クロックタワー3
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『クロックタワー3』(CLOCK TOWER 3) は、カプコンから発売された、プレイステーション2用ゲームソフト。ホラーゲーム『クロックタワー』の第3作。
カプコンのシナリオ集団「フラグシップ」が制作の中心となり、イベントCGムービーの監督として故 深作欣二監督を起用。
深作は2002年、数ヶ月東映東京撮影所のスタジオで撮影(モーションキャプチャー収録)に携わり、これを撮り終えた。 最初から最後まで撮り終えた、これが深作監督の最後の作品である(クロックタワー3の公式サイトにその撮影風景がムービーとして置かれている)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 主だったスタッフ
- プロデューサー:三並達也(CAPCOM)
- 脚本 - 杉村升(株式会社フラグシップ所属・故人)
- キャラクターデザイン:雨宮慶太
- 美術:野口竜
- 音楽:久保こーじ
- 音響監督:前田真宏、神尾千春
- 効果:野口透
- モーションアクター - 藤村ちか、金澤祐香利、ほか
- 制作プロダクション:ROBOT
[編集] 登場人物
[編集] 主要人物
- アリッサ・ハミルトン:藤村ちか
本作の主人公ルーダーの一人である少女。敵との対峙の際、探索中は序盤からの所持の聖水や近くの物をつかい撃退することが可能である。対決時は聖水が弓矢となり魔のモノを倒していく。
- デニス・オーヴェン:程島鎮磨
アリッサの幼馴染の少年。シザー兄妹の廃墟病院にいるジャニスが変装した姉に捕まり殺されかけるといった目に遭うが、終盤でアリッサをアシストする。余談だが姉の名前はリンダ(看護婦)で、アフリカへ行っており半年は戻ってこないそうだ。
- ナンシー:田野聖子
アリッサの母親で石像にされたが、終盤で元に戻る。アリッサを「ルーダーにさせたくない」,「契約の儀式の生贄にさせたくない」一心でセカンダリースクールの寄宿舎に通わせていた。
[編集] 魔のモノ
- 闇の紳士/ダン・D・バロウズ/ディック・ハミルトン:谷口高史
本作のラスボスでアリッサの祖父。妻がルーダーであったことを誇りにしていたが、アリッサへの溺愛の情で、異様な歪みに陥ってしまいアリッサの父フィリップを殺してしまう(しかし、ここで斧の刃が不自然な刺さり方をした事から、魔のモノの策謀とも考えられる)。その後旅に出たと同時に、バロウズ城を見つけバロウズと同化しアリッサを抹殺し同化する事で、共に永久の命を得ることを画策する。バロウズは、溺愛した娘が15歳の誕生日の前日に死んでしまい、御者の人間や諌めた者や妻の首を刎ね飛ばし、ルディとジャニスに殺戮を頼ませたが、後に蜂起した領民達に殺される(正しくは、時計塔の歯車に挟まって死んだ)。
- リチャード・モーリス(ハンマー男):横山一敏
メイをハンマーで殺した魔のモノの一人。以前一緒に働いた仲間をいきなりハンマーで殺害し(魔の者に魅入られたと思われる)、後に逮捕され電気椅子にかけられるが、数度耐え、ようやく絶命する。殺人動機が不明な点が多く、精神分析しにくい。と言われた。
- ジョン・ヘイグ(硫酸男):清家利一
知能犯で殺人詐欺師(現代でいえばオレオレ詐欺師)。一人暮らしの老人の家にお題目を着け侵入し、金目の物を奪ったら老人を殺害し証拠隠滅に硫酸で溶かす残酷な男。工場に硫酸を盗みに入った矢先に警官に発見され銃撃戦の末、皮肉にも頭から硫酸を浴び死亡。魔のモノと化す。
- ハーベイ・パウエル(斧男):岡本美登
幼少から「顔が醜い」といわれ、婚約を申し込んで断られ罵倒されて殺害。後も殺戮を犯しているが、処刑された。強力な魔のモノであり、多くのルーダーを殺害している(幹部クラス)。生前は17世紀に生きていた木こり。しかし多くのユーザーは「弱い」で片付く位、非常に弱いボスである。
- ルディ(シザーマン):竜川剛
シザー兄妹の兄。東洋出身の血筋で、兄弟揃って孤児だったところをバロウズ公爵に拾われたらしい。その後パロウズ家に仕えていたが、当時から異常性を見せ、人間を鋏で殺害していた(後に妹ともども、農民によって処刑された)。性格は冷酷かつ誰かを痛めつけることを快楽としている。魔のモノの一人。
- ジャニス(シザーウーマン):東幸枝
上記同様でルディの妹。ボス戦では、自動照準にならない特殊な条件で戦う事となっている。
[編集] その他
- メイ・ノートン:中原郁
幼いながら、ピアノを好み、日々努力していたが、でハンマー男(リチャード)に撲殺された。アリッサに救われ父親ウィリアムと共に天への階段へと上っていった。
- ウィリアム・ノートン:中井出健
戦争に行きメイにとってかけがえの無い父親だが大砲の弾を喰らい死亡。娘と共に昇天する。服屋を経営していた。
- アルバート・ランド:佐瀬弘幸
母親思いの青年。玩具作りを営み、お金を貯め母親の目を治そうと働いてたが、硫酸男(ジョン)に目を潰された挙句、母親と共にドラム缶に入れられ硫酸を浴びせかけられて殺されてしまう。
