ジョン・ウー
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ジョン・ウー | |
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カンヌ国際映画祭、2005年 |
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プロフィール | |
出生 | 1946年5月1日 |
出身地 | 中国広州市生まれ 香港育ち |
職業 | 映画監督 |
各種表記 | |
簡体字 | 吴宇森 |
繁体字 | 吳宇森 |
ピン音 | Wú Yǔsēn |
発音転記 | ウー ユーシン |
英語名 | John Woo |
[編集] プロフィール
拳銃を使った暴力的で残虐なアクション映画を作ることで有名な監督で、ハリウッドで活躍している。
ジョン・ウーの監督した映画にはお決まりの演出がある。両手に銃をもって撃ちまくる「二丁拳銃」、戦闘中に鳩が飛ぶ、同時に拳銃を向け合う2人の人物(メキシカン・スタンドオフ)、重要な人物の登場を予感させるスローモーションなどである。暴力を題材とするサブカルチャーに多大な影響を与える一方、その暴力シーンが実社会に与える影響に対し心理学者より激しい批判を招いている。
しかし、本人自体は「暴力否定論者」であり、幼い頃の貧困街での生活において、他人から暴力を受ける事が多かったため、映画の中で暴力を描く事によって、その酷さを描いているというがこの反論には疑問が向けられている。上記にもある代名詞とも言える「鳩」には「平和」の意味を込めているとも本人は述べている。その例として、『狼/男たちの挽歌・最終章』の子供を助けるシーンや『フェイス/オフ』の中盤の『OVER THE RAINBOW』の流れる中、子供の主観で銃撃シーンが描かれることなどに見られる。なお、ガンアクションの演出においては、カンフーアクションや欧米のガンアクションではなく、趣味であるダンスからヒントを得ていると本人は述べている。
彼の作風には、同じくスローモーションや暴力描写を多用した映画監督サム・ペキンパーからの影響が大きい。事実、一部のウー作品にはペキンパー作品からの引用が散見される。例:『わらの犬』→『男たちの挽歌』(相手に熱湯をぶちまける、割れた窓ガラスに相手の首を押し付ける)、『ゲッタウェイ』→『男たちの挽歌Ⅱ』(ホテル内の銃撃戦でショットガンを撃ちまくる主人公)
男同士の愛憎の描き方には定評があり、その点においてもファンは多い。反面、「女性を描けない」という批判もある。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムが彼を強引にハリウッドに呼び寄せたが、その際にツイ・ハークから契約問題でトラブルを起こしたという噂がある。しかし、一時香港映画界から身を引き、台湾で不遇時代を送っていたのを香港映画界に呼び戻したのはツイ・ハークであり、そのエピソードは『男たちの挽歌』のオープニングシーンに引用されていたり、その後も監督作の製作を続けるなど、蜜月時代があったことは確かである。
作品を作るうえで、スタントマンへ最大の敬意を払っており、スタントシーンのカット後には抱きついたり、怪我の心配を自ら行ったりする。よって、参加したスタント班のジョン・ウーへの評価は非常に高い。
ジョン・ウーの映画作品はビデオゲームやコミック、アニメなど様々なメディアに影響を与えている。ビデオゲームでは『マックスペイン』や『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』などが演出方法を引用している。また、2006年末にX-BOX360及びPS3、PCにて発売が予定されている『ストラングルホールド』をウー自ら監修。「ハードボイルド/新・男たちの挽歌」の設定をベースに、チョウ・ユンファをモデルにした主人公が二丁拳銃横っ飛びで鳩が飛ぶという、ファンにはたまらない内容となっている。コミックでは「BLACK LAGOON」「ワイルダネス」などに影響がみられるが、特に「BLACK LAGOON」ではユンファによく似た香港マフィアのボス・張が登場し、本家と同じく二丁拳銃で活躍する。
日本軍の香港統治時代に対する批判から、本人も公言しているが内容的には反日的な作品を作ることが多い。特に『南京1937』や 『ウインドトーカーズ』における日本人の描写の仕方には辛辣なものがある。しかし、自分の作品が日本映画からの影響を受けていることは本人も公言しており、黒澤明、小津安二郎、勝新太郎、高倉健らに影響を受けているという。特に東映アクションからの影響が強く、深作欣二の葬儀の際には、弔電を送っている。また石井輝男に関しては、インタビューなどで何度も強く影響を受けたことを発言している。
一時、アクション映画で流行した拳銃の横撃ちはジョン・ウーの影響と言われているが、彼の映画にはそのようなシーンは確認されていない。
[編集] 監督・製作作品
- 1973年『カラテ愚連隊』
- 1975年『ジャッキー・チェンの秘龍拳少林門』
- 1980年『滑稽時代/モダン・タイム・キッド』
- 1981年『アーメン・オーメン・カンフーメン』
- 1983年『ゴースト・バスティン』(製作総指揮)
- 1986年『ソルジャー・ドッグス』
- 1986年『男たちの挽歌』
- 1987年『男たちの挽歌II』
- 1989年『ワイルド・ヒーローズ/暗黒街の狼たち』
- 1989年『狼/男たちの挽歌・最終章』
- 1990年『ワイルド・ブリッド』
- 1991年『狼たちの絆』
- 1992年『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』
- 1993年『ハード・ターゲット』
- 1995年『大陸英雄伝』(製作)
- 1995年『南京1937』(製作)
- 1996年『ブロークン・アロー』
- 1996年『野獣の瞳』(製作)
- 1997年『フェイス/オフ』
- 1998年『ブラックジャック』
- 1998年『ビッグヒット』(製作総指揮)
- 1998年『リプレイスメント・キラー』(製作総指揮)
- 2000年『ミッション:インポッシブル2』
- 2001年『ウインドトーカーズ』
- 2003年『バレット モンク』(製作総指揮)
- 2003年『ペイチェック 消された記憶』
- 2004年『Hostage』(BMW Films)