セイヨウタンポポ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セイヨウタンポポ | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||
Taraxacum officinale | ||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||
西洋蒲公英(西洋タンポポ) |
セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)は、キク科タンポポ属の多年草である。学名は「Taraxacum officinale Weber」。ヨーロッパが原産の帰化植物で、日本の在来種とは外側の苞片の反る点が異なる。生育型は、ロゼット型である。
[編集] 性質
外見は日本の在来種とさほどの差はない。ただし、あまり季節を問わず、長く花を咲かせる。萼のように見える部分(総苞片)が開花時に反り返ることで、花に沿って固く閉じる在来種とは区別できる。ただし、在来種も花の盛りを過ぎると総苞が反り返るので注意を要する。
セイヨウタンポポは3倍体で、単為生殖で種子をつける。つまり、花粉に関係なく、種子が単独で熟してしまう。そのため繁殖力が強く、都市部を中心として日本各地に広まり、特に近年の攪乱が多い地域を中心に分布を広げた。現在ではほぼ日本全国に広がっているが、古くからの田園風景の残る地域では在来種のタンポポが勢力を持っている。そのため、都市化の指標生物になると考えられ、タンポポの分布地図作りは各地で盛んに行われる。
[編集] 雑種の問題
最近になって、在来種とセイヨウタンポポの雑種が発見され、新たな問題として注目されている。セイヨウタンポポは単為発生であり、不完全な花粉しか作らないので雑種の形成はあり得ないと考えられていたのだが、セイヨウタンポポの作る花粉の中に、nや2nの染色体数のものができると、在来種のタンポポがそれと受粉して雑種ができる可能性があり、現にそれがあちこちに生育していることが確認されたのである。このような雑種では、総苞は中途半端に反り返るともいわれ、その区別は簡単ではない。したがって、タンポポの問題は外来種による植物相のかく乱という問題から、遺伝子汚染という新たな問題へと発展してしまったと言える。
[編集] その他
遺伝法則の発見で有名なメンデルはエンドウ豆を材料に遺伝法則を発見したが、彼がその次に選んだ材料はセイヨウタンポポだったという。ところが、タンポポでは両親の形質に関係なく、種子を作る側の形質が発現するため、大いに悩んだと言われる。単為発生では当然ではあるが、当時はそのようなしくみについて明らかにされていなかった(花粉による受粉の意味すら実は完全にはわかっていなかった)。
タンポポの項も参照のこと。
カテゴリ: 植物関連のスタブ項目 | キク科