ザ・キュアー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ザ・キュアー (The Cure) は、1978年に結成された英国出身のロックバンド。
初期はパンクを色濃く残すニューウェーブバンドであったが、メンバーの入れ替わりとともに音楽性も変遷し、現在はゴシックやオルタナティブに分類される。その活動歴は四半世紀を越えており、現在の音楽シーンの中でもその影響を受けたと公言するバンドは多い。
目次 |
[編集] 歴史
1978年、前身バンドとなるイージー・キュアーを母体として、ロバート・スミス、マイケル・デンプシー、ローレンス・トルハーストの三人で結成された。 翌1979年にフィクション・レコードよりデビュー。
[編集] 第1期(1978~1979)
[編集] 第2期(1980~1982)
この時期のキュアーは、無駄な音を排除した、研ぎ澄まされたサウンドを追求していた。 特にスリー・ピースとなった"フェイス"は洗練された音使いから初期の最高傑作であるという声も多い。 しかしサウンドと同様にバンド内の緊張感も次第に強まってゆき、それは"ポルノグラフィ"で爆発する。 ツアー中にロバートとサイモンは大喧嘩をして、サイモンはバンドを去り、ロバートは活動の休止を決意した。
[編集] 第3期(1983~1984)
この時期、ロバートはスージー&ザ・バンシーズとキュアーの活動を掛け持ちしており、度々解散をちらつかせていたが、結局キュアーをとった。 ファンタジー三部作と呼ばれる三枚のシングルはスマッシュ・ヒットを記録し、日本では企画盤が作られたりもした。 昔からのファンの中には、変わり果てたポップなキュアーの姿に嘆息したと人もいたという。 また、84年には唯一となる来日公演が行われている。
[編集] 第4期(1985~1989)
フィルの代わりにサイモンが復帰、またアンディの代わりとしてボリスが参加し、黄金期が訪れる。 日本での人気のピークもこの時期。アメリカ大陸での人気も爆発し、"ディスインテグレーション"は全世界で大ヒットした。 しかし長期に渡るツアーはロバートを疲弊させ、ツアー最終日・ロンドンのロイヤルアルバートホールで解散を匂わせる発言をして、ファンにキュアーの終焉を強く刻み付けた。
[編集] 第5期(1990~1993)
誰もがキュアーは終わったと思っていたが、ロバートは何事もなかったようにキュアーの活動を再開させる。 ギター・ローディ出身のペリーを新たに加え、初心に帰るべくライブハウスツアーを行った。 これがバンドに好影響をもたらしたか、アルバム"ウィッシュ"は全米2位を記録する大ヒットになり、キュアーは名実共にトップ・バンドとなる。
[編集] 第6期(1994~2000)
ポールとボリスが脱退し、黄金期は終焉を迎える。ロジャーを復帰させ、ジェイソンをオーディションを経て加入させるが、かつてのバンドらしさはなく、ロバートwith his friends的な印象は否めなくなる。 この面子での初アルバム"wms"が商業的に失敗すると、ロバートは徐々に意欲を失ってゆき、次作"ブラッドフラワーズ"リリース時には公式に解散を宣言。レコード会社もラストアルバムとして売り出すが、売り上げ好調に気を良くしたロバートは解散宣言を無かったことにした。また、度々来日を示唆する発言を行うが、実現することは無く、日本のファンを落胆させた。
[編集] 第7期(2001~2004)
[編集] メンバー
[編集] 現メンバー
- ロバート・スミス(Robert Smith) (1976年~。ボーカル、ギター、6弦ベース)
バンドの創始者で中心人物。トレードマークはボサボサの髪、真っ黒なアイシャドウ、真っ赤な口紅。
- サイモン・ギャラップ (Simon Gallup) (1979年~1982年 & 1985年~。ベース)
緊張感あるバンドサウンドの核とも言えるベーシスト。ロバートに次いで多くの作品のレコーディングに参加している。
- ポール・トンプソン(Porl Thompson) (1976年~1978年, 1983年~1993年, 2005年~。ギター、キーボード)
イージー・キュアー時代からメンバーで、ロバートの義弟(妻がロバートの妹)。ギターのみならず、鍵盤楽器、管楽器を自在に操るテクニシャン。
- ジェイソン・クーパー (Jason Cooper) (1995年~。ドラムス)
ボリス脱退に際し、オーディションを経て加入。
[編集] 歴代メンバー
- ローレンス・トルハースト (Laurence Tolhurst) (1976年~1989年。ドラムス・キーボード)
オリジナル・メンバー。通称ロル。ロバートとは6歳の時からの幼馴染。初めはドラムを担当していたが、アルバム"ポルノグラフィー"の制作を経て、ドラマーとしての限界を感じ、83年にキーボードに転向。89年に解雇されたが、その解雇を不当として、93年にバンドを訴えた(結果は敗訴)。
- マイケル・デンプシー (Michael Dempsey) (1976年~1979年。ベース)
初代のベーシスト。Three Imaginaly Boysではジミ・ヘンドリクスのカバー曲、Foxy Ladyでメインボーカルを取っている。
- マシュー・ハートリー (Matthieu Hartley) (1979年~1980年。キーボード)
Seventeen Secondsにおける淡い色彩表現に一役買った。
- フィル・ソーナリー (Phil Thornalley) (1983年~1984年。ベース)
The Top期のライブでのベーシスト。Pornographyのプロデューサーでもある。