- ドロシー・ランド:森みつえ
目を患うアルバートの母。ジョンを疑うアルバートに「人を信じなさい」と諭すが、皮肉にもそれが理由で息子ともども殺害されてしまう。何故か、ポルターガイストを起こせる。
- フィリップ:河内浩
アリッサの父。ディックに殺されバスタブに放置されてしまう。ディック曰く「優柔不断」。
[編集] システム
ボタンだが、全ては初期設定のもの。
- 癒し
- その幽霊にとって「思い出の品」を渡すと、成仏し常用アイテム或いは矢が貰える(一部はキーアイテム)。
- 回避ポイント
- 魔のモノを撃退できるが、1回しか使えない。○でポイントを調べる。
- 隠れポイント
- 魔のモノに見つけられるかパニックメーターの状況次第では、アリッサが出てしまう。何回でも使用できるが、アリッサのステータスをよく見て、使用する事。使用ボタンは回避ポイントと同じ。
- 聖水
- 出来る事は「魔のモノや徘徊する幽霊を怯ませる」,「封印を解く」,「魔法陣を起動させる」。△で使用。ボスを倒す事によって、強化される(最大3段階で使用回数は5回まで)。最初は「聖なる水」,LV2は「裁きの炎」,LV3は「清き風」,最後は「希望の光」となっていく。補充は、精霊のビンかライオンの水汲み場。
- 戦闘
- △(特殊矢はR1)で矢を発射。「タメ」は6段階あり、最大まで溜めた矢を命中させると、ボスは鎖状の物体に繋がれたれた状態となり移動が制限される。何本か鎖を繋ぐと特大攻撃となり大ダメージとなる。「霊木の矢」は中間クラスで「神木の矢」が最大クラス扱いである。しゃがみは×で行う。
- パニックメーター
- 魔のモノや幽霊に襲われたり、隠れている最中に近づかれると上昇する。満タンになると、パニック状態に陥ってしまい、勝手に走り出したり、立ち止まったりして、殺されてしまう。ゲージ減少にはラベンダーを使用。結界石があれば、パニック状態になっても死なずに済む。だが、この状態だと足が格段と速くなるので、逆手に取ることも可能。
[編集] 評価
賛同と批判に分けて掲載する。批判の内容は内容別にした。尚、批判は多くのユーザーがこう考えているというだけであり必ずしも全てのユーザーの感想にあてはまるわけではない。
賛同
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- 表現の技術が向上し、ムービーを始め、グラフィックが綺麗である。
- ハンマー男と硫酸男のモデルは、イギリスに実在した連続殺人犯である為、恐怖が滲み出る。
批判(システム)
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- ゲームシステムが同社の「バイオハザード (ゲーム)シリーズ」に近い。
- アドベンチャーゲームなのに、アクションゲームに近い。
- カメラワークと操作性が、良くないとされる。操作に至っては、上の方向にスティックを動かしていないのに前進する点は、「デビルメイクライ」シリーズと同じ。
- 追跡者の出現条件が、イベントはさておき、「2分経たない内に出現」,「使い魔に触れたら出現」,「瓶や缶などを蹴ったら出現」と余りにも厳しすぎる。
- ゲームクリア後の特典が従来の作品より少ない。
- 主人公の足が非常に遅いのに追跡者の足が速すぎて、すぐにパニックになって死亡する事が多い。
- パニックメーターの存在で、追跡者の回避と撃退が不可能になってしまう。
批判(設定)
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- 「戦闘モードになった主人公が怪人たちを倒す」と言う風に無理のある設定が多く物語に入り込めないなどの不満がある。
- バロウズ家やクロックタワーの設定・ラストが「こじつけだ」といわれる。
- これまでの恐怖のテイストでなくスプラッタホラーの要素が濃くなり残酷描写が凄まじいといわれる。ただし、これを賛同する者もいるため必ずしも悪いとはいえない。
- ムービーは美麗であるが、それ故に極端な残酷描写が際立ってしまっている。
- ストーリーが消化不良のまま、終了してしまった。
批判(その他)
[編集] キーワード
- 契約の儀式
- ルーダーが15歳になった時に、行う儀式。心臓を奪い血を啜り、永遠の命を得る。
- ハミルトン家
- ルーダーの家系の1つ。アリッサもだが、母のナンシー,祖母のフランチェスカ(名前のみ登場)もルーダーとして戦ってきた。なお、ダンの妻であるネリーもハミルトン家である。
- バロウズ家
- 400年続く家系。ダンは「残虐候」として知られていた。
- ブラウン家
- ダン・バロウズ公爵夫人の息子であるビリーの姓(生き残る為の対策で変えた)。ディックの先祖である(旧姓はブラウンだ、とゲーム中でも明らかにされている)。
- 魔のモノ
- その人間の残虐性を見込んで、不死の力を得たもの。
- ルーダー
- 古代から魔のモノを退治すべく宿命を持った10代の少女たち。15歳の時に力が絶頂で、20歳になると失ってしまう。何人かは斧男によって、契約の儀式の際に必要な心臓を奪われている、或いは殺害された。