産原油の輸送を行うために、経済性の高い超大型タンカーが建造されている。その載貨重量トン数は数十万トンにおよぶ。
1989年にアラスカ沖で発生したタンカー『エクソン・バルディーズ号』座礁事故で、原油流出による大規模な環境汚染が発生したため、1992年より国際海事機関の取り決めにより、1993年7月以降に建造されるタンカーについては二重船殻とし、安全性の高い油槽船の建造がすすめられることになった。
軍用のタンカーは、補給艦・給油艦などの艦種名を名乗り、燃料の輸送のほか、他艦船へ洋上給油を行うための設備を持つ。
[編集] LNGタンカー
LNGタンカーは液化天然ガスを輸送する船舶である。液化天然ガスの温度は摂氏-160度ほどになるため、冷却設備や断熱構造がとられている。航行中、気化した天然ガスを再液化するための設備はこれまで大型であったため、主機関に蒸気タービンを利用し、気化したガスをメインボイラーのガス専焼バーナーやガス焚きディーゼルなどで(燃料として)燃焼処分がなされてきた。近年では、再液化装置の小型化に成功しディーゼルエンジンを主機関としたLNGタンカーも出てきた。
[編集] 航空機
[編集] 油槽機
航空機におけるタンカーとは通常、飛行中の他機に燃料を空中給油する設備を付けた航空機を指す。これらは軍用機として用いられる。機体内に大型タンクを持つ専用機と、汎用機や他用途機に増槽と空中給油設備を仮設したものがある。艦載の空中給油機には後者が多い。
詳細は空中給油機の項目を参照のこと。
[編集] 水槽機
森林火災などの広域火災の消火用に、機体内に設置した水槽に搭載した水を空中散布する専用の航空機が存在する。こうした機体もタンカーと呼ばれる。
空中消火といえば、汎用ヘリコプターの胴体下に水バケットを吊るして行う方法が一般的であるが、この場合はタンカーとは呼ばない。
[編集] 関連項目
- 石油備蓄(タンカーを用いて実施されることもある)