ギー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギー(ヒンディー語:ghee)は、インドなどで古くから作られ、食用にされている乳脂肪製品。澄ましバターの一種。ネパール語でギウ(Ghiu)。
インドから中近東、アフリカにいたる広い地域で食用とされている。古代メソポタミアには、すでに同様の澄ましバターが存在したらしい。よく似た食品にモロッコのスメン(سمن Smen)、パレスチナのサムネ(Samneh)、イラクのディヒン・フール(Dihin Hur)などがある。バターに似ているが独特の香ばしい香りがある。
ウシやスイギュウ、ヤギの乳を沸騰させて加熱殺菌した後に乳酸発酵させ、 凝固したものを撹拌してバター状にする。これを更に加熱、ろ過してホエー(乳清)を除去して作る。加熱ろ過の過程で水分、糖分、蛋白質などが除かれるため、バターよりも腐敗しにくくなり、平均気温の高い地域において長期間、常温で保存することが可能になる。バクラヴァなどバターを使った菓子類にも、保存性が良いため澄ましバターが好まれる。
炒め物に用いるほか、炊いた白飯に混ぜたり、焼きたてのチャパティに塗って食べる。
インドでは全乳生産量のうち約半分がギーの生産に用いられている。