- アンデイー・アンダソン (Andy Anderson) (1983年~1984年。ドラムス)
The Top期のドラマーだったが、来日の際に飲酒からトラブルを起こし解雇された。
- ボリス・ウイリアムス (Boris Williams) (1984年~1994年。ドラムス、パーカッション)
バンドの黄金期を支えたテクニシャン。キュアーの主要なメンバーの一人。
- ロジャー・オドネル (Roger O'Donnell) (1987年~1990年 & 1995年~2005年。キーボード)
Kiss Meツアーより加入。90年にメンバーとの不仲が原因で脱退。95年に復帰した。
- ペリー・バモンテ (Perry Bamonte) (1990年~2005年。キーボード・ギター・6弦ベース)
通称テディ。元はロバートのツアー・ギターローディー。ロジャー脱退に際しキーボード奏者として参加。95年にロジャーが復帰すると晴れてギター担当となった。
[編集] ディスコグラフィー
[編集] アルバム
- Three Imaginary Boys (1979)
- Seventeen Seconds (1980)
- Faith (1981)
- Pornography (1982)
- The Top (1984)
- The Head On The Door (1985)
- Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me (1987)
- Disintegration (1989)
- Wish (1992)
- Wild Mood Swings (1996)
- Bloodflowers (2000)
- The Cure (2004)
[編集] ライブアルバム
- Concert - The Cure Live (1984)
- Entreat (1991)
- Show (1993)
- Paris (1993)
- Five Swing Live (1997) ※ネット販売のみ
[編集] ベスト、シングル集、企画盤
- Boys Don't Cry (1980)
- Happily Ever After (1981) ※USのみ
- Japanese Whispers (1983)
- Standing On The Beach - The Singles (1986) ※CD
- Staring At The Sea - The Singles (1986) ※LP,CT
- Mixed Up (1990)
- Lost Wishes (1993) ※ネット販売のみ
- Galore (1998)
- Greatest Hits (2001)
- Join The Dots - Sides and Rarities, 1978-2001 (2004)
[編集] シングル
- Killing An Arab (1979)
- Boys Don't Cry (1979)
- Jumping Someone Else's Train (1980)
- A Forest (1980)
- Primary (1981)
- Charlotte Sometimes (1981)
- The Hanging Garden (1982)
- Let's Go To Bed (1983)
- The Walk (1983)
- The Lovecats (1983)
- The Caterpiller (1984)
- Inbetween Days (1985)
- Close To Me (1985)
- Quadpus (1986)
- Boys Don't Cry(New Voice New Mix)(1986)
- Why Can't I Be You? (1987)
- Catch (1987)
- Just Like Heaven (1987)
- Hot Hot Hot!!! (1988)
- Lullaby (1989)
- Fascination Street (1989)
- Lovesong (1989)
- Pictures Of You (1990)
- Never Enough (1990)
- Close To Me (Closet Mix) (1990)
- High (1992)
- Friday I'm In Love (1992)
- A Letter To Elise (1992)
- Sideshow (1993)
- The 13th (1996)
- Mint Car (1996)
- Gone! (1996)
- Strange Attraction (1996)
- Wrong Number (1997)
- Cut Here (2001)
- Just Say Yes (2001)
- The End Of The World (2004)
- Alt.end (2004)
- Taking Off (2004)
[編集] ビデオ
- Live In Japan (1985) ※日本のみ
- Tea Party (1985) ※日本のみ
- Staring At The Sea - The Images (1986)
- In Orange (1988)
- Picture Show (1991)
- Play Out (1992)
- Show (1993)
- Galore The Videos 1987-1997 (1998)
- Greatest Hits (2001)
- Trilogy (2003)