ステイルメイト
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ステイルメイト (stalemate) とは、チェス用語で、自分の手番でチェックはかかっていないが合法手がない状態をいう。
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[編集] 概説
チェックがかかっていないという点でチェックメイトと異なるが、次の手を指すことができず、そのままではゲームを継続することができないため、何らかの対処が必要となる。今日のチェスでは、ルール上引き分けになると規定されている。
相手をステイルメイトの状態にした場合は、普通その時点で相手よりも優位にあることが多く、ステイルメイトの対処もこのことを前提にして考えられる。すなわち、ステイルメイトが起こった時点での戦力の優劣で勝敗を判断するのか(ステイルメイトになった方が負け)、ステイルメイトに追い込むだけの優位を持ちながらチェックメイトに至らなかった攻め手側の技量を咎め、チェックメイトを避けた受け手側の技量を評価するのか(ステイルメイトになった方が勝ち、引き分け)という二つの考え方である。ゲームの特性に応じて、より面白く、より適切と考えられる対処がそれぞれ採用されている。
[編集] チェスにおけるステイルメイト
図はチェスにおけるステイルメイトの一例である。黒の手番のとき、a8にいる黒のキングはb6の白のクイーンが効いているため、a7、b8、b7のいずれにも動けず、合法手がない。今日のチェスのルールではこうしたステイルメイトは引き分けとして処理し、ゲームを終了する。取られた駒がゲームから除外されるチェスでは駒の数の減った終盤は単調になりがちであり、劣勢の側が戦況を覆すことはほぼ不可能に近い。ステイルメイトを引き分けと規定することで、劣勢の側にも採りうる戦略が生まれ、終盤においても勝負の緊張感が持続することになる。
[編集] 将棋におけるステイルメイト
将棋ではステイルメイトはルール上規定されていないが、図のように「王手はかかっていないが合法手がない状態」は存在する(後手の手番)。ただし持ち駒があるため、ほとんどの駒を片方が取ってしまわなければならず、実戦で発生することはほとんどありえない。将棋では、ステイルメイトの状態になったときは詰みと同様、負けとなる。
フェアリー詰将棋で、自玉をステイルメイトの状態にすることを目的としたものが出題されることがある(「ばか自殺ステイルメイト」「協力自殺ステイルメイト」などと呼ばれる)。
[編集] その他のボードゲームにおけるステイルメイト
その他のチェス系統のボードゲームでも、ステイルメイトに関する対処が存在する。
シャンチーではステイルメイトになった側の負けである。
チャンギではパスが可能なため、ステイルメイトが起こらない。双方パスをした時は引き分けとなる。
マークルックでは相手がステイルメイトになるような手を指した方が負け(ステイルメイトになった側の勝ち)である。
[編集] 関連項目
- チェックメイト(詰み)