セクシャルハラスメント
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セクシャルハラスメント(Sexual harassment)とは、日本語で「性的嫌がらせ」という意味で用いられる言葉である。日本語では、略してセクハラと言われることもある。
1980年代末にアメリカから日本に輸入された概念。1989年には流行語となり、新語・流行語大賞の新語部門・金賞を受賞。日本語として定着した。
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[編集] 概説
職場などで、「相手の意志に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為」を指す。用語を厳密に定義するならば性別は関係ないが、近年の日本で広く認知されているイメージとしては、男性から女性に対する行為に対してセクハラと捉えることが多く、本来見過ごされてはいけない行為であるが同性同士によるものや、女性から男性に対する行為は見過ごされがちである。部下が職場内での指揮監督や人事評価への悪影響を懸念して抵抗困難なことを利用して、上司が性的欲求を満たそうとする行為がかつては当たり前のこととしてまかり通っており、このような行為が、部下の人権を侵害する行為として、問題視されるようになるに伴って用いられるようになった。
例えば、「職場に限らず一定の集団内で、性的価値観により、快不快の評価が分かれ得るような言動を行ったり、そのような環境を作り出すことを広く指して用いる」といった性別を問わない用例である。そしてこのような用例を踏まえて、異性にとって性的に不快な環境を作り出すような言動(職場に水着写真を貼るなど)をすることや、同性同士で同様の言動をすることも含まれる。この場合、行為者が自己の行為をセクシャルハラスメントに当たるものと意識していないことも多々あり、認識の相違に由来する人間関係の悪化が長期化、深刻化する例もままみられる。
今日では、精神的な性別である性自認と、肉体的な性別であるセックスとが異なるために、性別によって文化的・社会的取扱いが区別されるような生活場面で、性自認と異なる振舞い方を要求され精神的苦痛を被るという、性同一性障害者の問題も、セクシャルハラスメントを論ずる際に欠かすことができない視点となりつつある。
[編集] タイプ
次の二つのタイプに分類される。
- 対価型セクハラ - 職場や学校などにおける立場・同調圧力・階級の上下関係を利用し、下位にある者に対する性的な言動や行為を行う(強要する)こと。
- 女性に対する酒席での酌の強要。
- 男性に対する酒席での酌の強要。(上司が女性の場合)
- 職場で昇進を人質に取った性行為の強要
- 学校で単位を人質に取った性行為の強要
[編集] 法的観点から見たセクシャルハラスメント
法律的には、2つの段階に区分される。
- 一次被害 - 強要(例。部下・同僚の異性の意思に反して性的関係を求める)
- 二次被害
(1)(2)は労働事件(刑事事件)、(3)~(6)は民事事件(損害賠償請求訴訟)に相当する。 弁護士には得意分野・専門分野があるため、労働問題に強い弁護士の対処が望ましい。
犯罪被害者支援団体は、『被害者が上記(3)~(6)に陥った場合、被害者が加害者に立ち向かうことは精神的・経済的に不可能であるため、行政主導による被害者救済が求められる。』と主張している。
[編集] 日本企業等が日本以外で起こしたセクシャルハラスメントの事例
[編集] 米国三菱自動車セクハラ事件(1996年)
MMMA(米国三菱自動車製造)は米国政府機関の雇用機会均等委員会(EEOC)に公民権法違反で提訴され、 「日本企業では、女子社員はゲイシャであることを求められている」との日本文化論、大規模なジャパンバッシング、消費者からの不買運動を経て、最終的には約48億円の支払いで和解。
[編集] 北米トヨタ自動車セクハラ事件(2006年)
北米トヨタ自動車は、元社長秘書(日本人女性)から、「2005年秋、社長(日本人男性)に繰り返し抱きつかれた」「会社幹部に相談しても、適切な対応を受けなかった」ことを理由に、1億9000万ドルの損害賠償を求める訴訟をニューヨーク州地裁に起こされた。
社長はセクハラを否定しているが、通常業務に専念できないことを理由に、2006年6月末の任期を待たず、5月8日付で辞任した。
8月4日に和解が成立し、休職中だった元社長秘書は退職した。和解金額などは公表されていない。
[編集] 関連項目
- 性欲
- いじめ
- リストラ
- 猥談
- 嫌がらせ
- モラルハラスメント
- アルコールハラスメント
- アカデミックハラスメント
- キャンパスハラスメント
- スクールハラスメント
- スモークハラスメント
- ドクターハラスメント
- 採用ハラスメント
- パワーハラスメント
- 西船橋駅ホーム転落死事件(1986年1月14日深夜発生の事件)
- マナー
- 男女共同参画社会
- 国際女性デー
- 世界経済フォーラム
- 女性参政権
- 女性政治家
- 現職女性政治家の一覧
- 男女雇用機会均等法
- 女性学
- フェミニズム
- ジェンダー
- ジェンダーフリー
- アンドレア・ドウォーキン
- 性差別
- 男性差別
- 女性差別
[編集] 外部リンク