キャセロール
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キャセロール(casserole, フランス語でシチューの鍋の意)は、家禽類や猟の獲物などの硬い肉を野菜や調味料と共にとろ火で煮込んだ料理のこと。野菜のみのものもある。この料理に使われる鍋はキャセロール・ディッシュ、あるいは単にキャセロールと呼ばれ、ぴったりとしたふたをもち、オーブンや暖炉を用いて調理する。また、北米の、刻んだ野菜や肉、パスタ、米、チーズなどをキャンベル・スープ・カンパニー社の濃縮スープなどと混ぜ合わせ、耐熱容器に入れてオーブンで焼いた家庭料理の総称である。
料理用語のen casserole(仏)は「調理に利用した容器のままテーブルに運ばれた」の意をもつ。
北米でキャセロールに人気が出た理由として、20世紀初頭に安価な耐熱容器が国内で大量生産されるようになったこと、第一次世界大戦中に食料が一部配給制になって節約が奨励され、キャセロール料理で冷蔵庫整理や比較的高価な肉などを節約できたこと、また、1916年にキャンベル社が「Helps for the Hostess(奥様への助け)」という小冊子でクリームソースなどを手作りする代わりに自社のスープの缶詰を使うことを提案したことが挙げられる。実際、キャンベル社のクリームスープを使ったキャセロールはホワイトソースのグラタンとやや似ていなくもない。1929年に始まった世界恐慌も、キャセロール人気に拍車をかけた。北米では今日も気取りのない家庭の味として親しまれており、一品持ち寄りパーティー(ポットラック、potluck)にも人気がある。なお、ミネソタ州ではホット・ディッシュ(hotdish)と呼ばれる。
[編集] 参考文献
- Anderson, Jean. American Century Cookbook. Potter, New York, 1997.