サイドワインダー (ミサイル)
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サイドワインダー(Sidewinder)は、アメリカが開発した短距離空対空ミサイル。正式名称はAIM-9。赤外線を探知して攻撃するサイドワインダー (ヘビ)にちなんで名づけられた。
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[編集] 概要
開発開始は1940年代末で、Philco、GE、レイセオンによって行われた。後に生産はレイセオンが一括して行っており、開発以来50年近くたった現在でもアメリカ軍や西側諸国で多く使用されている。誘導方式は赤外線誘導であるがAIM-9Cなどの一部の型ではセミアクティブレーダーホーミングを使用している。地対空、艦対空バージョンなどもある。
AIM-9L型以前はエンジンの排気熱を捕らえ誘導する方式であったためエンジン排気を捕らえられる敵後方からのロックオンしかできなかった。また単純に高温の目標に対して誘導されるためフレアを撒いたり太陽に向って飛行することによって回避される可能性が高かった。しかしL型以降は空気摩擦による熱を捉えられるようになったため全方位からのロックオンが可能となり、フレアなどによって回避される可能性も下がった。 日本の航空自衛隊では、創設当初にF-86と同時に導入したが、当時はミサイル万能論が根強く、「撃てば必ず当たる」などとNHKが報道していた。
現在では大きく改良を加えたAIM-9X(サイドワインダー2000)が配備されてきている。 AIM-9Xを開発するにあたっての変更点としては
- 誘導方式を赤外線画像方式としフレアをほぼ無効としている
- 発射後のロックオン (LOAL:Lock-On After Launch) も可能となった
- 射程がAIM-9Mの倍以上となっている(一説には40km以上とも)
- 推力偏向ノズルを装備し機動性も向上している
- ヘルメットを使用しロックオンするシステム (JHMCS:Joint Helmet Mounted Cueing System) を使用することによって真横を飛行する敵をロックオンすることが可能となった
などが挙げられる。
[編集] スペック
[編集] AIM-9M
- 全長:287cm
- 直径:12.7cm
- 翼幅(後部固定翼):63.5cm (25in)
- 翼幅(前部動翼):56.64cm (22.3in)
- 重量:86.2kg (190lb)
- 最大射程:18km
[編集] AIM-9X
- 全長:302cm (119in)
- 直径:12.7cm (5in)
- 翼幅(後部動翼):44.45cm (17.5in)
- 翼幅(前部固定翼):35.31cm (13.9in)
- 重量:85.3kg (188lb)
[編集] 派生型
- MIM-72/M48 チャパラル (Chaparral) AIM-9をベースにした地対空ミサイルシステム(en)
- RIM-92 シーチャパラル (Sea Chaparral) MIM-72Cをベースにした艦対空ミサイルシステム
- AGM-122 サイドアーム (Sidearm) AIM-9Cの誘導部を改造した対レーダー空対地ミサイル
- RIM-116 RAM AIM-9の胴体をベースに開発された艦艇用の近接対空防御ミサイル
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- レイセオン: 開発メーカーのページ
- GlobalSecurity.org: グローバルセキュリティの解説ページ
- YouTube: F-15Aがサイドワインダーの実弾で標的機を撃墜
- Patrick's Aviation: AIM-9Xの実射試験映像