サロメ
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サロメとは、
- キリスト教の新約聖書中のエピソードで、母ヘロディアの命によって古代パレスチナの領主ヘロデ・アンティパスから舞踏の報償として洗礼者ヨハネの斬首を求めた女性。(「サロメ」という名前は伝承によるもので、新約聖書の中には書かれていない。)
- 古代パレスチナの王ヘロデ大王の娘。ヘロデ大王の死後、その息子のアルケラオス、ヘロデ・アンティパス、フィリポスという兄弟とともにパレスチナを四分割統治した。
- サロメ (イエスの弟子)はキリスト教の新約聖書のひとつである『マルコによる福音書』(15:40, 16:1)に登場する、イエスに付き従った女性。マグダラのマリアらとともにイエス磔刑の場を見守り、墓を訪ねた。外典『トマスによる福音書』などにもイエスと問答する一人として登場する。
- ルー・サロメは、ロシア生まれの女流作家、思想家。哲学者ニーチェの弟子。ニーチェよりも、ニーチェの友人パウル・レーとの親交のほうが深かった。ドイツ語圏で多く活躍したため、ドイツ語読みのルー・ザロメなどでも知られている。
- 軟膏・サロメチール(佐藤製薬。かつては東京田辺製薬→三菱ウェルファーマより発売されていた)
[編集] ヨハネの首を求めたサロメ
- サロメ は、キリスト教の新約聖書に登場する女性で、ユダヤのヘロデ大王の息子ヘロデ・アンティパスの姪、かつ義理の娘である。(「サロメ」の名は伝承によるもので、新約には書かれていない。)新約聖書によれば、もとはフィリポスとヘロディアの娘であった。ヘロデ・アンティパスが弟フィリポスからヘロディアを奪い妻としたとある。ヘロデ・アンティパスに舞踏の報償として好きなものを求めよといわれ、母ヘロディアの命によって洗礼者ヨハネの斬首を求めた。西洋絵画、とくにバロック期にモティーフとしてよく画かれる。なお男性の首をもつ女性のモティーフにはユディトがあるが、ユディトがしばしば剣をさげかつ首はそのまま持たれるのに対して、サロメは剣を持たずヨハネの首は皿に載せられて描かれるので注意が必要である。
- 新約聖書に取材して書かれたオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』では、新約聖書にある洗礼者ヨハネがサロメの母ヘロデヤを非難したことによって幽閉され殺される逸話を、ワイルドはサロメの歪んだ恋心から洗礼者ヨハネであるヨカナーンを刎ねさせるという突飛な筋書きに仕立てたが、これにはキリスト教徒の反発も強かったという。これを基にした絵画・文学・演劇等も多くある。
- 楽劇『サロメ』 は、リヒャルト・シュトラウスの1幕のオペラ作品である。オスカー・ワイルドの戯曲のドイツ語訳をそのまま台本としている。
- 舞踊音楽『サロメ』は1948年に伊福部昭が貝谷バレエ団創立10周年記念として作曲したバレエ作品であり1987年に演奏会用の曲として手が加えられた。