イージスシステム
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イージス戦闘システム(イージスせんとうシステム Aegis Combat System )とは、アメリカ海軍が開発した艦隊防空システム。イージスとは、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが娘アテナに与えたという、あらゆる邪悪を払う盾(胸当)アイギス(イージス)が語源である。
最初に導入されたのは、1983年、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦。実際の開発はロッキード・マーティン社が担当、製造も同社が行うと共に、査定を通過した同盟国海軍にのみ、同システムを有償提供している(ただ、海上自衛隊の「あたご型護衛艦」はシステムの一部のみ国産となっている模様)。
第二次世界大戦中の日本陸海軍の特別攻撃隊に端を発した艦隊防空の強化だが、冷戦時代にソ連の対艦ミサイル飽和攻撃に対抗するために作られたのがこのシステムである。イージスシステムを搭載する軍艦の事を一般的にイージス艦とよぶ。イージスシステムの細かい性能については機密となっており細かいことは不明だが一般的にいわれることを下に挙げる。
イージスシステムを搭載している艦の特徴として艦橋などに装備される4面のフェーズドアレイレーダー(AN/SPY-1)が挙げられる(8角形の板状のものがフェーズドアレイレーダーである)。このレーダーは半径数百キロの探知距離(一説には500km以上とも)を誇るといわれる。通常のレーダーのようにレーダーアンテナを回転させて電波の飛ばす向きをかえることにより走査するのではなく、多数の小型アンテナを組み合わせることにより電気的に電波の送信方向を変えて走査する。このため通常のレーダーに比較し、はるかに高速な走査が可能であるが、走査角度が限定されるため、全方位の走査が必要な場合は複数個のアンテナユニットの組み合わせで用いられる。なお、レーダーは能力改善とともに、小型化が進められており、やや性能は低下しているものの、フリゲート級の小型艦にも搭載できるようになっている。
しかしイージスシステムの真に優れている所はそのレーダーだけではなく同時目標処理能力と対応時間の短さである(フェーズドアレイレーダーによるところが大きい)。イージスシステムはフェーズドアレイレーダーやソナー、対水上レーダーなどで探知したミサイル、航空機、水上艦、潜水艦など数百の目標のうち脅威となる目標識別・迎撃手段選定を自動で行う。空中目標に対し12以上に対して同時に攻撃を行う能力を有し、水上・水中に存在する高脅威目標を含めると相当数の攻撃能力を有する。また、敵発見から攻撃までの時間(リアクションタイム)をコンピュータによる自動処理によって通常の艦に比べ短縮することが可能となっている。更にタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の6番艦以降はVLSを装備することにより、ハードウェア面でも全方位に対する攻撃開始までの時間の短縮が可能となった。
世界でイージス艦を配備している国はアメリカ(タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦)、日本(こんごう型護衛艦、あたご型護衛艦)、スペイン(アルバロ・デ・バサン級フリゲート)、ノルウェー(フリチョフ・ナンセン級フリゲート)のほか、現在韓国(KDX-3級)も建造中、台湾も配備を計画している。当然ながら、高性能に見合う高価格であり、維持運用費、アップデート費用も相応のものとなっている。
なお、フェーズドアレイレーダーを装備した防空艦一般をマスコミなどでは「イージス艦」と呼ぶ事もあるが、厳密には似て非なる物である(「中華イージス」などと呼ばれる中国の052C型など)。
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